第8話 黒龍王
黒龍王カイザードのブレスによってノブとの闘いが始まった。
ノブとカイザード を中心に結界のようなものが展開されミラはその結界の外へ追いやられた。結界の中心にはタイマーが表示されカウントアップしている。
「ぐわー」
いきなり黒龍王カイザードのブレス、ドラゴンクローがノブを襲う。黒龍王カイザードの一撃は、並みの戦士クラスが即死する程の攻撃である。しかし、ノブは非常に高いHPによって免れていた。先程のアースドラゴン戦で使っていたジャンケンドーのステータスの底上げ効果による恩恵もある。
開始から一分が経った。ノブは、防御も出来ずにただ黒龍王カイザードの攻撃を一方的に受け上半身の防具は砕かれ岩壁に打ち付けられた。
「もう降参か? 降参すれば命だけは取らないでやる」
「HPは三分の一も減ってないぜ。俺はまだ諦めないぞ」
肩で息をしながらノブは言った。ノブ自身は全然諦めてなかった。それはキメラやガジルといった日頃から色んな攻撃を受けていたことでそんじょそこらの攻撃では心が折れない自信があったからだ。
「ふん、威勢が良いな。ではギアを上げるとするか」
黒龍王カイザードの攻撃回数が増し一つ一つの攻撃に重みがました。しかし、ノブは諦めず黒龍王の攻撃10回に対し一回はジャンケンドーを黒龍王カイザードに繰り出していた。ノブの諦めない心が功を奏したのか黒龍王カイザードの攻撃はましているにもかかわらずHPが2/3辺りからダメージの量が格段に少なくなった。
そうこうしている内に3分45秒に達していた。
「よくぞ耐えた褒めてやろう。褒美として、我が最強の奥義を出してやろう」
黒龍王カイザードは、そう言うと大きく息を吸い溜めの構えを取る。
「喰らえ我が奥義、暗黒黒龍波」
黒龍王カイザードの口から真黒い巨大なレーザービームがノブに目掛けて照射された。
ノブは避けることなくカイザードの暗黒黒龍波を受けた。そのレーザービームはそのまま岩壁を貫き山の中腹あたりに穴を空けてしまった。岩壁を貫いた時に土埃が舞いノブの居た辺りを覆った。土埃が収まるまでには、1分は経過し約束の四分を過ぎた。
「わははは、久しぶりに楽しませてもらったぞ。さて帰るか」
「ちょっと待てよ、俺はまだ死んでないぞ」
「なんだと、我が奥義を受けて生きているのか?」
黒龍王カイザードは、ノブが生きていたことに驚きを示していた。
「もう、四分経ったぜ。俺の勝ちで良いか?」
「ふん、五分だと言った筈だ」
「セコいな」
「なんとでも言え、勝てば勝者が正義だ。貴様のHPは残り少ない。1日に二回しか出せないが、我が奥義を受けて死ぬが良い」
再び黒龍王カイザードは、暗黒黒龍波を放つ姿勢に構えた。
「ノブ、今よ。こちらも最終奥義よ」
今まで、静観していたミラがそう叫んだ。
ノブは、両方の手をくっ付けて野菜戦闘民族の生き残りが良く使う技の構えを行った。
「かーめー…」
★★★★★★★★★★★★★★★★★
黒龍王カイザードとの闘いの三日前、ノブとミラは最終調整を行っていた。
「ノブ、貴方に最終奥義を伝授するわ。見てなさい」
ミラは、例の技の構えを行った。ミラの周りには魔法陣が展開される。
「かーめー…」
「まさか‼︎ その技はあの有名な技では?」
「かーめーラゾーラルテマッ‼︎」
ミラは、両手を空へ翳した、その両方からは大きな炎を纏ったビームが出て近くにある雲へ目掛けて放たれた。雲に到達すると円状の魔法的なエフェクトと共にその雲に大きな穴を開けてしまった。
「これが最終奥義、かめラゾーラルテマよ。受けたダメージを百倍にして返す技よ」
「なんかいろんなものが混ざってるな。これも古代から受け継がれた技か?」
「ええ、そうよ。そロク・ごトラウドが編み出した技よ」
「おい、名前も混ざってるぞ」
「そんな事はどうでもいいわ。いい?この奥義は最後まで取っておくのよ」
「わかった。HPギリになったら使うよ」
★★★★★★★★★★★★★★★★★
ノブの周りに魔法陣が展開され魔力が手の平へ注がれる。
「かーめーラゾーラルテマッ‼︎」
「喰らえ我が奥義、暗黒黒龍波」
ノブの最終奥義を放つと同時にカイザードも暗黒黒龍波を放った。二人の放ったものは丁度真ん中辺りで激突する。
「うぉーッ」
両者ともに相手の攻撃を押し返そうと踏ん張り膠着状態となった。
膠着状態から10秒経ったところでノブの方が勝った。カイザードの黒龍波は撥ね除け、ノブのかめラゾーラルテマがカイザードの前で展開されカイザードを飲み込む。
「ぐはー」
黒龍波を撥ね除けて減衰していても威力は充分にありカイザードは地面に倒れた。カイザードのHPは残りわずかとなった。
ノブは、始まりの洞窟で貰うクォーターポーションを飲みながらカイザードが再び攻撃してこないか身構えていた。
「まだ、闘う?」
一分が経過してもカイザードは、攻撃してこないのでノブは様子見で話した。
カイザードは、地面に突っ伏した状態から顔を僅かながら上げた。
「儂の負けじゃ。よってお主と主従契約を結ぼうぞ」
「良いわ、では契約魔法を唱えるわよ」
いつの間にかミラが近くまで来ていた。
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