第7話

前回までのあらすじ

引ん剝く快感…いいかもしれない。


「い、いきなり何を叫んでやがる!」


「いいいいやぁあああああ!!襲われるわぁぁああ(野太い声)」


「どうしたのかしら?」「襲われるって…?」「何があったのかしら…」「何事だっ!?」「ここかっ!?」「あら~、いい男の香りがするわぁ」


ふむ、そこそこ騒ぎになってきたな。なんか1人特殊な奴が混ざっていた気がするが…

まぁ、ここまで騒ぎなってくれれば逃げるしか無かろう。なぁ?ブリーフよ!いや、ブリーフ自体は何ら罪もないんだけどね!好きだよ!ブリーフ!


「お、おのれ!なんだその目は!」

「まずいって、ここはさっさと引くぞ!」

「そうだぞ、早くするんだ!」

「くぅぅぅ、行くぞ!”俊足”!」


おぉ!なんか全裸の男どもがすごい速さで消えていったぞ。俺の運送と同じでスキルってところか?


「久留米様…ありがとうございました。しかし…」


おっと、ルジャンさんに気を遣わせてしまったようだわ。こっちはこっちで係長への恩返しのつもりみたいなもんだけどね。係長にはお世話になってたから、せめてこの似た人くらいには…ってね。


「いえいえ、お気になさらずに。私自身はおそらく何ら問題にもなりませんので。」

「久留米様…」

「それよりも王城にいるような方たちのわりにずいぶんな素行の方たちでしたね?彼らは…?」

「あぁ、なんといいますか、おそらく彼らは第三王子様の騎士団の方たちかと。」

「第三王子…様ですか?」


いたのか、王子。しかも第三ってことはさらに二人はいるのか。知らなかったぞ…

あ、俺放置プレイされてるんだったわ。いやぁ、俺マジよそもんだわぁ。


「えぇ、第三王子様は…その、なんといいますか、城下の町でもあまり素行の良くない貴族の方たちと交流があるようでして…」

「な、なるほど?ずいぶん人との交流を持たれる王子のようですね?」

「継承権は最下位でして、特に目もかけられていないともっぱらのうわさでして…」


なるほどなぁ、相手にしてもらえてなくてぐれちゃったタイプってことか。相手にされないってのは俺個人としては同情したいところではあるがな、ぐれてはいかんのだよ。俺は…そこまではいかなかったさ。


「まぁ、とにかく一度体を観てもらいましょう。その腰も本当は前に彼らのような輩にやられたのでしょう?」

「あ、これはこれは、久留米様はご慧眼のようですな。ははは。」

「いえいえ、誰でも予想がつきますよ。目をつけられているようでしたしね。お聞きしても?」

「あ~、お恥ずかしい話なのですがね…」


「ルジャンさーーーん!!」

「おや…?」


おっと、俺が入ってきた方から女性の声がするわ。若いな。ルジャンさんの知り合いっぽいけど。メイドちゃんかな。うん、やっぱレベル高いな~~。この世界どうなってんの?まじで?


「あぁ、これはミーシャさん。」

「大丈夫でしたか?またあの人たちが来ていたって聞いて!」

「はい、もう大丈夫ですよ。こちらの久留米様に対応していただきましてね。」

「え、あ!あなたは!し、失礼しました!」

「え…いえいえ!頭を上げてください!私は大したことをしたわけではありませんよ」


何この子!?俺の顔見たら急に頭下げてきたんですけど!?謝りたくなる顔ってこと!?(錯乱)


「あぁぁ、どうしましょう。勇者様御一行の方のお手を煩わせてしまったなんて…」

「え、ミーシャさん今なんと?」

「ルジャンさん、ご存じなかったんですか?こちらの方は先日この王国の召喚に応じていらしてくださった勇者様たちの関係者の方なんですよ。」

「なんと…これは、今までのご無礼どうかお許しください!」

「えぇ…」


えぇぇぇ…どぅいぅこと?

俺ってばそんなに偉かったのん?でも、お城のメイドさんたち俺が道聞いても笑顔で教えてくれてたしなぁ。とても簡潔で分かりやすく教えてくれていたからな…

あれ、もしかしてあまり話したくなかったってこと??勇者一行といっても俺は本当に何もしてないし、たまにみんなに会って愚痴を聞くくらいなんだよなぁ。


「いやいやいやいや、私は何の訓練にも参加しておりませんので、彼らのような階級にいるわけではありませんよ?本当に食客としての扱いでこちらに逗留してるだけですので…」

「いえいえ、勇者様と同じ世界からいらした方ということは我々にとっては希望の星です。そのような方のお手をこのようなことで煩わせてしまったなどと…」

「ルジャンさんまで…。頭を上げてください。何ら煩わしいようなことはなかったのですから、よいではありませんか。それに依然と同じようにもう少しだけ柔らかい物腰のルジャンさんに戻ってください。」

「そうでしょうか?」

「えぇ、もちろんです。私なんて偉い方たちからどうしたらいいか分からないとのことで、このように王城を気ままにふらふらしてるだけだったのですから。ここでルジャンさんとお話させていただけて楽しかったんですよ。ですから、ね?」

「久留米様…」

「ほら、そちらの、、ミーシャさんでしたか?あなたも頭を上げてください。」

「は、はい」

「改めまして、私は勇者の皆さんのでついてきてしまった久留米 寅蔵と申します。」

「あ、あ、私はミーシャと申します。この王城ではただのミーシャです。どうかミーシャとお呼びください。」


挨拶は大事なのよほんと。

ん?ただのミーシャ?ゴ、ゴクリ…、いや、違うか。


――――――――――――――――――――


あれからなんとか普通に話してくれるようになったルジャンさんとミーシャさんから事のあらましを聞いた。あ、あとどうやらミーシャさんは男爵家の三女らしく、どうやら苗字もあるようだが、この王城で働く下働きのメイドは仕事をしている間は貴族平民関係なく苗字は名乗ることはないそうだ。


「そうでしたか、ミーシャさんが絡まれているところを」

「はい!そうなんです!ルジャンさんにはその前からいろいろお話を聞いてもらったりしていたんですけど…」


どうやらミーシャさんもここの庭に休憩の時などに訪れていたらしい。結構いいところよね、ここ。にしてもこんな高1のJKみたいな見た目のことお話ができるとかルジャンさんやるわぁ~。


「流石はルジャンさんですね?」

「いやはや、年の功のようなものです。」

「で、その時に腰をやられたと…」

「ははは、まぁ、この年で今どきの若者とは碌に立ち向かえませんでしたがね。」


あ、ちなみに今は王城内の保健室的な部屋にいるんだわ。ルジャンさんも打ち身だけだろうって。よかったよかった。腰の方も本格的に壊しているわけではないそうだ。


「しかし、彼らはまだその時のことを根に持っているようですね?」

「そのうち興味も失せてまた別の遊びをし始めると思いますので、それまではじっとしているのが一番でしょうね。」

「そう、ですか…」


うーむ、なんだか釈然としないがなぁ。だが一応第三王子の直属の騎士団ということになっているのでしょっ引くのも大変なんだそうだ。ただ幸い?なのか位の高い爵位のものたちはいないようで、でもって今まではどうやら放置していてもやることは俺たちの世界でいうところのガラの悪い程度のまだほほえましいレベルのやつらだったらしい。ところが最近はちょっと目に余るようなこともし始めているとかで手を焼いているようだ。ガリウスさんも大変そうだな…

むしろ今回みたいに異世界からきた俺のような奴がしゃしゃってしまって迷惑だったのかもしれんが…


「久留米様、本当にありがとうございました。」

「あぁ、よろしかったですかね?」

「もちろんですよ!久留米様!ありがとうございました!」


まぁ、お礼を言ってもらえてよかったかな!

でもきっと俺にも目をつけてるよね~。どうしたもんかな…


――――――――――――――――――――


まぁ、異世界のチンピラたちと変な交流があったがここ数日は特に報復とかもなくいつも通り過ごしている。そう、相変わらずの放置プレイよ。でもね、この前遥人君たちと朝食事時が一緒になってね、その時にいろいろ教えてもらったのだよ。いや、現地の人たち俺にもいろいろ教えて!?


「…ステータス画面が簡易版と詳述版があると?」

「そうなんだよ、おっさん!俺らもびっくりでさ~」

「そうなんです、寅蔵さんもステータス画面確認してみてはどうですか?」

「ほう、どうすれば?」

「ステータスをもっと詳しく見せてくれ~って念じると画面が変わったぜ?」

「なるほど…」


どれどれっと、ステータス画面さん、詳しくオナシャス!!


―ステータス―


【名前】 久留米寅三(くるめ とらぞう)

【種類】 人間種

【職業】 運転手 Lv.10

【体力】 50

【魔力】 100


【力】 30

【防御】 100

【知力】 55

【精神力】 200

【運】 4


【スキル】 運送 レベル48(職業レベル上限)

運送:任意の対象を自分の近くに呼び寄せる、亜空間に物質をとどめることができる、対象を任意の場所に出し入れできる

      ■■■

■■■:

      ■■■

■■■:

      ■■■

■■■:

      ■■■■

■■■■:



【スキルポイント】 300

【亜空間コンテナ】なし


おぉ!おぉぉぉおお!って最初から出せよ!!

というかちょっと待て、【運】減ってない?減ってるよね?【運】さん冗談きついよ!?おっかしいな~~?なんでかなぁ~~?


あ、あの時のチンピラたちの装備はちゃんと返しましたよ。ガリウスさんに…

パンツ渡されて渋い顔してたけどね?俺だっていやだよ。なんで野郎の脱ぎたておパンツ保管しとかなきゃならんのだ…。おなごので頼む!

…いや、盗るつもりは毛頭ないよ?そんな度胸はねぇ!!(ドヤァ)


「ハハハ、そうだよな!最初から出せよって感じだよな!」

「おっと顔に出てましたか?」

「ふふ、とってもわかりやすく出てましたよ?」

「(コクコク)」

「でも、簡易版の方も意味はあるらしいよ?」

「ほう、そうなのですか?」

「うん、えぇと…なんだっけ?沙耶香ちゃん?」

「あのね…。簡易版の方はどうやらステータスの情報量をあえて減らして整理しやすくしているそうです。でもって他人に除かれるときにこの簡易版が最初に出てくることで情報の漏洩を防ぐ役目も担っているのだとか。簡易版があるのは私たち転移者だけだそうですよ?」

「ほうほう」


なるほどなぁ。つまり転移組のステータスはとんでもないことが多いからあえて情報量を減らしてとっつきやすくしていたり、覗かれるようなことがあってもすごすぎるステータスであることなんかをバレにくくしてますってことか。

……俺の場合簡易版仕事してるのか?


というか、俺のステータス防御よりなんだな。精神力特化し過ぎでしょ!?なに?ブラック耐性ありますってこと?うれしくねぇわっ!あとね、スキルよスキル。最初に確認したときは冒頭の部分だけが表示されていたってことだったんだろうね。でもさ、職業レベル上限ってことは俺のスキルポイントちゃんはどこぞに消えたノン?

まさか、上限超えて突っ込んだ分は泡となって消えました!とかないよね?ね!?【運】さんまじで頼むよ!?いや、【運】なのかは知らんけど!?


でさ、一番気になるのはさ【運】も減っても1だからまだいいとしてもさ、スキルさ、増えてるよね?

増えてるんでしょ!?


なんだよ、”■■■”って!!パンツか!?


…ちがうな、うん。

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