第5話

前回のあらs…

あちちちちちちちちちぃぃぃぃぃいい!!


……

………


「あっつ!!!くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」


「おぉ!?大丈夫、おっさん!?ケツに火がついてんぞ!?」

「あぁ!大変!!」

「…!!」

「あ、あれ、ここは…?って人が燃えてる!?」



寅蔵がケツに火がついて(物理)四苦八苦している間に、魔人とガリウスとの戦いは終わろうとしていた。


「おいおい、こっちはこっちは死力を尽くしてぶっ放した『火球』なんだぞ。それをなんだ…とんだ喜劇…にし…やがって…」


徐々に言葉も発せなくなっていく魔人。その言葉が本当である証明というように、魔人の表面はひび割れていきボロボロと崩れていた。


「ふん、この程度しか引き出せぬか。まぁ、よい。貴様は用済みだ。」


寅蔵たちの喧騒に掻き消えるような小声でそう言い放つガリウス。

何気ない手つきで長剣を振るい魔人を薙ぐ。

それに為すすべもなく今度こそ跡形もなく消えていく魔人であった。



「あっつ、あっつ、あっつ!!」


いやこれどうなってんの!?

引き寄せたのはいいけどポジショニングよ!ポジショニング!

なんでケツ行くかなぁ!?

けっつがあっついのぉぉおおおお!!


「『キュア・ウォーター』!!」


「あちちちちぃぃぃい???あ、あぁああ…///」

んぁぁあああ、なんだこの心地よい何かに優しく包み込まれるような感覚はぁぁ…


「う、なに変な声出してんだ、おっさん…」


ははは、遥人君、君もこの快感を味わえばわかるさ…


「これでもう大丈夫ですね?」

「ん、あ、あなたは…」


鈴の音のようなきれいな声で俺に話しかけてきた方をむく。


「先ほどは危ないところを助けていただきありがとうございました。」


そう言って、にこっと微笑む銀髪美少女。いや、すっげぇ美少女だなぁ、おい。

海外のモデルとか女優でもそうはいないんじゃないか?

薄緑色のお姫様みたいなドレス(語彙力ェ…)を着た美少女がいた。


「私はこのドラグレス王国第3王女のイアリス・ドラグレス・ガーランディアと申します。どうぞ、よしなに。」


そう名乗りつつ綺麗なお辞儀をする美少女。お胸もそれに合わせて優雅にたゆん…ってしてるわ。どうやらこの子が俺のケツを救ってくれたようだ。ケツの救世主…


「あぁ、ご丁寧にありがとうございます。私は久留米寅蔵くるめ とらぞうと申します。」


しっかりした挨拶にはしっかり対応しないとね。大人だし!ついさっきまで燃えてたけど!


「イアリス様、ご無事で何よりです。いやはや、我々の力が足りず、申し訳ない…」

「いえ、こうして無事でしたし。何も悪いことはありませんよ」


サウバーさんがそう言いながら、こっちに戻ってきた。

ここのお姫さんは臣下にも腰が低いんだなぁ。

あれ、そういえばガリウスさんの方どうなってんだ?


「あぁ、こちらは片が付きましたぞ!それにしても先ほどの魔人の最期の『火球』を細切れにしたスキル素晴らしいものでしたな!」


がっはっはと笑いながらガリウスさんもこっちに来ていた。どうやら向こうも終わったようだ。jc魔人いなくなってるし。あれ、いつ消えたんだろうな?

つーか、確かにさっきの遥人君すごかったよな。

クラインさんの短剣を持ったと思ったら「ディバインソード!」とか言って火の玉細切れにしてたもんな。


「いやぁ、勝手に体が動いたといいますか、こう、何とかしなくちゃって気持ちが沸き上がったらあぁなったといいますか…」


照れているようだ、遥人君。かわいいじゃないか。


「遥人様もどうもありがとうございました」

「い、いやぁ。たまたまですよ?あはは」


とイリアス様?でいいのか敬称は?まぁ、いい。イリアス様に言われてさらに照れる遥人君だったのだが、


「いえっ!とても素晴らしいものでしたわ!」


遥人君の手を取って両手で包み込むようにして持ち上げた美少女2がやってきた。

腰のあたりまで伸ばした金髪がきらめく、白の豪華な感じのドレスを着た10代後半のような子だ。この子は俺たちの世界のモデルさんのような体型という感じでスレンダーで引き締まっている。そんでもって物すっごく顔がきれいだわ。おじさんびっくり。さっきのお姫様でもう天井かと思ったのにね。

あ、さっきまで王様の後ろに控えていた人だな。なんか遥人君を見る目がうっとりしてるのは気のせい、かな?


「はい、これは稀にみる逸材が来てくださったようですね。」


そこへさらに美少女が追加された。大安売りなのか?いろいろ諦めたおじさんもなんだかテンション上がっちゃうってもんだねぇ、これは。いや、俺のことなんか眼中にないのは分かり切っているんだけどね。

こちらはつやのある金髪を短くまとめた、赤っぽいドレスを着た美少女だな。こちらはさっきの金髪お姫様と銀髪お姫様を足して二で割ったようなお胸だな、うん。ふるんってしてる。しかし先ほどのお姫様たちとは違ってその表情に知性を感じるというかなんというか。頭よさそうだわ。うん。できる人オーラがすげぇ。


なんか遥人君いろんな人に囲まれてすごいことになってるな。


「あ、あの~」

「はい?あぁ、彼のお友達の?」

「はい、葛葉沙耶香くずのは さやかと申します。寅蔵さん、でしたよね?」

「えぇ、そうですね。私に何か?」

「その、正直とても言い難いのですが、寅蔵さんの尊厳にかかわることですし…」

「はぁ、なんでしょうか?」


なにをもったいぶっているのだろうか。いや、別にいいのだが。こう焦らされると我慢できなくなるというかなんというか。

いや、だってね。美少女JKがちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめてためらうすがってのはぐっとくるものがあるじゃない。


「あの、着ていらした、その、ツナギなのですが、お尻のところが…」


あぁ、なるほどね。スースーするわけだマイケッツがね。オーマイケッツ!!

やかましいわっ!


――――――――――――――――――――


召喚されたにもかかわらず急な戦闘、そしてセルフセクハラと濃密な時間を駆け抜けた俺たちだったが、さすがに何の事情も分からないままでは…ということで、偉い人たちからいろいろ話を聞くことになった。


ま、その前に服もらって着替えたんだけどね!


初めて見たわ執事さんとかメイドさんってやつ!ナイスミドルって感じの執事の人とめっちゃ可愛いメイドさんでした。ミニスカではなかったけどな。

なんかおれのツナギを珍しがっていたわ。ファスナーってこの国にはないのかもね。特になんもロゴとか入ってない大した特徴のないツナギだったから見るところもそこくらいのはずなんだよね。

ちなみにもらった服は執事さんたちが着るような服をとりあえずもらいました。最初は偉い人が着るような服渡されたんだけど、さすがにねぇ…あんなデコデコした服合わなさ過ぎて辛いわ。

いや、この執事の服もどうかとは思うんだけどね。


「おっさんwwwその服似合ってないなぁwwww」

「えぇ、まぁ、分かってはいるんですがね…」


えぇい、だまらっしゃい!自分で一番わかっているとも!こんな中の下のしょうゆ顔がこんな服着たって、馬子にも衣裳にすらならないでしょうよ!

くぅうなりたい!ナイスミドルに俺もなーーりーーたーーいーーー!!


「遥人君、失礼だよ!それになんで初対面の目上の人にそんな話方してるの!」

「いや、ごめんごめん…。おっさんも許してくれって!」

「いや、構いませんよ。それに別に無理して敬語で話す必要もないですから、ここは私たちの知る国ではないようですしね。」


手を合わせながら軽い感じわりぃわりぃと言ってくる遥人君だが、別に俺だってこの格好は似あっていない自覚はあるのでそこまで怒ってはいない。

でも確かに遥人君は俺にだけは気安げに話してくるんだよなぁ。ほかの人たちにはちゃんと敬語使ってるのに。


「ほら、おっさんもこう言ってるしさ!いいでしょ?」

「もう、なんか遥人君らしくない気もするけど?どうしたの?」

「あぁ、なんというか、おっさんには敬語を使いたくないというか、なんというかおっさんには世話になってるような気がして…な?」


…なに、それってどういうお世話??いや、ありえない。まだ俺が轢いたことはバレてなどいない!!!・・・はず。

恐ろしい子っ!遥人君!!


「もう!お世話になってるような気がするならもっとちゃんとしないといけないでしょ?」

「まぁまぁ、私は気にしませんよ。遥人君と呼ばせていただいても?」

「あぁ!もちろんだよ。俺は新良貴遥人しらぎ はると。おっさんは…おっさんでいいか!」

「遥人君!!」

「いいんですって…。まぁ、一応先ほども名乗りましたがね、私は久留米寅蔵くるめ とらぞうと申します。そちらのお二人も以後お見知りおきを。」

「あ、はい、どうも。僕は凛堂眞琴って言います。よろしくお願いします。」

「…藤宮透子、、、です。よろしく。」


遥人君としっかり者の沙耶香ちゃん、それとさっきまでトリップしていたジャージ少女の眞琴ちゃんにちっちゃい感じのさっきから静かな女の子の透子ちゃんたちに改めて自己紹介とあいさつを互いに済ませて、説明が来る人たちを待っている俺たちだったが、


「失礼しますぞ、皆様。お待たせしてしまい申し訳ありませんでしたな。いやはや急な襲撃とあってその後始末に多少手間取ってしまいましてな。」


と、もろもろ整ったようで、サウバーさんが部屋に入ってきた。

それに続いて、王様にさっきの金髪ショートの赤ドレスさんとか、ガリウスさんとかも入ってきた。


うーん、赤ドレスさんってイリアス様みたいに王女様なのかなって思ってたけど、なんかこの説明にかかわるような人、なのかな。あ、最後にスレンダー美少女の人も来た。


「では、遅くなってしまいましたが私からお話させていただきますかな。まずは私はこのドラグレス王国の宰相を務める、魔法師団団長兼任のサウバー・クラウゼとで申します。この通り老骨の身ではありますが、昨今の情勢と魔法について皆様に説明させていた開こうと思っておりますので、よろしく願いますな」


さっきの壁出してた人だな。フルネームだとサウバー・クラウゼさんっていうのか。確かに白髪のおじいさんなのかなって外見だけど、なんというかまだまだ現役感がすごいんだよね。あれじゃない?白髪なだけで実はまだ50前半とかない?うちにもいたんだよね、年上詐欺のおやじとか。


「私はこの国の騎士団の総団長を務めるガリウス・シェイルドと申す。我々はあなた方転移者に戦い方をお教えすることになる。どうかよろしく。」


豪華な金ぴか鎧の人が総団長なのか。総団長?なんだそれ?まぁいいか一番偉いのだろう。


「わたくしはこの国の第2王女、プレスティーナ・ドラグレス・ガーランディアです。この国の政治にも多少かかわっておりますのでご同席させていただきました。どうぞ、気軽にティーナとお呼びください。」


にこっとしながら、綺麗にお辞儀してくれた赤ドレスの美少女はやはり王女様だったか。こんな若そうなのに政治にもかかわってるとか、あるんだなぁ。さすが異世界。いや、関係ないか。


「わしはもうすでに名乗ってはいたからな、覚えていると思うがもう一度言うとしよう、我こそはドラグレス王国国王、ファイザ・ドラグレス・ガーランディア8世

じゃ!」


うん、この百貫のじゃデブはわかったんだけど、最後の1人の遥人君の手を握りしめていた人は…

一同の視線がスレンダー美少女に注がれているのだが…


スレンダー美少女:ニコニコ、うっとり…


………………いや、なんかないの!?


「お、おほん、ぶえっふん」


サウバーさんがわざとらしい咳ばらいをしてくれる。


……!!


お、気付いたようだ。


「あら、あらあら、お恥ずかしいところを。失礼いたしました。わたくしはドラグレス王国第1王女リーゼロッテ・ドラグレス・ガーランディアと申します。どうかわたくしのことはリーゼとお呼びください!」


ずっと遥人君を見つめて話しているのだが…

まぁ、遥人君男の俺から見てもわかりやすいイケメンだもんね。海外でも対応できそうな感じのタイプって言えばいいのかな。しょうゆ顔とソース顔の中間の…あれだ!ケチャップ顔!あんな感じのイケメンだ。


「さぁ!どうかリーゼと!!」

「え、えぇ…」


ぐいぐい行くな彼女…

遥人君もさすがに困り気味のようだが。


「話が進まないから、ほら」


沙耶香ちゃんがなんか肘で小突いている。


「あ、あぁ、リーゼ…さん?よ、よろしくね!」(キラッ)

「きゃぁあっ///」


ものっそい嬉しそうに席に着く王女様だわ。よほど気に入ったんだなぁ。うん、まぁ、この場にはいらなさそうだわ…

とはいえ、遥人君も若干戸惑い気味ながらも決めてきたなぁ。さすがイケメンこなれてる感があるぜ。チィィイッ


「なんだよ、ちょっと遥人が名前呼んだだけだろ…(ボソッ」


遥人君の左隣に座っている眞琴ちゃんが何か言っているがよく聞こえないな。

でもなんとなく不機嫌そうだわ。

いろいろあるよね、高校生だもん。おじさんわかってるよ!イケメンめぇぇ(血涙)


「あー、それではですな、そろそろ先ほどの魔人とやらは何なのか、我々が何に困っているのか聞いていただきましょうかの。」


それからサウバーさんを中心に王様の愚痴とかガリウスさんの防衛関係の話とかもろもろ話されたけど、まぁ、簡単に言うとこの世界は俺たちのいた地球とは全く違う世界で、現在魔人種という強力な能力をもつ種族との争いが起きているということだ。そしてその魔人種が人種、主に人間種の領土を侵略しようとしているらしい。なんで今争うことになったのかって思ったら、魔人種に魔王と呼ばれる魔人種の王様みたいなのが生まれたらしい。大昔にもいたらしいがその時は勇者と呼ばれる異世界人によって倒されたそうだ。で、今の魔王と呼ばれる存在が誕生したことによって魔人種はとても強化されるそうだ。そのおかげでもともと強力な能力を持っていた魔人種たちがより強くなったので他の種族を襲って領土を拡大しようとしているとかそんな話だった。

で、強力な魔人種に対抗するためにいろいろ手段を講じてきたが、人間種の領土が落とされ始めたらしい。そこで、大昔にもあった転移者召喚の大術式で俺達を呼び寄せたと。それで俺達には魔人種を退けて最終的には魔王を打ち取ってほしいのだそうな。

ほかにもいろいろ言ってたんだけどもう覚えられないから半ばで諦めたわ…

おじさんに一方的に長話されてもつらいのよ…


まぁ、このあらすじに関しては俺があいつから前々から聞いていた通りだったわ。意外性なんて全然ないほどに。でも俺がこっちに来るなんて全く聞いてなかったんだよなぁ。スマホもここじゃ、使えないし。どうしようかね、ほんと。


で、いよいよ俺たちの処遇について話してくれるってことなんだけど、その前にね、1つお願いしたいんだよね。


このステータス画面どうやって消すの!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る