第2話

「あぁぁあああ、、、?」


眩しかった光が消えて正面を見ると、そこにはひげ面の体重100kgは超えているだろう横に大きい男と、全身を鎧で包んだ兵士らしき人々が目に入った。


横には先ほど俺がいつものお勤めにより吹き飛ばした4人が立っていた。


「よくぞこの度は我らが召喚に答えてくれた。本当に感謝する。」


横に大きいおっさんは王様っぽいな。王冠乗せてひげ面なら王様の必要十分条件だろう。後、部屋の装飾が前にB○Cの放送で見たどっかの王室と被る。でかいシャンデリアだなー。


「おいちょっと待ってくれ!ここは一体どこなんだ!日本じゃないのか?俺等トラックにひかれたんじゃねぇのか?うぉっ!というかおっさん誰だ!?」


遥人はると君!落ち着いて!」


「あれ?・・・僕の体・・・あれ?・・・」


「・・・ここは本当に日本じゃなさそうだね・・・。」


「俺はトラッ・・・トラの世話をしている動物園の飼育員だ。ここは・・・。」


俺が光の彼方へシューッした美男美女が騒ぎ立てる。一人ジャージ姿の体をまさぐってるやついるけど大丈夫か。


「すまない。事態が飲み込めないことは十分よくわかっている。儂はこの国の王をやっているファイザ8世である。この国のために君たちが住んでいる世界からこちらの世界へと呼び寄せたのだ。」


まじか、あの光で異世界に人間を飛ばしてたんか俺は。…いや、知ってたけどね。びっくりしてみせるところかなぁって。


「ファイザ・・・8世様・・・でしょうか。私の名前は葛葉沙耶香くずのは さやかです。少し混乱しているので失礼があったら申し訳ありません。私達はただの高校生で、国のためになにか出来るような人間ではないのですが・・・」


やべぇな。この子めちゃくちゃちゃんとしてるわ。36歳になったおっさんよりコミュニケーションスキル高いわ。


「ふむ。基本的に異世界から召喚された人々は非常に高い能力が備わっておるのじゃよ。前に来た人々の中にも”コーコーセー”がおったが、前線でよく戦ってくれておったよ。」


「戦いって・・・!俺等は何も知らない国のために戦わなきゃいけないのかよ!」


「本当にすまないが、そういうことになる。我が国は現在魔人達と戦争状態にあり、かなりの劣勢にある。ここにいる兵士達では歯が立たないのじゃ。今まで召喚してきた異世界の人々によって戦線が維持してもらっているのじゃ。」


「そんな・・・戦争って・・・どうしてこんなことに・・・。」


「あれ・・・?僕の体やっぱりない・・・。」


トラック運ちゃんから兵士へジョブチェンジですか。しかも就職先は、派遣にほとんどの業務を委託して成り立っている黄昏よりも昏い企業でしたか。


まぁうちなんてその代表でしたけどね。


「おい!つーか、眞琴まこと!なにモジモジやってるんだよ!俺等訳もわからず戦争に参加させられるんだぞ!」


「ひゃうっ!あ!ごめん!うん!僕もおかしいと思うよ!」


モジモジちゃ…君?がおにんにんのあたりを触ってナイナイ言ってるのはどういうことなんだ。戦争よりも気になってしまう。世界の秘密がそこにありそうなんだぜ。


「本当にすまない・・・。我々の都合で君たちを召喚したことは謝罪のしようもない。ただ、この世界での衣食住は保証する。願いもできる限り聞くとしよう。どうか戦ってはくれまいか。この間にも魔人達により生活を脅かされている住民達が大勢いるのじゃ。・・・頼む・・・。」


派遣に辞められそうになって子犬のような目をしたバーコード禿の係長を思い出すぜ・・・。やっぱり管理職は大変だよな・・・。


そう思っているとバタンと大きな音を立て扉が勢い良く開かれた。


「緊急にて失礼いたします!魔人です!魔人がこの城に・・・がふっ!?」


「案内ごくろーさーん。こんにちはー。おうさまー。この国を滅ぼしに来ましたー。」


やべぇ、扉を開けた兵士Aさんの胸に風穴があいてありのままの臓器が見えてしまっている。つーか、あいつが魔人か。


頭に角が生えてて、髪が白い以外は普通のJCくらいの女の子にしか見えねぇんだが。


「『なぜこの場所が』って顔してるね。うちの魔王さまがねぇ。異世界人を召喚してる場所がどこか判明させちゃったんだよねぇ。まぁ大体の異世界人ならちょちょいって感じだけどさー。ごくたまーにちょぉっと手強いやつが出てくるじゃん?

だから、大本を断ってしまおうってわけなのさー。ここの城結界かなり優秀だから破るのには骨が折れるんだけど、魔王様は魔法の達人だからねー。頑張って送り込んでもらいましたー!」


「ひぃぃ!?魔人!?死にたくない!?」


「みんな!こっちへ!」


いきなり始まりの町からボス出現させるのはありですか?鎧着込んでる兵士の皆様もポージングだけでガチガチ震えてますわ。つーか、36歳のおっさんはこのままだと死ぬな。なんかねぇのか!?神様!?





―ステータス―





【名前】 久留米寅三


【職業】 運転手


【体力】 20


【魔力】 100


【力】 20


【知力】 50


【運】 5



【スキル】 運送 レベル1


【スキルポイント】 10000





P.S. 異世界飛ばしちゃって、メンゴ☆メンゴ☆ 色々仕事してもらったからスキルポイントめちゃくちゃサービスしとくね。


この世界ハード目だけどがんばっちょね☆





――――――――――





あそびで異世界飛ばしてるなこいつ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る