おっさん運転手の日常
涯岸
第1話
ジリリリリ・・・
あぁ、うるせぇ・・・
もう朝かよ。
ジリリリリリリリ!!
だぁぁああ!わぁった起きるよ起きるって!
今日もうるさい目覚まし(自分でかけた)のアラームで俺は目を覚ます。
まだ日も登っていないような時間帯だ。
「今日の依頼は・・・っと」
最近増えてきた依頼主様様からの直々の今日の依頼をスマホでチェックする。
「えぇと・・・お、今日は1件だけか。これなら合間にできそうだ。」
どうやら今日の依頼件数は久々に少ないようだ。
そしてなにより今日の案件はちょうど通り道を少しそれるだけで済みそうだ。これなら大したロスもなくカバーできるだろう。
ここのところ明らかに遠かったり、予定時刻が早すぎたりとふざけた依頼が多かったが、向こうもやっとわかってくれたようだ。再三抗議し続けた成果だろう。うむ。
なんて、一人でしたり顔しながら、顔洗って飯食って、着替えていざ、お仕事タイムだ。
まだまだ日も登り切っていない時間に事務所に着く。
「はよーざーっす。」
「あぁ、久留米君、今日も早いねぇ。はい、アルコールは・・・OK。ま、今日もよろしく頼むよ!」
「そりゃ飲んでないですからね。今日もよろしくお願いしまーす。今日は今んところ増えてない・・・ですね。よしよし。」
アルコールチェックを済ませて、今日の仕事をチェックする。
今日はまだ臨時の配送は増えていないようだ。ちゃっちゃと積み込みやって向かうとしますかね。
俺は
…まぁ、いい。こんな俺だが最近はとある筋からの依頼を個人的に請け負ってもいる。金銭は発生していない。ゆえに副業ってわけじゃない…と思っている。
で、その個人的に請け負ってる方の仕事が今日は先に終わらせられそうだ。
「ここらへんなんだけどなぁ、そろそろか。」
徐行しつつ目的地付近で予定時刻を待つ。
「お、あの子たちか。いいねぇ最近の若いのは。男1人で女の子3人も侍らせちゃって…」
完全にひがみである。
「はぁ、、やんなっちゃうよね、ほんと。ま、でもここからは俺のターンってね。いや、実際は彼らのターンになっていくわけですがっと」
目標を発見し、念のため正しい相手であることを確認し、接近する。アクセルをしっかり踏み込んで。
「ほーれ、これで世界救ってきてくれよ・・・」
ぶつかる前に急ブレーキをかけて特有の甲高い音が朝の登校する彼らに迫る。
「おい、あれこっちにくるぞ!よけろ!」
「え?きゃあああ!え、え!あにこれ!なんか足元がっ!」
「・・・!!」
「なになになに!?」
「お前らどうし、、ってなんだこれ、、う、うわぁああ!」
車体がぶつかる数舜前に彼らの足元から特有の光が彼らを包み込む。
そしてその光に溶け込むようにして彼らはこの世界から消える。
しかし今日の光はいつもと違っていた…
「うぉっ!今日はやけに眩しいな!というかいつもならなんかよくわからない感じに車両もしっかり止まって何事もなかったようになるはずなんだが…」
とっくにブレーキはかけているし、いつもなら不思議な力?か何かで車体は止まっており事故があったなんて思われることもなく終わるのだが。
「というかあれ?これ動いてないか・・・?おいおい、どうしたんだ。ブレーキ効かないぞ。嘘だろ!おい!!ってなんだ眩しっ!!」
先ほどどこぞの学生たちを包んでいったあの光が再度同じ場所からあふれ出る。
「おいおいおい、聞いてねぇぞ!”俺は送る側”なんじゃなかったのかよ!?あぁああ!」
その光は先ほどよりもずっと大きく広がりトラックごと寅蔵を包み込み、そしてトラックと積み荷を残し寅蔵のみを消し去っていった。
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