第2話〜常冬の街ノールウェルズ

常冬の街ノールウェルズ。


それがこの街の名前。


世界の果て、なんて呼ばれることもある。


一年中寒くて、冷たくて、そして静かな街。


通りで一番多いのが酒場で、この街で欠かせないのが酒。


この街では12歳を過ぎれば酒を飲む。


飲まなければ凍えてしまうし働けない。


それにこの街の酒は鉱石と魔石の次に特産品だ。


この街には二桁を越える酒蔵がある。


周りを高い塀と鉱山に囲まれ、国境の端にあるこの街は、隣の街まで移動するのに馬車で半月はかかる。


鉱石、魔石、酒。


それらを国に納め、穀物や必需品を得る。


ここは奴隷の街だ。


それらを掘り出し、造り出すためだけに存在している。


鉱山で働くか、酒蔵で働くか、酒場を含めた飲食店で働くか。


この街にはそれくらいしか働き口がない。


当然、荒くれ者たちが多い。


決まりを守らない者、進んで罪を犯す者。


ついには暗黙の了解すらも破ってしまう者。


そいつらを殺すことがトモの仕事。


鉱山か、酒蔵か、飲食店か。


そのどれにもなれず、殺し屋になるしか道はなかった。


働かない者はこの街では生きてはいけない。


働こうがルールを守らなければ生きることもできない。


この街は冷たく、容赦がない。

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