第12話 超絶可愛い幼なじみと超美人の先輩が俺の家に住みついてとても修羅場な件
「で、ケンちゃん。これどういう事?」
今、俺こと荒木健人と、超美人の青山"美咲"先輩は、自宅のリビングにて並んで正座させられている。
目の前でピリピリと重苦しい雰囲気を醸し出しているのは、超絶可愛い幼なじみギャル、姫野凛様なり。逆らったらぶち〇されるでござろう。
俺は冷や汗をダラダラと流しながら目を泳がせているのだが、隣の先輩はと言うと、なぜだかモジモジしながら俺の方へ寄ってくる。
「"美咲"さん! 健人に寄らない!」
「っ‥‥‥はい‥‥‥」
その行動を凛にものすごい剣幕で指摘され、流石にまずいと思ったのか、先輩は俺から離れていく。
先輩、めっちゃいい匂いしたなぁ‥‥‥。
「ケンちゃん! 美咲さんの匂いにうっとりしない!」
「はひぃ!!」
突然指摘され、俺は間抜けな声が出てしまった。
てかラブコメヒロインってなんで心の中読めんの‥‥‥? 特殊能力持ちですか、ってんだ。
まぁ、デレデレした俺が悪いんですけどね。
ごちゃごちゃ無駄な事を考えていると、凛がこちらを睨みながら「事の経緯を話せ」と目で意思疎通を図ってきたので、俺は体勢を整え、一呼吸置いてから話す。
「その、先輩が宿無しだっていうから‥‥‥」
「そこからじゃないっ! 最初から話しなさい!」
「ヒェッ‥‥‥わ、分かりました」
そろそろ本気で殴られそうな予感がしたので、今まであった事を俺は話した。
先輩の向こうでの事などは、先輩が自分から話し、先程まで怒っていた凛が急に真面目な顔をして聞き出し、最後には、
「うわぁぁあん!! 美咲さん!! 本当につらいですその話!」
何故か凛が泣きながら先輩の手を両手で握っていた。
元々感受性豊かなこいつは、やはりこういう話には弱いのだろう。
まぁともあれ、これは言い訳をするチャンスだ、と思い俺は、
「なぁ凛。そういうことだから、先輩を家が見つかるまで居させても?」
「良いに決まってるよぉぉお!! それなら仕方ないもん!!」
うん‥‥‥彼氏の俺が言うのもなんだけど、凛がおバカさんで良かった。
まぁ、俺は変わらず凛のことが好きだし、凛も認めてくれたことだから大丈夫だろう。
凛の俺の家の居候許可に、先輩は隣で飛び跳ねて喜んでいた。
「ありがとう凛ちゃん! 凛ちゃんが後輩で良かったよ!」
「いやいやぁ、そんなことないですよぉ」
先輩に煽てられ、口では謙遜しつつも明らかに喜んでいる凛を見て、俺はため息が出た。
こいつ、色々とチョロすぎるんだよな‥‥‥。
今後、変な男に騙されないか不安になる。まぁ、その時は俺が容赦しないんだけどね。
「じゃあ、先輩はウチで居候という事で決まりだな」
「そーだね、よろしくだぞ健人くん!」
「はい、よろしくです」
「ん? ちょっと待って」
すると、凛が突然会話を遮る。
「私も一緒に住むよ?」
そう言うと、凛はニコッと笑いかけ、俺たち2人を見つめた。
そうかぁ凛も住むのかぁ‥‥‥ん?
凛も‥‥‥って、凛も!?!?
「「はぁぁあ!?!?」」
俺と先輩の驚きの声が同時に重なった。
「だーかーら、美咲さんが居候するのは構わないけど、私も一緒に住むって条件はのんでもらうよ?」
すると先輩が慌てたように、
「ちょ、ちょっと待って! 凛ちゃんは隣に住んでいるのだろう? なら、別に一緒に住む必要は‥‥‥」
「美咲さん」
「は、はい」
凛がキリッと鋭い視線を先輩に向け、核心をつくように言葉を投げかけた。
「ケンちゃんのこと、好きなんですよね」
「はいっ」
「美咲さんは自分の彼氏の家に、世話になった美人の先輩が居候する、って言い出したら平気でいられますか?」
「い、いられません‥‥‥」
「なら、そういうことです」
怖ぇ! 凛、超怖ぇえ! 何? 今の蛇を睨む蛙のような眼光! 女怖ぇ!
思わず、凛の殺傷能力が高そうな迫力溢れる眼光に体が震えてしまう。
先輩も、凛に口で言い負かされ、何も言えず呆然とうわの空だった。
「まぁ、ケンちゃんと美咲さんが二人屋根の下、何も起こらないわけが無いもん。美咲さんは前科がありますもんね?」
「ま、まぁね。でも、この程度で諦めるような女じゃないよ? 私は」
「望むところです。いくらでもかかってきてください、ケンちゃんと私の愛、しかとその目に焼き付けさせてあげますよ」
「ぐぬぬ‥‥‥だが、私の方が先に健人くんを押し倒したのだぞ? 凛ちゃんは二番目じゃないか!」
「くっ‥‥‥わ、私なんてケンちゃんのお、お、おち〇ち〇見たんですから! どうです? 何も言えませんね?」
「う、羨ましい‥‥‥」
いや、羨ましいって‥‥‥先輩、さすがにそれはちょっと引きます。
「健人くんが引いた目をしている!?」
「フハハハ! 美咲さん、哀れですね! というか、居候するんですよね? 美咲さん家事とか出来るんですか?」
「なにを当然のことを! 私の料理の腕前を見せてやろうじゃない!」
「じゃあ、後でケンちゃん審査員に食べてもらって、どっちが美味しいか、料理対決です!」
「望むところよ!」
先輩と凛はそう言い合って睨み合い、その間には「バチィッ!!」っと電撃が走りそうな勢いだ。
この後の料理対決に勝手に巻き込まれる俺、いと悲し。
まさか、俺を取り合ってこんな事になる日が来るなんて、二年前の俺には想像もつかなかっただろう。
だから、俺は言う。
「もしかして俺、今モテ期?」
「「うるさいっ!!」」
「はい‥‥‥」
目の前の二人に怒られ、俺はシュンと肩を竦める。
一体、俺の日常はこれからどうなってしまうのだろうか‥‥‥。
平穏だった日常にも、終わりは来る。
目の前で言い合う二人によって、俺の人生は大きく変化を遂げる。
それを知るのは、今から十年後のことだ。
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