19.レアキャラクター・クラブ、新たな活動
「レアキャラクター・クラブ」は何かにお熱でもいいし、何もしないでもよし。
ただ、一人一人の念願?を聞かされて、何も出さないわけにはいかなかった。
むしろ、ここで言うべきかも。
「おれは……将来モンスター駆除の仕事をしたいんだ。
助けてくれたのはIRGだから、出来れば、入隊もしたい。」
「なんだって」
周りの、特にカトーの雰囲気が変わった。
拒否とかドン引きって感じじゃない。
むしろ逆だ。
「それならそうと早く言ってくれ!
不良学生にぶん殴られてる場合じゃないよ」
カトーの目が輝いた気がした。
「とてつもなく好都合だ!
僕が作っているドローンは、コンペには非武装のまっさら機体を出してる。
でも、もう一台モンスター狩猟用を開発中。そっちが本命なんだよ」
「モンスター狩猟用ドローン……。まさか、ゴリゴリに武装させてる?」
「法律が許す範囲でね。
じゃあ、一緒にモンスター狩りをしよう!」
「うお。そう来たか」
そんな、簡単に言い出せるもんなの?
「機体の調整と、君の場数踏みが同時にできるってわけだ。
もちろん無理そうなのには手を出さない。アルマムースとか、やるだけ無駄だから。
あらかじめターゲットを決めておくんだ。
モンスター狩れるような学生となれば、いちゃもんつけるやつはまず居なくなるだろうな」
どうしよう。謎にわくわくしてきた。
「さっき法律って言ったけど、その辺は大丈夫なの?」
と、言いつつ、おれは前知識としてその辺の法律がゆるい事も知っていた。
この辺は自衛だったらある程度武器持っていいからなぁ。
だいたい超頑丈なコロニアルのせいのような気がするし、だから治安結構悪いままなんじゃ、とは思うけど。
カトーはニッと笑った。
「ライセンス取ればいいさ。もう保護者同意要らないから勝手でいける。
流石に取らないでやると後々苦しいな。
それさえクリアすれば……あとはもう釣りみたいなもんだよ。趣味でやってるやつもいる」
おれはケイドさんを説得する想像をした。かなり難易度が高そうだ。
(どうしよう……
ダマでライセンス取ってしまっていいんじゃないか?
それにしても、カトーも特に親とかに何も言わずにライセンス取るつもりなのか)
既に取っているのかもしれない、とさえ思えた。
カトーは残りの二人に話を向けた。
「ところで、ヒアリとトムはどうする?」
ヒアリは困惑してる感じだ。
「あたしはパスかな……。血ぃ嫌いなんだよね。
飛べたらまだしもなんだけど。
その代わりと思って、走るの頑張ったりした時期もあるけどね。
っていうか、ふたりとも大丈夫?
遠くで見ていて、危なくなったら救急呼ぶくらいならしてあげる」
パスっていうより、半分パスみたいな言い方をした。
ヒアリの遠慮下手ぶりは筋金入ってそうだな……。
「正直、トラブっておくなら未成年のうちだと思うしね」
その割に、変に思い切りがいい。
「オレはこの部室を守る」
トムは言い切った。
実質的な関わらない宣言にも聞こえる。
「わかった。トム。部室は任せた」
任せちゃうのか、カトー部長。
そう言えば、レアキャラじゃない工学部員もいるんだった。一人残ってたほうが都合いいこともあるか。
さっくりと意思確認が終わったところで、トムが複雑な顔をしていた。
「でも、モンスターって何なんだろうな。
とりあえず危険な生物をモンスターって呼んでるだけな気がするんだよ、オレは。
それって、概念としてはスッカスカだよな。
まあ、応援はしとくわ。病院送りにされないよう気を付けるこった」
こいつはこいつで、なんかブレないな……。
「そうと決まれば、決行日と獲物を決めようぜ」
「うん」
これはこれで、反抗してる感じなんじゃ?という事がおれの頭をよぎった。
ただ、やっぱり初日があんな修羅場でモンスターが全体的に憎かったこと。
……それに、勝利して生き延びた時の達成感を、今度は自力で手にしたい。
そんな気持ちがあって、天秤がぐっと傾いた。
自分の家(居候してるだけだけど)に戻ってきた時のおれの気持ちは、不思議と前よりも軽かった。
ひとまず目の前にやり切りたい事があるとくよくよしなくていい。
目の前とはいえ、結構時間が必要そうだ。
対して知識があるわけじゃないから、調べて計画案を出さなくちゃいけない。
武器みたいなものは、救出された時に全部没収された。
まあ、そうだよな。とは思うけど。ガチの武器だったし。
何を使って、どこで練習しようか?
ナゾの能力は、人に見せない方がいいって言われてたけど。
いざとなれば……、かな。
ライセンスの取り方も難題だ。
たまたま襲われたので自衛したというテイでもいけそうだけど、それだと繰り返しは出来ない。
持ってるとまずいものではなさそうなんだけど、問題は。
「ただいま」
かなり遅くになってケイドさんが帰ってきた。
激務だったのか、かなりくたびれている。
「ゲームしてないの、珍しいな」
「ちょっとね」
ケイドさんは何か言葉を返そうとしてる風だけど、視線が遠い。
そんなにキツかったのか。
割とクールなほうの人だから、ここまでくたびれてると目立つ。
「あー……。
ダメだこれ。俺はもう寝るよ」
「ご自由に。ここケイドさんの家だし」
「まあ、な」
(今は、話さない方がよさげだな)
おれはライセンス取得の話を見送った。
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