第5話 思わぬ出会い後編
洞窟の中は薄暗く、ひんやりとしていて、心地よいかぜにが吹いていた。
「ふむ、ここは、まだ魔物は住み着いてないみたいじゃの」
オルガは風の匂いを嗅ぎ、洞窟の空気を深く吸う。
「ばあちゃん、そんな事、わかるの」
フォウはオルガの行動を不思議そうに観る。
「フォウよ、魔物は特異な匂いがしてな、獣臭が普通の動物と違う、ここはなぜか、空気が澄んでいる、それと、壁を見よ赤い引きずった線があるじゃろ、コレは商人が安全に進めるという意味で付けておる」
壁を見ると、オルガが言った通りに、赤い線が先に進んでいた。
「線がない場所には向かうなよ、二人とも、トラップや行き止まりの可能性があるからの」
オルガは両手を腰に手を当て、あはは、と笑う
(本当に、愉快な人だわオルガさん、フォウくんもまだ幼くて可愛いし、守ってあげたくなるわ)
アザレアはオルガの心地よい雰囲気になごむ
オルガは赤い線がない所に移動して、壁に少し窪みがあるのを確認して、フォウたちを呼ぶ。
「確か、この辺だったはず」
オルガは壁紙の窪みを上に引き上げた、するとガコンという音が聴こえ、壁は上に上がってゆく。
「ここは?なんですか、オルガさん」
フォウとアザレアは初めて見る、隠し通路に驚いていた。
「ここは、人間の国が管理する倉庫になっている」
すると、倉庫の中から、大柄のマッチョが現れた。
「オルガさん、久しぶりですね、隣におられるのが自慢のお孫さんですね、はて?もうひと方は」
「野菜や果物が欲しいらしくてな、新人の冒険者じゃ」
大柄のマッチョは、礼儀正しく、かなりの博識で見た目は、紳士が着る服装なのだが、服がパツパツではち切れそうな格好だった。
「私の名前はジェームズです、よろしく、オルガさんは薬の師匠です」
大きな手を差し伸べ握手を求める、ジェームズ。
「こやつはな、薬屋の息子で、身体が弱く、病弱でな、大量の魔力を持っておってな、魔族と人間のハーフで格闘の達人まで登りつめた信頼できる人物じゃ」
どうやら、昔、オルガは薬屋を訪れ、ジェームズを救ったらしく、それ以来、オルガを師匠と呼ぶらしい、魔族と人間のハーフは魔力は高いが魔力の放出ができず、魔力を抑える薬を持って助けてくれた。
「あれから私は冒険者として、師匠にここの管理を任されている」
「ジェームズ、あれをフォウに見せてあげな、岩を粉砕する技じゃ」
オルガの説明だと、あらゆる物には、急所と言う物があり、そこを突くと破壊できるという、眉唾な話だった。
「わかりました師匠」
ジェームズは岩を人差し指で軽く突くと岩は粉々に崩れ小石くらいの大きさになる。
「いやいやいや!ありえないでしょ私は夢を見てるんだわ」
アザレアは頬に両手を当てて左右に振る、人差し指で、ジェームズは岩を粉砕したのだ、にわかには信じられるはずがない。
「僕がやっても一度も成功した事がないのに、ジェームズさん凄いです」
フォウは何度もオルガの岩を粉砕する技や、岩を豆腐のようにスパッと切る技を見ているが成功した事がなかった。
「フォウ、やって見よ!岩の急所を見極めるのじゃ」
オルガはフォウにすごみ、フォウに剣を持たせると、オルガはフォウの後ろに回りと一緒に持ち、
オルガは剣でトンと突いただけで、粉々に崩れ落ちた。
「どうじゃ!簡単だろう」
確かに簡単に崩れ落ちたが、どうすれば、どこを突けばフォウ良いかわからないでいた。
「アザレアよ!魔法も同じこと、急所に当たれば粉々になるぞ、まずは集中し、見極めることが大切じゃ」
「ジェイムズよ、最近、洞窟で変わったことは、なかったか」
唐突なオルガの質問で、ジェイムズはびっくりする。
「変わったようすは、ないのですが、魔族の国の方で動きがあったようです、魔族の国の反乱軍が勢力を拡大させてる様なので、我々も、気を引き締めないといけませんね」
その頃、孤児院では、オルガの使者が、孤児院を訪れていた。
「ここか、オルガさんがサポートしてやれと言っていた魔族の貴族がいるのは」
アイザックは孤児院の扉をたたく。
「すいません、どなたかいらしゃいますか?オルガさんの使いで来ました」
孤児院の扉が開き、孤児院の委員長が出てくる、アイザックは羊の皮で作られた、書状を委員長に渡す、「魔族の貴族に渡すように」
と書かれていた。
「アイザックさんですね私はここを経営するハンナです」
書状を見るなり、どうぞお入りくださいと
孤児院の中を案内する。
ハンナは色黒でショートボブで、麻のローブを着ており、あまり良い印象はもてなかった
「ハンナさん、オルガさんはまだですか?
今日、ここに来られるとお聞きしておりますが…」
オリビアはハンナの後ろにいた、アイザックを見て、どちら様ですかと訪ねる。
「申し遅れました、俺はアイザックと申します、こちらの書状をお受け取りください、オルガ様からお預かりした書状です」
二枚目の書状にはアイザックのことが、書かれていた。
「そうですか!オルガ様の親戚の方でしたか、念の為に合言葉をお願いします」
アイザックはオルガの孫の名前をフォウとハンナに聞く、そう、合言葉は孫のフォウとハンナに聞くことだった。
アイザックの姿はベレー帽とナイフを二本腰に刺し、盗賊のような姿をしていた。
怪しむのも当然だ、オルガの書状を盗んだ可能性もあるが、アイザックと言う名前と合言葉も知っていた。
「なぜ?そのような格好なんですか?盗賊ですか貴方は…」
シードが聞づらいことをスパッと聞く。
「あぁ!この格好ですか、私は冒険者のシーフで洞窟のトラップや宝箱の仕掛けを解除するのが俺の仕事なので、こんな格好で申し訳ない」
アイザックは申し訳ないと頭の上に両手をおき謝る。
「オルガ様は今、魔族の国の通り
貴族が挨拶する作法で挨拶をする、アイザック、未だに信じられていないが、合言葉も知っていたので、オリビアは信用出来ないが、信じることにした。
「わかったわ、アイザック貴方を信用します」
オリビアはさっそく、町の環境や周囲を確認したいとアイザックに説明した。
「わかりました!しかし、オリビア様の恰好は目立ちます、少し汚れてますが、このローブを羽織ってください」
今まで、城で暮らしていた、オリビアとシードは煌びやかな服で町を歩くと、変に誤解が生まれるとアイザックは考え説明した。
「そのような、ローブを羽織って歩けと?」
アイザックの考えはわかるが、オリビアはアイザックをまだ信用できてないため、少し反論してしまう。
「では!一度その格好で、町を歩かれて見れば分かります」
アイザックは少し意地悪そうにオリビアをからかう。
「オリビア様、アイザック様の提案を…」
シードは黙ってて、と反論され、シードは黙ってしまった。
「では、貴重な品をお預かりしたいのですが、俺が信用できてないのであれば、ハンナに預けてください、町には盗賊やスリがいますので」
アイザックの言う通り、馬車で孤児院に来てるので、ハッキリと町の様子は見れてなかった、アイザックの話だと、市民はかなりの貧困の差があり
孤児院はまだ、比較的にマシな方で、家を持たず、浮浪者も町を徘徊していて危険らしい。
「シード、この方の話は信用なりませんわ、自分の身は自分で守ります」
アイザックの言葉は挑発に聴こえてらく、オリビアは拗ねてしまう。
「申し訳ございません、アイザック様、お嬢様は一般人よりもお強いですので、ご心配なさらなくても、よろしいかと思います」
シードはアイザックに軽く一礼をし、先にローブを受け取ることなく、外に出ていってしまった。
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