第6話 オルガ、魔族の国に入国前編

オルガはアイザックに町を案内する書状を出したあと、ジェームズとの再会、傷薬の元となる、魔力が入った、よもぎ草を何枚か採取し、魔族の国に入国することを決意する。


「ワシは魔族の国に入国する、聖女様の安否が心配だからの」


魔王のあの暴れかたが妙に気になりオルガは胸騒ぎを覚えた。


魔王は、オルガとの闘いで、気に入り休戦を持ちかけたのも、魔王の方からの申しでだった。


「あやつめ、一人で行動しおってからに、ワシに相談すればよいものを」


オルガは思い出にもの深けっていた、反乱軍は、魔王と聖女との結婚で、反乱軍は一度は鎮静化していたが、力がある者が現れ率いているようだった。


「ジェームズ、アイザックにここに来るように頼んでおいたから、ワシは魔族の国にいると伝えておいてくれ」


フォウとアザレアは一度も岩を粉砕することはできず、オルガが魔族の国に入国する話を聞いていなかった。


「オルガさんは魔族の国に入国するらしい、君たちはどうする?」


ジェームズは二人を気にかけ、訪ねてみた。


「私は、目的を果たしたから、酒場でバイトかな」

アザレアは素っ気なく答える。


「僕はばあちゃんと一緒か家に帰るよ、クロも待ってるし」


フォウは少し寂しくなっていた、二人とこういった、冒険ができないのが年齢制限があって冒険者になれないのが悔しかった。


「オルガさん、そんなに急がないと行けない旅なのですか?」


ジェイムズは心配になり、オルガに訪ねる。


「あぁ!旧友のピンチじゃからな」


勝手に、国を渡るのは禁止されており、国の許可が必要になってくる。


「オルガさん、国の許可はどうするのですか?」


「それは、大丈夫じゃ、ワシが許可を出す」


ジェイムズの問いかけに、普通にうっかりと口が滑ってしまった、オルガ


「なるほど、オルガさんは王族いや、王妃だったんですね」


鋭い、考察でオルガは沈黙してしまう、一国の王妃がなぜ、ここまで強いのか、謎は深まるばかりだった。


「とにかくじゃ、ワシ一人で向かう、心配はいらん、魔族にはツテはある、万が一ワシが戻らない場合は魔族の情報屋ヤギと言う奴を探せ癖が強いが信用はできる」


オルガは一般から王妃まで、成り上がり、町の顔として有名で、オルガの家系は代々勇者の家系だった、それに、目を付けたのが今の国王、先代の勇者は女児しか産めず、勇者としての訓練は先代から承けていた。


「ジェイムズよ!フォウとアザレアの訓練を頼んだぞ、王国の剣術はフォウに覚えさせているが、まだ岩を割ることも粉砕することもできないからの」


つまり、聖女の正体はオルガの娘で、魔王の嫁となる、心配になるのは当然だった。


この事は、オルガの胸の内に秘めることにした。


「とりあえず、ワシは魔族の国の入口まで向かう、アザレアお主も魔力の補助の助けになる、薬草やキノコが手に入る途中まで来るがよい、フォウお主もだ、手伝いをしな」


洞窟の出口に向かう、三人パーティとジェームズも出口に行く、ゆっくりと、黒い影が出口を塞ぐ。


「フォウ、アザレアお前達はさがっておれ、ジェームズ、手伝いな!」


黒い影を松明の灯りで灯すと、でかい蜘蛛だった。


「蜘蛛か!しかも相当な魔力量じゃの」


蜘蛛は丁度食事をしている最中だった、突然変異の蜘蛛は魔力を含んだ、よもぎ草や他の動物も蜘蛛の糸に絡め取って、洞窟の生態系が狂いかかっていた。


「ジェームズ、少し時間がかかるかもしれん、こやつの魔力量、魔族並にあるぞ」


魔物が魔族並の力を持つのは稀でどうなるかは、まだわかってなかった、シュルルーシュルルーとかなり興奮気味の蜘蛛はオルガに襲いかかる。


蜘蛛はフォウ目掛けて糸を吐いてきた、オルガはフォウの前に立ち糸を薙ぎ払う、ジェイムズは糸を吐き終わった蜘蛛を全力で右手で殴るが、全く効いてなかった。


「オルガさん、私の火の魔法で!」


アザレアは構えて、火の魔法を放つが、これも効果がなかった。


「やつは、土属性じゃ効かぬ!厄介じゃな」


油断した、オルガはフォウの横に移動しており、

そこを狙って蜘蛛は糸を吐きフォウに巻き付けて、蜘蛛の腹にある大きな口の中に捕らえられてしまった。


「うあああ、ばあちゃん助けて!」


蜘蛛の腹の中で声が聴こえる。


(小僧聴こえるか?頼みがある魔族の反乱軍と言う者がオレを世話してくれた方を連れ去ってしまって力を蓄えた、でも限界これ以上は強くなれない力かせ!)


「わかったよ、力を貸して蜘蛛さん」


急に静かになり、蜘蛛も動かなくなる、蜘蛛は青く光、だんだん、萎んでいき、黒い刀になる、右手に収まり頭の中に話しかけてくる。


(失礼した、人間や魔族の奇襲を受けて、苛立っていたのだ、オレの名前は土蜘蛛だ、他の人間には聴こえない持ち主でなければ聴こえない、お前は力を求めた、約束だぞ小僧)


「フォウ!大丈夫か?」


オルガは倒れそうになるフォウを抱きとめた。


「ばあちゃん、大丈夫?」


「お前は、他人の心配をして自分の心配をせぬか!」


そうとう、疲れたのか、フォウはオルガの声は届かず、ぐったりとオルガの腕の中で眠ってしまった。

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