夏の雨の降る日 第1話 老戦士の日常

魔王の息子は人間の住む国で、老戦士が教会で拾われ、すくすくと育っていった。


「ばあちゃん!おかわり」


街の離れた場所で暮らす老戦士オルガナ、ほぼ森の中で誰も近ずかない森、オルガナは森の中でキノコやイノシシを取り暮らしていた


2人で暮らすのはさすがに限界があり、オルガナはプレゼントもろくにできない、生活には不自由はないが、文字や本を読むことができないので、ボードとチョークを買い、毎日

個人授業を行っていた。


(ふ、ふ、やっと寝たか、これから街の酒場で

依頼をこなして、朝方には戻るかのう)


依頼は夜中に終わらせ、酒場に申告し依頼金は別のお金預かり所に預け、夜中から自分達の生活する食材を取り、難なく毎日幸せに暮らしていた。


「おい!見たか?あの婆さん、ついさっき依頼受けたばかりなのにもう終わって戻って来たのかよ?凄すぎだろ‪w」


酒場は依頼や食事が出来て街の何でも屋の様な存在だった。


オルガナは酒場で有名で疾風の老戦士と呼ばれていた、依頼をこなし、すぐに帰る、謎の老戦士、どんな強面の男より強く、腕が立つ


しかし、夜だけしか、依頼を受けない、そこも謎だった。


それも、そのはず、まだ小さい孫の世話をしているとは、誰も思うまい。


「オルガさん今日の依頼ですが昼は無理でしょうか?」


酒場ではオルガと名乗っている、オルガナ


「何だい?昼間は無理と言ったろうが!料金次第では考えなくはないがね!」


別に金には困ってないのだが、孫には必ず必要になって来る、未来の為、渋々、聞いてみる。


「実は昼間に魔族らしい騎士がこの辺をウロウロしていていざと言う時に、オルガさんがいたら頼もしいのですが!」


酒場のマスターはオルガにヒソヒソと耳打ちする。


その話を聴くとオルガナは、少し困った様な態度になり人差し指と親指を自分の顎に乗せ

考え込む。


(まさか!魔族がここを嗅ぎつけてきたか?

まだ早いあの子は、恐らく魔王の息子、探しに来たか)


「美味しい話じゃが、ワシには孫がおってのやはり無理じゃ!」


(ここは、あの子の訓練を急ぐしかないのぅ)


15年後、孫は逞しく育ち、オルガナの剣術を全てを吸収していった。


運悪くオルガナは依頼をこなす際に腰を悪くし孫のフォウに頼んだ、イノシシを二頭のかるい依頼だった。


腰を悪くしたのは嘘で魔族がここを嗅ぎつけてきたので、フォウを街に追い払う嘘だった。


街の酒場に匿う様にオルガの名前で依頼していたので、酒場のマスターはフォウを店の皿洗いをさせ1日を過ごさせた。


「久しぶりじゃな!魔王、随分と若くて羨ましいのう」


森では魔王がオルガナに会いに来て、一色触発の状態だった。


「勇者オルガナ、あの美貌溢れるお主が随分と老けたな!お前からは魔族の独特な匂いがする私の息子を匿っているのは分かっているすぐに渡せ、妻の事は不問にするが人間が許せん」


魔王は剣を抜きオルガナに闘いを挑む


「お主、何を言ってっおる」


オルガナは悟ってしまった、魔族のいざこざ、昔、人間の住む国でも同じことがあった

オルガナは魔王の葛藤を汲んで甘んじて受けた。


「全力でかかってこい! 相手になってやろう!」


オルガナは闘いの前に禁術を使い、若返る


「この術は使いたくはなかったが仕方ない!」


オルガナは曲がっていた腰がピンとまっすぐになり、肩にかかったピンク髪のおさげを親指で弾く。


「勇者オルガナ、昔は遅れを取ったが今宵は一味違うぞ!」


「何を言うか!ワシがこれまで何もしてなかったとでも思うてか?」


魔王は同族の唆しをくらって、冷静を欠けている。


一方、オルガナは自分の力を試したくて、仕方なかった。


それを、知らずにフォウはオルガナの言いつけを守らず、酒場から森に帰っている最中だった。


「ばあちゃん、驚くだろうなぁ、お駄賃貰って少し高いヘアピン買ったから」


フォウが帰るころ、雨が降ってきた、森を抜けた先に広場があり、そこでオルガナ達は決闘をしていた。


ギン、ギンと剣を打ち合う音がなっていた、

幸い、大きな岩陰でフォウの姿は隠れて、2人の決闘を見ていた。


「誰だあの2人?凄い、けどあの動きばあちゃんにそっくりだ」


風を切る震度が生で伝わり、ぞくりとする、

フォウは森の動物と仲が良く、狼がペットとして懐いていた。


狼は唸り声をあげて、魔王に襲いかかる。


「バカ!来るんじゃないよ」


「なっ!なぜここに魔狼が?」


魔王は魔狼に剣を刺そうとするが、速すぎて魔王の剣を受け流す。


「ふん!興がさめた、今日のところは魔狼に免じて帰るが勇者オルガナお前は許さん」


「フォウ!出ておいで、居るんだろ?」


優しい口調で岩陰の方角に話しかける


「ばあちゃん!無事で良かった、心配したんだよ」


少し、涙目になって、抱きつくフォウ


(この子はワシが護らなきゃ!まだ奴には渡せん)


フォウの肩に自分の肩を乗せて二人と一匹、自宅に戻る。

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