第10章 最後の隠れ場所
14時前には部屋を出た。
建物の外へ出て、広い庭を探してみる。生きものたちはすっかり
「うーん、反応がないなぁ」
「どうしよう。1時間しかないのに」
ザザは魔法使いだ。隠れずに動き回っても、あっという間に見つかってしまいそうだ。
「ザザみたいに変身しないと、見つかっちゃいそうだよね」
「そんなこと、できるわけないよ」
魔法使いの生きものが見つからなければ。私は心の中でそうつけ足しながら、
急がないと。私は庭の
案の定、そこには馬たちも戻ってきていた。そういえば、ここの馬はこの前、1頭だけしか反応しなかった。
私は1番小さい馬のところへ真っすぐ向かった。馬たちは草を食んでいて、私たちなんかどうでもいいみたいに見える。
「どうするの?」
「小さい馬に相談する」
そして、文字どおり、そうした。馬が笑ったように見えた。
「私の足元にいれば
本当に大丈夫だろうか。かえって不安になる。だけど、この馬は前に助けてくれた馬だ。
「本当に大丈夫?」
「信じるしかないよ」
私は馬の囲いを確認して、そっと中に入る。毅も
首から
「小さくするので、気をつけてくださいね」
馬がそう言うのが聞こえた。
次の
私は下へ移動しようとしてみた。そのまま草に
「毅、端っこにいよう」
「うん」
「しゃべらないほうがいいと思うよ」
馬に注意されて、私たちは
しばらくすると、ザザが通りかかる。私はハラハラしながらも、
ザザはそのままどこかへ行ってしまった。
時間はゆっくりと過ぎていく。虫になっていると、なんだか花の香りに引きつけられてしまいそうだった。だけど、出て行けば帰れなくなる危険が増す。
そのまま
それから1度、部屋に戻ると、私たちは軽くお
「こんな時間に出ていいのかな?」
「知らないけど、いつまでもいるわけにいかないよ」
ナップザックを背負って、部屋を出る。そのまま1階に降りると、
「ねえ、あれ」
「うん」
不気味な裏庭に出ませんように。
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