第2章 不思議なアトラクション
私とお母さんは、2人が
船の乗りものは、よく遊園地にある、前後に大きく
何人かの知らない人たちと同じ列に乗る。私は少し
船はゆっくりと動き出し、最初は小さな動きから、
私はそんな怖い思いはしない場所で、落ちるたびに
この船の近くに魔法のホウキというアトラクションがあるのだけれど、私は「少し休む」と言って、売店で飲みものを買ってもらう。お父さんとお母さんはコーヒー、私はよく知らなかったけれど、グァバのジュースにしてみる。イメージ画を見る限り、果物っぽかった。毅はカルピスを買ってもらっていた。
グァバのジュースは赤かった。
売店の席は少なくて、私たちは立ったまま飲みものを飲んだ。グラスに入れてくれたけれど、ストローは使わなかった。なんとなく、いいや、と思って。
魔法のホウキのアトラクションは、屋内だった。建物のデザインは変わっていて、ドームみたいな建物の正面には、大きく引き
ドームは全体が緑色で、屋根の部分はきらきらと日光を
建物の中に入ろうとしたとき、毅があっと
「今、ゲーセンっぽいのがあった」
「いいから、中に入ろう。空飛べるよ」
お母さんがごまかすように言い聞かせて、半ば
「ホントに空飛ぶの?」
「さあ、どうかなぁ」
私は内心、そんなわけないと思いながら、毅を引き込むため、
エントランスで簡単な案内をしていた。係の人が、声を張り上げて、
案内された部屋は、かなり
ホウキはつくりものっぽい感じがした。竹ボウキにしては、整いすぎた形をしている。
「みんな同じ形だね」
「うん」
毅はうなずいた。でも、ホウキが設置されている高さはいろいろで、大人から子どもまで、自分のサイズに合わせて選べそうだった。係の人が私たちを見て、適当な場所へ連れて行ってくれる。私は
家族みんなが離れ離れになっていた。身体を前に乗り出して右のほうを見ると、少し離れたところにいるお父さんが、心配そうにこちらのほうを見ているのがわかった。毅を見たいんだろう。
説明係の声が、スピーカーで
「これからお手元のホウキで空を飛びます。しっかりホウキにつかまってください。
私は注意されたとおり、携帯をマナーにして、ホウキにしっかりつかまり直した。
足が
「
景色はどんどん動き、私たちは海の上を飛んでいく。そんなに高度は高くないのに、
寒いわけだ。いや、建物の中のはずだから、本当に寒かったらおかしいんだけど。ただ、死ぬほど寒いわけじゃないので、これも
ホウキの先が曲がり、左へカーブするのがわかった。しばらく寒い場所を飛んで、さらに左へカーブすると、今度は逆に暑い場所に入って行く。
景色も大きく動いた。緑がほとんど見当たらない場所に、砂色の箱型の建物がずらりと並んだところを通る。また海を越えて、今度は石でできた建物が並んだ地域へ入って行く。このあたりになると、暑さも落ち着いて
動画や写真でも、テレビでも見かけない建物が見えた。短時間で消えてしまうので、ゆっくり観察する
それから、レンガ造りのいくつかの建物が集まった場所で、中央の1つの建物だけ、なぜか
風が少し弱まった。最初の緑色の景色にならないうちに、降りるらしい。どうせ映像だから、どこでもいいんだろう。ゆっくりと下に向かって、着いた場所は丘の上だった。下のほうを川が流れ、山と木々に覆われた場所だ。
私は現実に返る。お父さん、お母さん、それに毅と合流しないと。
毅は迷子にならずに済んだらしい。本人もわかってはいたらしく、他の人たちが動くまで、自分が乗っていたホウキのすぐ
カラフルな遊園地の中で、人々の笑い声や
さらに先へ進むと、ジェットコースターのようなアトラクションや、怖そうなアトラクションの数々が見える。中には水しぶきを浴びるんじゃないかと思うアトラクションもあった。
この遊園地のマスコットらしい3人のキャラクター――入口の看板の3人らしい――のぬいぐるみやグッズを置いているお
朝早くから車で来たので、長く走って来たとは思っていた。東京じゃないんだろう。この遊園地は結構、広いらしい。景色が見える汽車の中で、改めて地図を見る。青い地面のエリアから、ぐるーっと大きく右から回り、ピンクの地面のエリアへと入っていく。緑のエリアを通ったとき、もうひとつ奥にエリアがあるのに、そこを通らず、汽車はそのままピンクのエリアへと向かっていった。
園内の移動には、汽車に乗る、歩く、サイクリング・レーンを利用する、園内を
移動した先でフラワーガーデン・コースターという、普通のジェットコースターほど怖くない、少しゆっくり、ずっと長く走るコースターに乗って、その広いフラワーガーデンを
バラがきれいに咲いていた。アジサイが少し咲き始めていた。名前を知らない朝顔に似た花や、ピンクの花が、
お母さんが少し不思議そうに首をかしげた。何が気になるんだろう。
私たちはガーデン・レストランに入る。ガーデン・レストランの食事は、ちょっと不思議な感じがした。レストランは屋外で、テーブルやイスは白い、よくヨーロッパのカフェの映像とかに出てきそうなイメージのセットだった。ただ、レストラン全体が花で
私が頼んだのは、から
「この花、食べるの?」
「食べられるよ」
花を食べるなんて、考えたこともなかったのに。でも、蜜を
プレートの花は、それだけで食べるとあまりおいしいとは思わない花もあったけれど、
毅はまだ少しゲームに未練があるらしく、お母さんの手から地図を取ろうとしていた。
「どうしたの?」
「ゲーム、どこ?」
「ゲームはいつでもできるでしょ?」
「うーん……」
でも、それは
「まったく、遊園地まで来て、何やってるんだか……」
あきれ顔で見つめるお母さんの横で、私は思わず笑ってしまう。
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