第12話 勇者編の破滅パターンはという…
「盛り沢山のパターンがあったからな…。」
確かにやたらにあったことを、メリーウェザーは思い出した。まるで、後付けのように、単なる乙女ゲーム、恋愛脳ではないという言い訳を捜したように。
「まあ、少なくともセイが勇者になったり、勇者とともに、というのは無しね、王太子妃になることは決定したわけだから。」
「かなりのパターンが、それで、確かになくなったな。」
オズワルドも同意した。
「お前も、勇者編をやったのかい?」
「たいていの女の子は、やっていたわよ。バカにはしないで。」
不満そうにメリーウェザーは応じた。確かに、女の子は前半を、と言う、自称専門家は男女問わず結構いた記憶がある、なに言ってるの?と反論したい気持はあったが、自分が知っているのは狭い範囲だから、反論できないとも思ったものである。
“私、メリーウェザーに王太子アランとの仲を引き裂かれ、失意の中で、勇者になったり、勇者の仲間になったりで色々…でも、それはなくなったから、セイが主役クラスになる話しはないわね。すると…。”
「勇者か、その周辺の登場人物が完全な主役で、俺達が絡むパターン…」
オズワルドは、メリーの考えを読むように言った。
「そんなのあった?あ、そう言えば…。」
王太子妃を追い落とそうと、勇者を利用しようとしたり、勇者を殺そうとしたり、無実の罪を着せたりしたと、
「結構、メリーウェザーは悪事をしまくっていたわね。」
少し悲しくなるほどだった。
「その大半に、オズワルドも加担していたよ。お前が、メリーウェザー無しでも、俺、オズワルドは悪事を働いて破滅していたよ。」
「それじゃ、あんたのせいで、私の破滅フラグが増えちゃった訳ね。あ、加担しなくても、妻の私は、路頭に迷って破滅の運命?酷いわよ。」
「申し訳ないな。破滅しないように妻として協力してくれよ。」
「仕方がないわね~。」
そう言って、意気消沈しながら、オズワルドの顔をあらためてじっと見て、
“こんな男となんか…まあ、悪くはないけど…え…ちょっと?”
“これだけの美人だから満足と言えば言えるが…おい?…何で気がつかなかった?”
「ちょっと、あんた?」
「お前、まさか?」
二人の顔が近づいているのを見て、押し合うように争う二人の侍女達は、「あんなに顔を近づけて、お嬢様ったら!」
「王子があんなに親しげに!」
不本意に感じつつも、お互いを見て、
「確かに、喜ばしいと言えるのだけど。」
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