異世界へ6 (第7話)

『そして、火属性体術を使えるようにして。』

「えー、とんだ無茶ぶりじゃないですか。」

『ちなに、才能のある人は数時間で。凡人は1日ほどで習得できるよ。まあ15歳 でやっと能力発動する落ちこぼれでも2,3日くらいでできると思うよ。』

普通にひどくないですか!泣けてきちゃいますよ。

「実際にどうやるのかお手本みせてくれませんか。」

『それは無理。私光魔族だから。体術使えない。』

「そうなんですか。」

それじゃあわたしは、見たこともないことをやらなければならないんですか!?

『それじゃあ、わたしは散歩にでも行ってくるから。』

「え、ちょっとm…」

行っちゃいました。

あれ?そういえば、なんで魔力の修行をしているんでしたっけ。なんかその部分の「記憶」だけなくなったような気がします。



私はひかり。私は初級魔法を20分程で習得した。そんな私がまさかあんなに弱い子を弟子にするなんて、ちょっと前の私じゃ考えられないな。なんか彼女を見ると少しいじめてから甘えさせたくなっちゃう。やばい、何かに目覚めちゃってる。これじゃあ変態…、いや変態だ(確信)。たぶん「表には」出てないよね。それより散歩ついでに買い物して3時間もたっちゃった。沙苗ちゃんの修行上手くいってるかな。っと、着いた、着いた。

『ただいまー。』

「ひかりさーん。見てくださーい。」

っと言いながら彼女が走ってきて見せに来たものは

『これは中級体術じゃん』

それは確かに「獄炎斬り」のできる魔力をまとった剣だった。おかしい。中級クラスは天才でも2時間くらいかかるのに。これを沙苗ちゃんクラスの雑魚が3時間で。』

「途中から思いっきり聞こえてますからね!ないちゃいますからね。」

『ごめん。いまいったことは全部本当のことだからって、あっ。』

「あっ、じゃないですよ。絶対わざとやってますよね。

 でもそれって私がすごいってことですよね。」

『あっ、うん。一応。』

まあ、私は1時間半くらいでできたんだけど、とはいえなかった。それ以上言うと泣いちゃいそうだったし、なにより彼女の今の笑顔は崩そうと思えなかったからだ。

『そんなにうれしいの?自分に素質があるってわかって。』

「ううん。なんかひかりさんに初めてまともにほめてもらって、なんかうれしいん です。」

私は同性のはずの彼女の言葉に、思わずドキドキしてしまった。ていうか、彼女のあの笑顔、ちいさいころどこかで。

「そういえばここにはとても強い魔物がきたりしないんですか?」

『ここは魔王の拠点から遠いし、人も少ないから強い奴はほぼ絶対来ないよ。』

あれ?これってフラグじゃ。

「アナウンス!魔王幹部接近中!」

「『あっ!』」

『フラグ』

「かいしゅうしちゃいましたね。」

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