異世界へ1  (第2話)

「沙苗!突然ほっぺつねってどうしたの?」

「すいません。あまりにも非現実的な事をお母さんが言うので、もしかしたらゆめ なんじゃないのかなって。」

「それは耳が生えた時点で疑うべきだと思うのだけれど。」

言われてみればそうでした。

「それと、能力は適当に念じればまたはえてきますよ。」

念じるだけで発動する能力ってどうなんですかね。一気に安っぽく感じちゃいます

「ちなみに能力を発動するとどうなるんですか?」

「まず、魔力が大幅アップ!」

「おおお!!」

「そして身体能力アップ!」

「おおおおおおおお!!!」

それって結構すごい能力なんじゃないんですか。もしかしてこの能力を使って人生イージーモードだったり。

「ちなみにこの能力って、あなたのこれから行く異世界ではそこまで珍しくないの

 よ。まさかこの能力で楽できるとか小学生みたいなこと考えてないわよね。」

この人私の考えを見抜いたうえでこういうあおりしてくるから、本当にむかつくんですよね。ていうか、

「今さらっと言いましたけど、異世界って何ですか!しかもなんで私が行くことに なっているんですか!!」


私はちょっと怒り気味で言いました。

「ですから、沙苗は高校には通わないんですよ。さっきいったじゃないですか。」

「それはきいていましたよ。そうじゃなくて、なんでそこから異世界に行く話にな

 るんですか。」

本当にこの人の思考回路は読めません。本当に頭のねじ5本位抜けているんじゃないかうたがっちゃいます。

「そもそもお母さんの言う異世界ってどんなところなんですか?」

「まあ、その辺は沙苗が現地で調べるとして。」

「いやだめですよ。というかまだ行くって決めてないですし。」

私がそう言うとお母さんは、舌打ちをしてから何か唱え始めた。そして最後に

「あなたはあそこに行ってあいつと戦うまで帰れない。」

といって、私の頭に手をのせてきた。すると、お母さんの「異世界に行きなさい。」という言葉に逆らえなくなっちゃいました。


「それでは異世界に行きましょう。」

と言って、お母さんは車を出しました。いったい車でどうやって異世界行くんでしょう。とりあえず乗って走りだしました。 

「そういえば荷物にしっかりあれをいれたの?」

「はい。あれはきちんと入れました。」

「沙苗はあれさえあればどんなピンチも乗り越えられると思うから頑張ってね。」

このお母さんが素直に応援するなんて、やな予感しかしないんですけど。それとあれっていうのはですねって、説明する前についたみたいです。なんか駅の改札口みたいなところに「異世界の入り口はここ」って書いてあるんですけどまさかここじゃないですよね。

「ほら、ここから異世界に行けるから、早く行った行った。」

ここだったー!

「それじゃお母さんいってきまーす。」

ほんとは行きたくないんだけどなぁ。なぜか体が言うことを聞かない。

そうして私はお母さんのせいでほぼ強制的に異世界にいってしまった。


「沙苗にはいろんな物持っていかせたけど大丈夫かしら。私が呪いで無理矢理行か せたといっても、少し心配だわ。いくらあれを持っているとはいえきけんなこと にはかわりないしね。今回の異世界生活でしっかりあれを治せるといいけど。」

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