第11話 くるしい

くるしいくるしいくるしい。とても、とてもとても見るに堪えないものをみた。私ならもっと上手くやれるのに。わたしなら、わたしなら。


だからどうした。"それ"の作者は私ではないのに。

やりきれない感情を文章にしてごまかすことすらやめたのに。

書きかけの夢物語さえ捨てたのに。私にはそれを非難する資格すら、もっと上手くやれるという感情をもつことすら間違えているのに。


ああ、なぜ、私は自分の文章に飢えているのだろうか。

ごちゃまぜの私の感情を、べつの薄い膜で覆い隠して、浅く、浅くなったこの感情は、果たして文章に乗るのであろうか。

きっと何にもならないだろう。チラシの上の文章に読み手が存在したとして、この文章は無味無臭にしかならないのではないか。


今文章を書いている私のように、味のしない文に目を滑らせて、ガムのように吐き捨てるのだろう。


私のこの感情は文章に乗っているのだろうか。

読み手に伝わるのだろうか。


答えは否。だれが好んで砂を食べようか。

--

久しぶりにここを訪れた。溢れた感情を慰めるために。だが、アカウントのパスワードすらどこかにやっていたようで、チラシを手繰り寄せられた頃には感情は冷めていた。それなのに、なぜ私は文章を書いたのだろうか。

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