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「くっ……! あんなにも美しい女神だったのに、一瞬で消えてしまうとは! 美人薄力粉とはまさにこのことか……」


 女が消えた直後、ヒューヴはがっくりとうなだれた。美人薄力粉ってのは、美人薄命のことかな。バカが無理してかっこつけたこと言おうとするから。


「……で、俺たちはこれからどうすりゃいいんだ?」


 俺はその場に残された女のハープを拾ってみたが、今までのやつらの遺品と違い、何も起きなかった。三人倒したら、自動的にラファディってやつのところに行けるんじゃねえのかよ?


 と、そのとき、


「……うう、私はいったい……」


 ずっと床に転がしていた変態女が目を覚ましたようだった。ゆっくりと起き上がった。


「さっきの場所とは違うわね。いったい何があったの?」

「ああ、実はかくかくしかじかでな」


 俺は簡単に今までの経緯を説明した。


「そう。どうりで二人ともおかしな感じになっているわけね」


 変態女はヒューヴとシャラを見て言った。確かに、二人とも一目でわかるおかしさだ。


「まあ、このまんまでも特に支障はないんだがな」

「そんなこと言っちゃかわいそうよ。元に戻してあげましょう」

「戻せるのか?」

「ええ、ちょっと待っててね。まずは魔力を回復させるから」


 と、変態女はリュクサンドールの肩に手を置き、やつの体から魔力を吸い始めたようだった。闇のけがれた魔力らしいが、浄化しながら吸収してるんだろうか。


 やがてチャージ完了したのだろう、今度はおかしくなっている二人の背中にそれぞれ手を置き、目を閉じて何か魔法を使ったようだ。


 直後、


「あれ? なんか体から力が抜けたぞ? サキちゃん、オレになんかした?」


 と、ヒューヴは元のゆるい口調に戻り、


「私……何かとてつもなくクサイ台詞ばかり言っていた気がするわ……」


 と、シャラも正気に戻って、スケバンモードだった自分を恥ずかしがり始めた。うむ、二人とも元に戻ったようだな。翼や髪の色もすっかり元通りだ。


「で、みんな元に戻ったところで、俺たち次はどこに行けばいいんだよ?」


 俺は改めてハープを掲げた。手掛かりはこれだけだが、使い方がさっぱりわからん。


 すると、


「三人の番人を倒せば、封印の間とやらに行けるという話だったのよね? だったら、三人がそれぞれ残した道具をあわせて使えばいいんじゃないかしら?」


 と、変態女が言った。なるほど、実にもっともな話だ。


「よし、じゃあ、全部の道具をまとめて使ってみるか」


 俺は割れた眼鏡をかけ、ダウジングロッドを握り、それでハープの弦を鳴らしてみた。ポロロンッ、とな。


 すると――直後、俺たちは謎の光につつまれた!


「これで正解だったようね」

「マジか」


 こんなアホなやり方でよかったのか。というか、俺たちやっぱりこの女がいないと先に進めないみたいだな。このタイミングで目を覚ましてくれてほんと助かったぜ。

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