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「待てよ? この音楽が流れている間は、時間が止まっているということはだな……」
俺は瞬間、とてもとても重要なことに気づいた!
「この音楽をあの女湯に持ち込めば、時間を気にせず、おっぱいを楽しみ放題じゃねえか!」
俺は即座にその謎火星人の触手からラジカセ?を奪い、女湯に戻った。待ってろ、裸の美女たちィ!
だが、俺がそこに戻った時には、すでにカラクリの女たちの姿はどこにもなかった……。
「あ、あれ?」
湯煙の中、ラジカセを抱えて一生懸命探すが、どこにもいない! いない! なんでだよ!
「……君がこのステージを突破した時点で、彼女たちの役目は終わったのだ。だから、彼女たちは消えたということだ」
と、そんな俺のもとに、謎火星人がやってきた。
「くっ……。幸せな時間は長くは続かないということか……!」
諸行無常すぎる!
「さあ、彼女たちの未練は断ち切ったことだし、早く向こうに戻って、僕と一緒に楽しく踊らなイカ?」
「それ以外に選択肢はなさそうだな」
しぶしぶ、謎火星人と一緒に次のステージに戻った。そこは女湯と違って、何もない空間だった。背景描くのめんどくさい漫画かよ。
「しかし、本当にこの音楽が流れている間は、俺の時間は止まってるんだろうな?」
ラジカセを謎火星人に返しながら尋ねると、
「心配するな。それは間違いのないことじゃ」
謎火星人の代わりに亀妖精が答えた。まあ、こいつが言うなら確かなことなんだろう。
「じゃあ、このウネウネした触手野郎も、あの女たちと同様、カラクリなのか?」
「そうじゃな。この遊具の一部にすぎん」
「ふーん。じゃあ、あいつも俺がここを突破したら消えるのか」
まあ、女たちと違ってそれはどうでもいいかなって。
「……で、なんで俺はここで踊らなくちゃいけないんだよ。そこの触手、理由を説明しろ」
「僕より上手に踊れたら、君は先に進めるのさ」
「マジか」
こいつ、こんな触手まみれで俺とダンスバトルする気か。
「でも、踊りの上手い下手はどうやって採点するんだ?」
「それはもちろん、専用のパネルを使うのさ」
と、謎火星人はそこで触手を四本、前後左右に伸ばした。すると、たちまちその四方向にうっすら光る透明のパネルが現れた。ところどころ、丸い輪が描かれているようだが……?
「これらの丸い輪は、音楽のリズムに合わせてそれぞれ違うところが光るようになっているんだよ。それを順番にタッチしていけば、自然と完ぺきな踊りが踊れるようになるってわけさ」
「へ、へえ……」
これアレじゃね? もろにDなんとかっていうダンスゲーじゃね? ゲーセンによく置いてあるやつね。
いやでも、アレと違ってパネルが多いな? 微妙に仕様が違うからセーフか?
「じゃあ、まずは僕がお手本を見せよう。ミュージックカモン!」
謎火星人はラジカセを足元に置き、大きく体をくねらせた。たちまち、流れていた音楽はリセットされ、曲の初めから再生され始めた。
そして、そのメロディに合わせて、周りのパネルの輪っかは次々と光りはじめ、謎火星人はそれを触手で正確にタッチしていく。シュバシュバシュバッ! それは恐ろしく素早く正確な動きだった。というか、輪っかの点灯もめちゃくちゃ激しい。これダンスゲーとしては鬼難易度だろ!
やがて、その触手ダンスはすべて終わったようで、パネルに点数が出た。九十八点だった。
「……ふう。百点満点とはいかなかったか。残念残念」
謎火星人は何やらそれを見て笑っているようだ。
「なあ、もしかして俺、ここで九十九点以上出さないと、先に進めないの?」
「そうだな。君は僕より上手く踊らないといけないということだからな」
「えぇ……」
どうしよう。俺、こいつに勝つ自信ないんですけど。こいつと違って、手足四本しかないし。
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