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「オレタチ、マエニ、ワンダートレントクッテタ。クルヒモ、クルヒモ、ワンダートレントノ、ゴハンダッタ」

「ああ、確か人間に駆除を依頼されたんだっけ」


 こいつら、ようするにヤギだからなあ。


「ワンダートレントノ、ネッコ、オイシイ。デモ、マイニチマイニチ、ソレバッカリダト、チョットアキル。ホントウニオイシイモノハ、トオカニイッペングライニ、タベルノガ、チョウドイイ」

「そ、そうね……」


 ヤギにもそんな思考あったのかい。


「ソンナトキ、オレタチノマエニアラワレタノガ、コイツラ、ケルジャンダッタ」

「え、駆除作業中にこのパン……ケルジャンに会ったのか?」


 いったいどういう状況なんだろう?


「こいつらってベルガド以外にも生息しているものなのか?」

「ケルジャンハ、ココ、ベルガドニシカ、イナイ。ソウラシイ……」

「じゃあ、なんでベルガドの外でばったり出会ったんだよ?」

「ケルジャンモ、オレタチトオナジヨウニ、ワンダートレントクッテクレト、オネガイサレテタ、ニンゲンニ」

「ああ、ヤギ部隊以外にも駆除用の生物兵器用意してたのか」


 まあ、策は二重三重にめぐらせておいたほうがいいしな。


「ケルジャン、カラダオオキイ。オレタチヨリモ、タクサン、ゴハンタベル。ダカラサイショ、ニンゲンタチ、オレタチヨリモ、ケルジャンニ、キタイシテタラシイ」

「まあ確かに、よく食いそうではあるよな」


 ほぼパンダだしな。一日中竹食ってるイメージしかねえしな。


「デモ、ケルジャン、ワンダートレントタベナガラ、ナカマドウシ、ケンカシテバカリダッタ。オレタチ、カシコイ。ケルジャン、オバカ。ケルジャンノ、ワンダートレントノクイカタ、スゴクヘタクソダッタ」

「いや、それ今のお前が言えるセリフじゃねえだろ」


 お前も十分今はバカになってるでしょ。


「オレタチ、ニンゲンニ、タクサンホメラレタ。ソシテ、ケルジャンハ、ヤクタタズダッタカラ、ベルガドニ、カエサレタ。デモ、ケルジャン、ベルガドニ、カエルマエ、オレタチヲ、コウゲキシテキタ。イッパイイッパイ、コウゲキシテキタ」

「仕事ができないやつの嫉妬かよ」


 なんか職場のもめごとみたいな話になってきた。


「オレタチ、キホンテキニ、ホカノモンスタートハ、アラソワナイ。オレタチ、カシコイ。デモ、コウゲキサレタラ、ハナシハベツ。コウシテ、オレタチハ、ハゲシクアラソイアッタ……」

「そ、そう……」


 予想以上にどうでもいい話だった。聞くんじゃなかった。


「で、たぶん、今までの流れからするに、こいつらはバカだからお前たちカプリクルスにはかなわずに負けたんだろ? それで、今はただ逆恨みの憎しみを募らせてるんだろ? 役立たずの烙印を押した人間に対しても、カプリクルスに対しても?」


 と、俺が言うと、


『たわけが! 黙って聞いていれば勝手なことを!』


 と、ケルジャンたちが抗議してきた。今の会話もばっちり翻訳されて相手に伝わっていたようだ。しかも黙って聞いてくれていたんですって。


『しょせん人間ごときが我らの力を借りることなど、おこがましい話だったのだ!』

『そもそも、ベルガドで育ったワンダートレントと、他の場所で育ったワンダートレントの味は違う! ベルガド育ちのものこそ、真に我らの口に合うのだ!』

『その違いもわからぬ人間どもの、なんと愚かしいことよ!』


 なんか、仕事のできない無能どもが、味がどうとか言い訳始めてるぞ。こういうやつ、人間にもいるよなあ。上司だと最悪だよな。


「そんな終わったことを今更グチグチ言ってんじゃねえよ。それよりワンダートレントの居場所をだな――」

「トモダチ! ココハ、オレニマカセロ!」


 と、野獣が前に飛び出していった。


「オレガ、ケルジャンヲタオシ、イウコトヲキカセテミセル!」

『ほほう! この数の我らを相手にたった一匹で立ち向かうというのか! 若きカプリクルスよ!』

『よかろう、今こそ真にどちらが優れているか証明するとき!』

『我らの本当の力に、おののき震えあがるがよい、カプリクルスよ! ハッハッハ!』


 と、そんなこんなで、ヤギとパンダ集団の争いが始まったのであった……。いや、こんな動物バトル、俺はどうでもいいんだけどな!

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