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さて、そのあとの流れは当然――。
どか! ばき! どごっ!
と、俺はその男に殴り返したわけなのだった。予告通り。
「ぐあっ!」
一瞬で俺にボコボコにされて男は白目をむいて倒れた。普通ならこれ以上殴っても無意味だが……無意味だが? 今日の俺は違った。なんせ、今この俺が持っている道具袋の中には、
「ほら、これで回復しろ」
俺は道具袋の中から
そして、そこで再び俺は殴るっ! 蹴る! 殴る! 普通の人間が死なない程度に手加減してあげながら!
「ぐあっ!」
またしても白目をむいて倒れる男。そこですかさず
そして、さらに殴る! 回復! 殴る! 回復! 殴る! そう、
「あ、あの、トモキ様、それぐらいにしたほうが……」
と、五本目の
「まあ、確かに、これ以上は
俺はいったん振り上げた拳を引っ込めた。ちょうど五回目の回復を終えた男は、体を恐怖でプルプル震わせながら俺を見ていた。
「なあ、お前、他に俺に何か言うことある?」
俺はその男の前にしゃがみこみ、真っ青になっている顔をじっと見つめながら尋ねた、
「え、いや、ないで――」
「あるだろ?」
「え」
「変な難癖付けてごめんなさい、いきなり殴ってごめんなさいって言葉がよォ? アァン?」
角度をつけてメンチ切って言う俺だった。そうそう、ケジメって大事よね。
「あ、はい……、難癖付けたり、いきなり殴ったりしてすいやせんでした……」
「お前だけじゃない、他の連中もだっ!」
と、俺はそこで、男の仲間たちに振り返って怒鳴った。そいつらも恐怖で顔を青ざめながら顔で俺たちを見ていた。
「お前ら、こいつが俺に殴りかかるの止めなかっただろ? つまりは連帯責任だ! とっとと俺に詫びを入れろや! 俺に殴られたくなかったらなァ!」
「あ、はい……」
他の男たちもすぐに俺に「すいませんでした」と謝罪した。ふう、ケジメ完了か。本当は土下座でもさせたい気分だが、あいにくここは日本じゃなく異世界。土下座で謝罪する文化なんてないし、これで特別に許してやるか。俺、マジやさしー。
「うおー、さすがトモキだ。三下連中をシメるのマジかっけーな!」
と、後ろからザックのはしゃいだ声が聞こえた。どさくさに俺のことチンピラの親玉みたいに言うのやめて。
「お、お前、いったい何者だ……」
と、俺に何度も殴られた男が声を震わせながら尋ねてきた。
「あんな複雑な計算が一瞬でできるだけじゃなく、素材集めの腕もピカ一。おまけにめっぽうケンカも強い。どう考えてもお前、タダモノじゃねえ!」
「ああ、俺は元冒険者――」
「すごく強いのは当たり前ですよ。彼はなんせ、二つの国の武装集団を壊滅させた元死刑囚らしいですからね」
と、また後ろから声が聞こえた。泥だらけの男たちの一人の声だった。
「も、元死刑囚だと!」
男は再び強い恐怖を顔にあらわにした。男の仲間たちも同様だった。
「しかも二つの国の武装集団を壊滅させた、だと!」
「なんでそんなデタラメなやつがここにいるんだ!」
「お、俺たち、なんて相手にケンカ売っちまったんだろう……」
もはや恐怖のあまり体を寄せ合う男たちだった。むさくるしいことこの上ない。
「いや、その情報は忘れてもらって構わんのだが? つか、あんま大きい声で言わないでくれる?」
その件に関しては苦い記憶すぎて、俺としてはもう掘り起こしたくないので。黒歴史なので。
「な、なんでもします! だから俺たちのことはもう見逃してください!」
と、男たちはそろって俺に土下座しはじめた――って、この世界にもあったよ、土下座の文化!
「なんでもする、か。じゃあ、今使った
「え、なんか店で売ってるやつより高い……」
「これは特に効果の高い
「あ、はい……」
男たちは素直に俺に金を差し出した。うふふ、一本あたり二千ゴンスで買った
「あ、あの、俺たちもう行ってもいいですか?」
「ああ、もう用はないし、どこにでも行け――」
と、言いかけたところで、俺ははっと思いついた。
「そういや、お前さっき、このベルガドの地元民アピールしてたよな?」
俺は再び殴りかかってきた男の前にしゃがみこみ、尋ねた。
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