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それから俺たちはすぐに遺跡を出た。ザレの村で会った三人を襲ったレジェンド・モンスターとやらは、おそらくあのお掃除ロボのことだろうし、討伐クエストは無事完了だ。あとは、村に帰ってことの顛末を報告し、報酬のスマイルゼロゴンスを受け取るだけだ。別にいらんけど。
遺跡を出ると、あたりはすっかり真っ暗になっていた。夜空には星がきらめいている。
「では、僕たちはそろそろホテルに帰りますね」
と、リュクサンドールは言うと、闇の翼を背中からにゅるっと複数出した。そして、その一つで近くに立っていたルーシアをぐるぐる巻きにして捕まえると、そのまま空に飛び立っていった。
ルーシアは当然、そんな雑な扱いに憤る……ように思われたが、
「せ、先生、そんなきつく締めてはダメです……」
なんか顔を赤らめモジモジしているようだった。そんな扱いでうれしいのか、お前は。
しかも、その状態でリュクサンドールが空に舞い上がると、制服のコートの裾がふわっとめくれあがるわけで、闇の翼でつるされているだけのルーシアの顔のすぐ真上に例の紫色のTバックのパンツが来るという最悪な構図になっていた。ギップルのテントかよ。
しかしやはり、ルーシアはそのパンツをうっとりした目で見ているようだった。こいつは今、この状態で幸せらしい……。
「じゃあ、トモキ君、次の新月の夜にはぜひ僕のところに来てくださいね! 約束ですよー!」
リュクサンドールは自分がパンモロしていることや、自分が吊るしている女がそれに興奮していることなどまったく気づいてない様子で俺に言うと、夜空の向こうに飛んで行った。
それから、俺たちは遺跡の近くで野営することにした。もう遅いし眠いし、ここで一泊して朝になってからザレの村に帰るということで、全員の意見は一致したのだった。
「改めて、自己紹介されていただこう。私の名はキャゼリーヌ。魔化技工士マオシュ・ルナシスの弟子にして、私自身も魔化技工士だ。これからよろしく頼む」
一同で野営場所の焚火を囲んだところで、キャゼリーヌはみんなに言った。俺たちもすぐにそれぞれ自己紹介した。
そして、その一連の流れが終わった後、俺はふと疑問に思い、尋ねた。
「なあ、お前ってサイボーグらしいけど、体のどっからどこまでがメカなんだ?」
そうそう、やっぱ気になるよね、これは。キャゼリーヌのやつ、首から下は露出度ゼロで、そのへんなんもわかんねえしな。
「ああ、そうだな。私の体について説明しておいた方がいいか」
と、キャゼリーヌはそこで立ち上がり、俺のすぐ隣にやってきた。そして、俺の手を取り――いきなり、自分の胸に押し付けてきた!
「お……おおうっ!」
むにゅむにゅっ! 銀色のコートの生地ごしに伝わってくる、そのやわらかいお肉の感触! こ、これは間違いなく、メカではない生のおっぱい……。
「わかっていただけただろうか、トモキどの。私のこの部分はカラクリではない」
むにゅむにゅ。さらに自分の胸に俺の手を押し付けながら冷静な顔で言うキャゼリーヌだった。
「私の乳房は、自慢ではないが大きなほうだ。しかし、私がサイボーグであると知った者は、決まってこの乳房がカラクリではないかと疑わしく思うようでな。まずはそこをはっきり確認していただきたいと考えたわけなのだ」
「そ、そうですか……」
いやまあ、いいおっぱいなんですけど! 間違いなく、カラクリではない生おっぱい! もみもみ……。
「ただ、勘違いしてもらっては困るのだが、この乳房はカラクリではないにしても、普通の生身の人間の体とはまた違うものなのだ」
「え、まさかこのおっぱいって、ツクリモノ?」
「ああ。錬金術師が手がけた、いわば
「じゃあ、お前ってサイボーグじゃなくて……アンドロイド?」
「体のすべてが人造ならそうだと言えるだろうが、脳髄の半分だけはオリジナルだ。ゆえに、その呼び方は私には適切ではないだろう」
「いや、脳みその半分だけって」
残り半分は何なんだよ、お前。逆に気になるじゃんよ?
「もともと私はただの人間だったのだ。だがある日、大きな事故に巻き込まれて体の大半を失ってな。その後、色々あってこの体になった」
「色々ありすぎだろ」
回復魔法がそれなりに普及しているこの世界で、そんな体になっちゃうって、まあ。
「しかし、たとえ脳髄の半分しかオリジナルではないとしても、私の心は普通の人間と変わらないと思っている!」
むにゅむにゅっ! またいっそう俺の手をおっぱいに強く押し付けながら熱く語るキャゼリーヌだった。
「いや、お前、明らかに普通の女とは違うだろ……」
普通の女は、こんなふうに会ったばかりの人間におっぱい触らせないと思うんですけど!
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