第10話
ガ、ガ、ガ、ガ、ガーと異様な音を発する扉を開ける。そこには、360度どこを見ても元気そうな明るい青色あった。すげー綺麗だ。空マニアにとっては絶対に写真に撮りたい。が、今は撮りたくても撮れない。なんかよく分からんがいじめってこんな感じなのかな?実はまだいじめをした事もされた事もないザ・健全な俺なのである。しかし、カメラを持っていたあいつは優しそうな顔してたし大丈夫な気がする。あれ、これ完全にフラグじゃね?
「待っていた!福田優杜よ。」と高らかに。
あいつってあんな声してたのか。なんか男っぽい声だな。
俺はカメラを返してもらうためにあいつに近ずいた。
「あのさ、カメラ返してくれませんか?」と丁寧に。なんたって初めが肝心って言うだろ?
「カメラを返して欲しなら、私の条件を飲み込んでくれない?」
「どんな条件?」と唾を飲み込む。あれ?めちゃめちゃ強気じゃん。
やっぱしタダでとはいかなかったか。まぁ今ある全財産を出すぐらいならまだいいのだが。お前を殴らせろ!とか、ヤンキーにいじめられてるからお前が私の代わりになれとか、そうゆうのは遠慮して頂きたく存じます。
「お前のカメラの中身を見てしまったんだが、あれはなんなんだ?あれがここ近辺にいると巷で噂の幽霊なの?」と前かがみになって綺麗な2つの山の谷間が制服越しだが、たしかにそこにあって、目のやり場に少々困る。
「巷で噂なのかは知らないけど、ゆ、幽霊だと俺も思う。」と目をあいつから逸らし、焦りながら。勝手に見られてたー。めちゃめちゃ恥ずかしいんですけど。別にいやらしい写真はないんだけどね。
「やっぱりか。なら条件はこうだ!私と幽霊研究をする部活を誕生させよう!もちろん断ったら、どうなるか分かっているよね?」と目つきを悪くして。
「断るって言ったら?」と煽るように。
「カメラをここの近くの川に捨ててやる。」と強い眼差しで。
そこまでして部活に入れってか?ってことは俺は興味を抱いていた写真部にも入れず、ましては第一志望の帰宅部にもなれないってことかよ。しかも、最もこの学校でインチキ臭い匂いがする部活じゃないか。正直断りたいが、相棒の事もあるし、ここは上手く誘導して今よりいい条件でカメラを返して貰えるように交渉するのがベストだな。ここでさっきのフラグを回収してしまった。やっぱフラグなんてたてるんじゃなかった。なんたってあの目つき、何人も殺してきたような目つきだ。もしかしたら、殺されるかも俺。だが、ここで怯えてたら相手の思う壺だ!取り敢えず、部活に入ることは避けたい。てか、話は全然変わるけど、南川はどこに行った?近くにはいるはずだけど見当たらない。まぁいっか。
「いくつか質問してもいいか?」
「いいけど。」
「お前って幽霊好きなのか?」
「まぁね。じゃなきゃこんなインチキ臭い部活なんてつくろうとも思わないだろ?」お前自覚してたんかい。
「じゃあ友達とかを誘って勝手にやればいいだろ?俺がその件に関わったらこっちの身の危険があるかもしれないしさ。それでもし本当に俺が呪われたとか、最悪の場合死んだとか、そんな事になったらお前どう責任取るの?もっと最悪の場合お前も呪われたり、死ぬかもしれないよ?」まぁそんな事は絶対にないと言っていいんだけどね。
「まだ友達なんていなし、もし私に友達がいたとしてもいきなりそんな事に巻き込めないだろ!バカなのかお前は!」随分と男らしい口調である。それは友達ができない1つの要因かもしれない。まぁ俺も友達いないから、人の事なんて言えないんだけど。
「だから、カメラで俺を釣って無理矢理その幽霊なんとか部活をつくれと?」
「それしかないだろ?だってお前以外いないんだもん。」
「そう言われてもな。なら!俺が考えた条件ならお前がつくろうとしている部活に手伝ってやってもいい。」これはもしや牽制逆転じゃなかろうか?あいつは友達がいないから俺以外には頼めない。なら俺の条件も呑み込むはずだ!我ながらナイスアイディアでは?
「どんな条件だ?聞くだけ聞いてやる。」
「条件はこうだ!まず俺のカメラを返すこと。そして、俺たち2人だけではそもそも部活をつくれない。だからお前は幽霊好きで、お前がつくろうとしている部活に入って来てくれる友達をあとの部活設立に必要な人の数以上集める。その間俺はその写真の幽霊について調べる。以上だ。」これで上手く友達を作りすぎて、やっぱお前なんて要らないわ。ってなって俺は入部しなくていいという寸法だ!そもそも友達がいないから変な部活をつくろうとしてるに違いない。
「は?やだ。もうここからカメラ落とそうかな?川だったらまだ故障で済むかもしれないという私の優しさも入っていたのに、それにすら気づかないお前は本当にバカだな。」
さらに強気に出てきたんですけど。これはどうする?いっその事、取り敢えず今日カメラを部活づくりに協力すると嘘ついて返して貰って、次のに日にあれは幽霊じゃなかったわ。って偽の写真をつくって見せつける作戦に変更するか?いや、それはあまりにも怪しいか。
そんな事を考えている時だった。後ろから聞き覚えのある声が聞こえたのは。
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