第6話
「ここでいい?」と、ベンチに目を向ける。ここは俺の家の近くにある古い公園だ。その公園は、端の方に錆びれた鉄棒が2つくっ付いて置いてあるだけで、その他の遊具は何一つないし、やたらと無造作に雑草が生えている。きっとここ何年も整備されていなんだろう。
彼女は顔を深く縦に揺らした。
にしてもまじまじと見ると、やっぱすごく可愛い。じゃなくて、
「あ、あのさ。何度もだけど、さっきはごめんなさい。いくら危なかったからってあんな事になるなんて思わなくて、それに、痛かったよね?いきなり地面に叩きつけられて、それも悪かったと思ってる。」
「その事は、大丈夫。」
え?他になにか俺したっけ?と疑問。
「君の肩の違和感、今ないでしょ?」
はい?唐突すぎて例えも浮かばない程、斜め上すぎな質問で焦るんだが。しかも俺はそんなよく分からん話をするために誘ったんじゃないんだけど。
「肩の違和感?」
「肩がいつもより重いような、でもいつもと変わらないような、もゆもゆした感じしてたでしょ?」
確かに入学式の時から肩が重いようなさがさがしてるような、もゆもゆしたような違和感はあったが、今はない。だが、それが?
「私ね、入学式ぐらいから保健室に行くまで君の背中にのってたの。」
ほへー。意味が全くわからない。お願いだから誰か通訳してくれよ!と叫びたくなったが、必死にその衝動を心の奥深くに抑えて喋った。
「どゆこと?」
「だ・か・ら、君に取り憑いてたの!!」と両手を曲げて。
そうか、そうゆう年頃なのか。俺も小さい頃、戦隊ヒーローに憧れていた頃があったさ。そして、密かに今も休日に朝早く起きてしまった時、戦隊ヒーロー系がやってたりすると、少しテンションが上がって純粋に楽しんで見ちゃうことはあるが。それとこれとは別物のジャンルがする。てか、そんな話今はどうでもいいだろう。もしかして彼女は緊張をほぐそうとしてくれているのか?そうだとしたら顔も良し性格も良しの最強モテ女子さんなのではなかろうか。
「冗談なんて言わなくていいよ。俺そんなに緊張してないし。ありがとう。」
「信じてよ!」と顔を赤くしながら。
「え?じゃ、じゃあ証拠を見せてよ。その取り憑くとか何とかの。」なんか思ってたんと違う。
いいよ。と優しい小声で言った彼女は次の瞬間、俺の右手を掴んだかと思えば、彼女自身の胸元へ向かわせた。が、二度目は触ることが出来なかった。
「貫通してるのか?今。」と動揺。
「そう!だって私は幽霊なのよ!」と高らかに。
は?俺は今まで、幽霊なんて世の中が作り出した大きな作り話だとずっと思っていたし、現在進行形で思っている。
それをこんなあっさりと宣言されても。
だが、しかし、確かに彼女の体を貫通している右手が目の前にある。いや、でも、、
「俺はまだ信じない。」と、冷静に言ってやった。
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