第2話

 俺があの返事をして着席した辺りから肩に少々違和感を感じるようになった。俺は朝、早起きて山を上り下りしただけでなく、入学式からずっと緊張しっぱなしだし、ヘマをかますしと、まだ半日も過ぎてないけど情報量は1日分の予想を遥かに超えているから疲れできたんだなとしか思えなかった。


 入学式が終わり、俺も含めた新1年生はぞろぞろと自分の教室へ向う。俺はただみんなに続いて歩いているだけなのだが、目線が気になる。前の奴も後ろの奴も俺を一瞬見てはにやつきながら目線をそらす。中学ではそんな事起きなかったのに、と言うか緊張もこんなにしなかった。いつからだろうか、恥ずかしいと思ったり、こんな事やったら注目されるからやりたくないなんて人の目を気にして生活するようになったのは。これが大人になるって事なのか。そのおかげで俺は髪の毛や身だしなみをしっかりし始めたのだが、そもそも顔があまり良くないからそんなにしなくてもと、気づいたのは相当後になってからだった。いや実際は気づいていたのかもしれいけど、認めたくなかった自分の方が強かったのかもしれない。


 教室に着いて、熱血村田から明日は4時間だからお弁当は要らないだとか、教科書にきちんと名前を書いておくだとか予定と言うより注意することを聞きながら俺たちは帰りの準備をしていた。その時ふと、バックの中に入っていたカメラに目が止まる。そして今日撮った写真をもう一度みたいなって思ってしまった俺は誰にもバレないように、こっそりとカメラに顔を近づけた。


 ワクワク、ドキドキしながらカメラの電源を入れる。そして、アルバムを選択して1枚目、2枚目と次々に見てゆく、そこには朝頑張って登って、見ることができた苦労の塊が写っていた。しかし、6枚目あたりからふと写真に違和感を感じる。そんなに1枚目と変わらない筈なのにどうしてだ?


 その違和感の原因に、気がついたのは20枚目を超えた辺りからだった。写真の左端の方に人影らしきものが写っている。俺はそれを見た瞬間、体中に鳥肌がたった。

いきなりだが、人間の反射とは恐ろしいものだなと俺は思う。自分は動きたい訳でもないのに、驚かされたりすると体が勝手に飛び跳ねるし、答えなんて微塵も知らないのに先生がこの答えわかる人いるー?と聞くと勝手に手が上がるしさ。この写真を見た俺もそうだったさ、勝手に体が、飛び上がりやがった。そのせいで俺は机の角に足をぶつけ、1歩後ろに下がって立て直そうとしたら椅子に足が絡まった。そのせいで、俺は後ろに行き過ぎてしまい頭から地面にめがけて倒れてしまった。


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