第3章  災厄の真相

プロローグ 過去と今

 視界一帯を覆いつくすほどの炎。



(以前にも似たようなことがあったな……)



 2年前に全身を襲った灼熱よりも殺気だった炎に身を焦がれ、俺の腕は根元から落ちそうな錯覚に襲われた。

 しかし、両腕にはさらに力がこもっていく。


 手の皮膚がただれてきた。

 徐々に痛みにも慣れてきたのか、それとも気絶しそうなほどの熱に意識が朦朧もうろうとしているのか、昔の記憶がよみがえる。



(走馬灯ってやつか……)



 自分が戻るのが遅くて焼かれた故郷の情景が浮かび上がる。



(結局間に合ったとしても村はなくなってたかもな)



 過去の無力感が呼び起こされると同時に、ある一つの事実が頭をよぎった。

 そのことを確かめるかの如く、俺の口が勝手に動く。



「あの時の無力な俺のままじゃないッ!!」



 目の前に迫る炎を断ち切るように剣を振り抜いた。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る