第7話 進軍のちに爆発
キリア軍がレノア平原に向かっているとき、サイラスもキリアを目指して進行していた。
総勢20000の兵が隊列を組んで前進する。
「ここをこえればキリアまで2日……か。久しぶりだな」
レノア平原につくまえに、いくつもに枝分かれした丘についた。
サイラス軍の先頭を歩く青年。
青年の
「グシュシュシュシュ、ガレス様。兵を分けて進みますか?」
ガレスと呼ばれた青年は返答することなく、馬からおり背負っていた槍をとりだした。
「面倒くさいから、消しとばす。ミゲル、オマエは
「おおせのままに」
黒衣の男・ミゲルは
サイラス軍をつつみこむような防御結界がはられる。
それを見たガレスは槍の先から紅くきらめく炎の球を丘の上めがけて発射する。
「
弱々しかった火球は一瞬まばゆい光を発した、と思われた次の瞬間。
大規模な爆音、爆風、高温の熱をともなってあたり一帯をふきとばした。
その反動はミゲルがはった防御結界にひびをいれる。
丘があった場所は
「さすが、ガレス様。一瞬で道を作ってしまわれるとは」
「ミゲル、口を動かす前にさっさと行けよ。ここさえぬければキリアまで2日だ」
「グシュシュシュシュ、もうすこしで我らの願いがかないますね」
「当たり前だッツーノ、この前の失敗を確実にとりもどさねーと、あのお方に怒られるし」
サイラス軍は丘をぬけ、レノア平原まで軍をすすめた。
しかし。
ガレスは目の前に広がる光景に
「ギャハハハハッ、やっぱりここに来たか、カイッ!」
※
サイラス軍よりも先に着いたキリアは、レノア平原に軍を横に広げて配置しいていた。
ガレスの
「団長、これまた
「エド、持つか持たないかじゃない。勝つんだ」
「団長がガレスと戦っているあいだに、俺はまわりの兵の相手をするが、そう長くはもたないぞ」
「副団長エドがそんな弱音をはくとは情けない」
「まあ今回ばかりは相手がわるい」
サイラス軍でさえ手があまるっていうのに、
おそらく先日のカルバ城でおきた火災がキリアによるものだと広めたのだろう。
しかし、
「敵は予想より多いが、俺たちはここでひくことはできない。オマエたちも本気を出して敵を
キリア軍2000、ギフテル軍7000もの兵が大地をゆらしかねないほどの気合のこもった声を上げ、
カイも
騎兵が先陣をきり、カイはそのあとをついていく形で、馬に乗らずに走った。
しかし、魔法で速度をあげることで馬と同等以上の速さで走っていた。
「団長、右側がおされぎみとのことです」
「わかった」
馬に乗っていた兵がカイに近づく。
カイは右側にむかって加速していき、敵兵を次々と
そしてすぐにそこから後方に下がる。
こうして戦線を保つことで味方の攻撃が安定するだけでなく、敵も勢いがおちる。
圧倒的に兵の数が不利なので苦し
(……なんだ、この違和感は?)
だが、しばらくしてカイは周囲を見渡す。
カイと同じ立ち回りをしていたエドが声をかけてくる。
「団長、おかしくないか?」
「ああ、敵の第1陣のほとんどがカルバ兵だ。サイラスの兵がみあたらない」
「さっきからカルバ兵の相手しかしてないぞ」
考えた作戦は、敵兵との混戦になればガレスの
偵察兵の話から、ガレスは一度大規模な爆裂魔法を丘で放ったらしい。
ガレスが前線に出てこないのは魔力が
「いっかい兵を下げたほうが……」
そこでカイの指示が止まる。
小さな火の球が
後方から、それを見たカイは最悪の考えが
「まさか……、魔導部隊、防御結界をッ!」
カイの叫び声がかろうじて届いたのか、横に広がって騎兵の後ろを走っていた魔導士が何人か止まった。
彼らは魔法をとなえると杖を前にかかげ、騎兵たちの前に防御結界を張った。
その瞬間。
「……死ねよ、偽物が、『
防御結界のすぐ外で巨大な爆発がまきおこる。
横一列におきた爆発の威力をかろうじて弱められたものの、
「な、なんだ、この威力は……ッ、クッ!?」
「だ、だんちょ……ッ!?」
防御結界は破壊され、爆風が敵兵もまきこんでキリア軍を襲うのだった。
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