第3話 見習い魔導士
「レオン、エレインが魔導士になるのを
「……」
レオンは父が言いたいことも理解している。
(だけど、自分の好きな道を進んできた俺が、どの
きっと
好き勝手やってきたレオン、自由にできない自分。
だから、レオンを
なら、レオンの答えは決まっていた。
「ごめん、
「な、なにを言っているのかわかっているの!?」
その返答に声を荒げて怒ったのは、レオンの母だった。
母にとって予想外の返答だったのだろう。
しかし、レオンの父はそれを制止する。
「理由を聞いてもいいか?」
「確かに、エレインは現実が見えてないのかもしれない。だけど、それは俺だって同じだったし、いつか現実に直面するときは来る」
だが、
「だったら、その時、魔導士を目指すかどうかを決めればいい。決めるのはエレインだ。だから、俺は説得に協力できない」
レオンの父は理由を聞いて
「だけど、その現実とやらにあたったときに、エレインになにかあったらどうするのよっ!?」
母は父のほうに視線をむける。
その視線に気付くレオン。
(親父についてよく知らないけど、もしかしたら農家を営む前は……)
「そうならないように、俺がエレインを守ってみせる」
なんの
それがレオンの今言える
レオンは両親の反応を待つ。
「「……」」
両親はレオンの言葉を聞いて
しばらくして、父が口を開いた。
「本当に守りとおせるか?」
「……もちろん」
両親は深くため息をついた。
「レオンまでエレインの味方をしだしたら、私達だけではもう止められないな。お母さん、しばらくはレオン達を見守ろう」
「……わかりました」
「ありがとう、親父、母さん」
※
次の日、レオンはガリッタのところに行き事情を
「ああ、そうじゃ。エレインは3年以上前から早朝に修行をしておった」
なんでもレオンが
それから自分にも魔法の才があるかもしれないと思ったらしい。
「実際、エレインは魔法に特化しておった。魔甲を教えた次の日には習得していたほどじゃ」
ガリッタ
その成長の速さにレオンは舌を巻く。
「マジか。……実は」
レオンは両親とのことをガリッタに話す。
ガリッタはその話に対して、これといった反応は示さず、
「そうか、ついにバレてしまったか」
「なんでエレインに魔法を教えたんだ?」
「最初は、断るつもりじゃった。じゃが、魔甲の習得の速さを見たら、エレインには魔法を教えなければならないと思った」
それが
「どういうこと?」
「魔力量が多いが故に、もし、一度も教わらなかったらエレインの魔法が暴走する危険があったのじゃ」
レオンは家での
エレインの魔力が暴走して部屋が
だから魔力操作の重要性をレオンも理解している。
「じいちゃん、今の俺はエレインを守れると思うか?」
「馬鹿者、守れるか守れないかじゃないだろ。これくらいのことで折れてどうする」
「折れたわけじゃないよ。でも、だだ意志が強いだけじゃ、エレインに何かあったとき守れないかもしれない」
「当然、ワシも尽力する。じゃが、エレインが暴走したとき、止められるのはワシとレオンしかおらん。お前がシャキッとせんでどうする?」
ガリッタの言葉には根拠がないことも多いが、レオンにとっては不思議とやる気を与えてくれる。
レオンは気合を入れなおすために両手で
「わかったよ、俺もこれからは協力する」
※
家に戻ると、
両手を体の前で
「ただいま、エレイン」
「あ、うん、お帰りなさい、兄さん」
エレインは通路をふさいでおり、レオンは家の中にはいれない。
「そこをどいてくれると助かるんだが」
「そ、その。少しだけ時間をください」
「いいけど、どうした?」
「……さっきお母さんとお父さんから、魔法の勉強をしてもいいよって言われました」
両親がエレインの魔道士になる夢を認めてくれたらしい。
ひとまずレオンは胸をなでおろした。
自分の事のようにレオンは
「そうか、よかったな」
「それで2人を説得してくれたのが兄さんだって聞いて、その……」
「まあ俺も好き勝手やっているからな」
「で、でも許してもらえたのは兄さんのおかげだから、あり……がとう。そ、それだけです!」
レオンの返事を待たずにエレインは自室に戻ってしまった。
(エレインを守ることは
とレオンは不安を感じながらも晴れた
※
それからエレインとレオンは早朝からガリッタのもとで一緒に修行するようになった。
(エレインとの
あの日を
レオンが日課の素振りを終わらせると、
「兄さん、
と言いながら、エレインは家から持ってきたタオルや水筒を手渡しする。
「あ、ありがとう、エレイン」
日が真上に上ってくると、
「はい、兄さん。昼食におにぎり作ってきたから食べてください」
と早朝に作ってくれたであろうおにぎりを取り出す。
「うん、おいしいよ」
「……満足していただけたなら嬉しいです。もっと食べてください」
ガリッタはそんな
「最近のお前たちの様子を見ておると、兄妹でありながら恋人のようにも見えてしまうのじゃが大丈夫なのか?」
「じいちゃん、そんなことあるわけないだろ。兄妹ならこんなもんだ。な、エレイン?」
レオンが全否定しながらエレインのほうを向くと、顔を真っ赤にしていたエレインの魔力が
「お、おじいちゃん、そ、そんなわけないでしょっ!!」
エレインの周囲に魔力が集まり手では数えきれないほどの火の球が形成される。
ボオオオォと
エレインの叫び声とともに、ガリッタに向かっていくつもの火球がとんでゆく。
かろうじてガリッタはそれらをかわすが、後ろにあった木々に直撃した。
一瞬で視界を
「まずい、レオン! 水魔法であの火を消すのじゃ! また村長に
「わ、わかった。『
前に突き出したレオンの右手に巨大な水の球体が生成し、火のついてしまった木にぶつけて消火を試みる。
水が勢いよく蒸発する。
なんとか消火しおわったが、エレインの全身はまだワナワナと
心配になったレオンはエレインの肩に
「おい、大丈夫か?」
「ひゃ、ひゃい、大丈夫です、兄さん!」
ガリッタは、心臓がいくつあっても足らんよ、とため息をつく。
「エレイン、お前の力は強いぶん冷静に扱うことをこころがけよ。いまより強い感情にさらされたとき、より強大な力が暴走する可能性もあるのじゃから」
レオンは冷たい視線をガリッタに送る。
「いいこと言っているとこ悪いけど、じいちゃんがエレインに変なこと言ったせいだからな」
「わ、わかっておる、まさかここまで感情がたかぶるとは思っとらんかった」
「むウうううウうウう……」
ガリッタの発言に、二人に聞こえないように
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