人間、アンドロイド、ロボット工学三原則、そして――心。一人と一機のやり取りを通して、心とは何か、心はどこから生まれてくるのか、そんな素朴かつ根源的な疑問にまで読者はたどり着きます。しかし、そんな小難しいこと抜きで語らう彼女たちの姿が真夏の風景にとても似合っていて爽やか。夏空の入道雲が似合う、そんな作品です。読後は、この一人と一機のこれからが気になり、色々と想像力を逞しくさせてくれます。大変読みやすい作品でもありますし、是非ご一読いただければと思います。
とりあえず最初に言えることは落ちが素晴らしいです。短編ならではの綺麗な伏線回収には感服せざるを得ません。自我を持たないアンドロイドが主人公を助けたのは命令による行動だったのでしょう。だが主人公と過ごしていく内にだんだんと変わっていったのだと思います。最後の一文にすべてが込められています。気になった方は読んでみてください!