第20話 仲間

「お久しぶりでーす!」


「お、カエデとビャッコ!」


図書館についた!いつものようにみんな研究熱心!関心関心!


「さて、なんのようなのですか?」


「報告!…まあ見ればわかると思うけどさ」


「…その様子、妊娠ですね?」


「そう!」


「へぇ!妊娠ですか!おめでとうなのです!」


「しかも双子!」


「「「「「「「双子!?」」」」」」」


みーんな驚いてるよ。


「な、名前はもう考えてあるのですか?」


「…一応ね?」


「あぁ。一応「ハクロウ」にするつもりなんだ」


「ハクロウ!いい名前なのです!」


「でしょー?」


「由来は?」


「ハクが、白って意味で、ロウがオオカミって意味!つまりちゃんと僕とビャッコの間に産まれた子供ですよっていう証明にもなる!」


「なるほど、それならわかりやすい!」


「さて、読みたい本があるんだけど…入らせてもらえるかな?」


「わかったのです。好きに使うといいのです。サビオ、何か困ったことがあった時用に付き添ってあげるといいのです」


「わかったのです…さ、こちらなのです…」



「さて、何を探すのですか…?」


「料理の本を頼む」


「…しばし待ってるのです…」


「え?料理の本読みたかったの?」


「あぁ。カエデがいちいち教えると大変だと思ったから私が本を読んで学習してるんだ」


「へぇ!ありがたいね!」


「これでいいですか…?」


「そうだ。ありがとう」


「…カエデはこれを読むといいのです」


「え?」


「カエデ、お前の愛する妻が妊娠してるのです。お父さんとお母さんに聞く限り、子供を産むのはかなり大変なことらしいのです。これを読んで、学ぶのです」


「…なるほど。ありがとう!」


「感謝には及ばないことなのですよ…」


まったく、いいお世話だね!


「2人ともー、これ飲みながらでもゆっくりしてってー?」


「あっ!ありがとうございます!」


教授がココアを持ってきてくれた!ありがたすぎる!


「…これから雨降るみたいだねぇ…雨の対策はしてる?」


「してませんけど…」


「あ!なら傘貸すよ!近いうちに返してくれればいいからね!」


「えっ!?ありがとうございます!」


「2人分でいいね?帰りの時に貸してあげるから!…何の本を読んでるのかな?」


「私は料理の本」


「僕は…サビオが持ってきた本を」


「あぁ…子供を産むことについての本か…僕も読んだなぁ…本当に大変だからね?あ、なんなら…待ってて!」



「連れてきたよー!」


「え?」


そっちの方を見ると博士と助手。…あぁ。なるほど。経験者か。


「ど、どうしたのですか!?」


「子供を産むことについて2人にアドバイスしてほしいの!」


「あぁ…分かったのです」


「ご教授願う」





「…これでご教授の時間は終わりなのです」


「感謝する」


「残り1ヶ月で産まれる予定だから、大人しく暮らすのです。そしてカエデを頼って暮らすのです」


「あぁ。わかった。だが今はデートの途中だ」


「…デートのついでかよ…!」


「まあね!今日の最終到着点は温泉宿だからそこでゆっくりしていって、帰るつもり!」


「なるほど。…出産の時には他のフレンズにも手伝ってもらうといいのです」


「へぇ…じゃあほかの神のフレンズさんとか呼んでおく?」


「あぁ…そうさせてもらおう!」


「…さて、雨が降る前にさっさと向かうといいのです。…全く、ヴァイスとユルはどこに行ったのですか…」


「見つけたら声かけとこうか?」


「よろしく頼むのです!」


「じゃあ、また来ます!」


「傘、また今度返してねー!」


料理の本も借りれたことだし…よかった!次は神社!



しんりんちほーの奥深くにあるとある神社…あれっ?前に来た時よりもなんだか綺麗になってて神々しく感じる…誰か掃除したのかな?


「ここだよ!」


「ここは…!」


「え?何か知ってるの?」


「知ってるも何も!オイナリの神社だぞ!?」


「嘘でしょ!?」


あのオイナリサマの!?


「なんだー?うるさいなーって!?」


「フェニックスさん!?」


「カエデ!?それにビャッコも!?」


「え!?あの2人!?」


「オイナリサマ!?」


「久しぶりだな!オイナリ!」


「あっ!久しぶりー!入って入ってー!」


…マジかよ。



「…なるほど」


話を聞く限り、住む場所どうするかって話になってたまたまこの神社の話が出たからここにオイナリサマの神社だからどうせなら神社に住もうって話になったらしい。真面目に神の社に神が住み込んじゃったよ。


「で、今抱えてるのって…!」


今!オイナリサマとフェニックスさんがあるフレンズさんを抱えてる…そのフレンズとは…!


「あぁ!俺とオイナリの子供だ!ちなみに双子だぞ!」


「だよね…そう思ってたけど双子だなんて…」


「ん?どうしたのー?」


「実は私たちも…双子…なんだ」


「そっちもか!?」


「嘘でしょ!?」


「嘘じゃないぞ?ちゃんとボスの診断だ」


「…ビャッコ、これだけ伝えておこうかな?」


「どうした」


「双子を産むのは…相当キツいよ?」


「そうなのか?」


「まず子供を産むこと自体がかなり痛みを感じるでしょ?」


「え?どこに痛みを感じるんだ?」


「え?そんなの決まってるじゃん?肩を出す時が一番痛かったなぁ…」


「肩か…」


「後尻尾かな?もふもふした感触がくすぐったかったんだけど…出てくるときにすぐに痛みに変わった…」


「尻尾…」


「…まあ付き添いがいてくれたら絶対に産めるって!安心して!」


「そうか!ならばカエデと愛を深めなければな!」


「そうだね!」


ごめんなさーい!


「え?」


「この声は…」


まさかの?



「あっ!フェニックスさん!久しぶりです!」


「あ!かばん!久しぶりだな!それにサーバルも!」


「久しぶりー!」


かばんさんとサーバルさん!本当に久しぶりに見たな!?


「あ!ビャッコ様にカエデさん!久しぶりですね!」


「あ!久しぶりですー!」


「久しぶりだな」


「聞きましたよ!つがいになったそうですね!」


「あー、噂で聞いた?」


「あ、オレンジさんから聞きましたよ!」


「お父さんからか…」


「そうだ!結婚祝いと言ってもなんですけど…」


ジャパリまんくれた!久しぶりすぎる!


「わー!久しぶりに見た!ありがとうございます!」


「料理ばっかり作ってたんですか?」


「そりゃあねぇ!」


「まあここで話をするのもなんだ!入れ入れ!」



「そういえばかばん」


「はい!」


「旅をしてて…何かあったか?パークに異常があったり…」


「特になかったですよ?でもなんで…セルリアンもいなくなったのに」


「四神やら俺たち、カエデまでもパークを見守る存在になってるんだ。だからフレンズが生きるパークは守らなければいけないんだ」


「なるほどー!」


「突然、かばんさんとサーバルさんも、守護対象だからね?」


「だと思ってました」


「だよねー!」


「そうだ、オイナリ」


「ん?」


「何回で妊娠した?」


なんでそんなこと聞くのさ。


「一回だよ?…そうだよね?」


「あぁ」


一回!?


「嘘でしょ!?」


「まあ子孫繁栄を祈りながらやってたからねぇ…」


「…そういうことができないことが悔やまれるな」


「でもレオとニホンオオカミの方が…やばいよ?群れを作るってニホンオオカミが言ってたけど…ついこの前2人の家に行ったけど子供は4人いたよ?」


「へ?」


「ニホンオオカミが「もう1人欲しいなぁ…」って言ってたけどそれもレオ本人も了承してるらしいね?「大変なのは十分わかってる。でも大変だからこそその先の未来は楽しい」って言ってたよ!」


…マジか。確かお母さんに聞いたことはあるけど…動物のオオカミの群れは基本、5〜9頭の親子で構成されるらしいけど…7人かぁ…想像つかない!

でも僕たちは動物じゃなくてフレンズだからね!自由に生きるよ!


「…それはオオカミの習性か?」


「そうらしいよ?親子で群れを形成するらしいからね?」


「そうか…カエデ」


「ん?」


群れ作るとか言わないよね?


「カエデもオオカミなんだ…群れ、作りたいか?」


…よかった…!疑問形でよかった…!


「おいおい、群れ作るのはいいが…相当キツイぞ?」


フェニックスさんもいってくれてる…


「そうなのか?」


「そうだぞ…産む方も産ませる方も大変なんだからな…カエデ、オイナリ、わかるだろ?」


「そりゃあね!今回は双子だから産むのは相当大変だったよ!まあ嬉しいけどねー!」


「そうだね?運動してなきゃ一回で疲れてもいいくらいだもん」


「そうだったのか…」


「だがそう考えるとレオとニホンオオカミはすごいな?」


「確かにな…」


「…というわけで、ビャッコ?僕は群れなんか作らなくていいからさ?双子だけ産んで2人の子供で満足する…ってそういえば…ビャッコ、この前子供は4人欲しいって言ってたね?」


「あぁ、そういえば」


いや忘れるなし。


「…別に2人が4人子供を産もうとしようが俺たちには関係ないが…本当にそうするなら覚悟しておいた方がいいぞ?」


「そうか…じゃあカエデ、一回この双子を産んでから…決めないか?」


「そうだね!」


「…さっきからなんの話をしてるんですか?」


…すっかり2人のことを忘れてた!


「ふふっ、つがいにしか分からないお話だよ?」


「…よくわからないや!」


分からなくていいんです。はい。


「さてと!お前らは…温泉宿に向かうんだろ?」


「そうですけど…」


「雨降るらしいから…気をつけていけよ?後かばんとサーバルは…泊まってくか?」


「いいんですか!?」


「あぁ!いい…よな?」


「もちろーん!2人なら大歓迎だよ!」


「ではお言葉に甘えて…」


「じゃあ僕たちはそろそろ行くか!」


「そうだな!また来るからなー!」


「またな!」

「じゃあね!」

「また会いましょうねー!」

「またねー!」


みんなに見送られながら神社を離れる。



「いやー、意外だったよねー?まさかあの2人が神社に住んでいたなんて…」


「私からすればもう子供を産んでいたことに驚きをもったがな!」


「あぁー!それもあるね!」


「…そういえば、明日の予定はどうするんだ?」


「明日?温泉宿出て…僕の実家に行って…レオの家にいって…ロッジに泊まる?」


「そうするか…!」


さて、明日の方針も決まったことだし、さっさと向かうか!

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