第17話 お宅訪問

集まりが終わって帰ると思いきや…



「イナ様、こちらでよろしいんですね?」


「そうそう!それ!」


これから会いに行くってなったときに困らないように案内してもらってる!


「ビャッコ、帰ったら何する?」


「とりあえず夕ご飯を作って…洗濯物干して…まあ色々か?」


「もちろん僕も協力させてもらうからね?」


「ありがとな…」


「ねぇ、ビャッコ」


「どうした?」


「キスしよ」


「は!?」

「「「キス!?」」」


したくなっちゃったよ。人前でもいいから。


「本気か…!?」


「うん、本気」


「イナお姉様…!?」


「うん…!これは見とくべき…!」


「…嘘ですよね?」


「…カエデ、いつでもいいからな…///」


もうキス顔。早いな。でも納得してくれたなら!


「ふふっ、ありがとね!」バッ


「うわぁ…!本気でした…!」

「イナお姉様…!」ギュッ

「…なんでそんなにくっつくの…」


「…好き…」


「私もだ…///」



「…はぁ…ごめんね…?」


「…カエデは何も悪くないからな…」


「…さ、行くよ!2人の用も済んだし!」


「「あっ…」」


なんか…迷惑かけちゃった?



「さ、ここが私たちの拠点!入って入って!」


「お邪魔しまー」


…へぇ、なんか色々あるんじゃない?


「イナお姉様ー!お仕事に戻りますね!」


「うん!でも…今は休憩しよっか!」


「はい!」


「…いつものアレ、用意しますか?」


「うん!よろしくね!」


…すごい仕事場みたい…本物の仕事場がどんな感じかは知らないけど!


「…この紙の山は?」


「今溜まってる依頼。まあまだ日にちはあるから全然暇だけどね?」


「…そこは?」


入ってすぐ正面…窓ガラスにちょっとした穴が開いている。


「あぁ、そこはイタちゃんに聞いて?」


「ここは受付?です!ここでいろいろなフレンズの願いを聞く場所です!そしてイナお姉様に仕事内容を伝えるんです!」


「なるほどね…?ディンゴさんの仕事は?」


「私は私たちの暮らしを少しでも便利にすることを裏でしていますわ。例えば…私たちの朝ごはん、昼ごはん、夜ご飯を作ったり…服を洗ったり…掃除をしたり…まあそんなことをしています。全ては主のイナ様とイタリアオオカミ様のために」


「なるほど…ていうかこんなキャラだった?」


「私はあの時は主を探していました。ですが、イナ様がなんでも屋をやると聞き、何故か少しでも力になってあげたい、という思いがあり、このなんでも屋に入らせていただきました」


「へぇ…ビャッコ、僕たちもこういうの、やってみる?」


「私たち四神はパークを見守るだけで役目が果たされるからな。これだけでいいだろ?」


「だね!僕も見守らないとね!」


「あれ?でもさ、カエデはなんで不老不死になったの?意味なくない?」


「…あのね?ビャッコの気持ちも考えてよ?ビャッコだけ不死身になって僕は不死身にならなかったら…僕は本当だったらいつか寿命で死ぬでしょ?そこでビャッコが悲しんで…僕のところに行こうとしてもいけない…こんな思いはさせたくないし…四神とつがいになったからにはパークを見守る義務がある。だから…その義務を果たすため、僕は不老不死になった」


「…思ったよりも結構深かった…」


「でしょ?この考え、イナには到底わからない話なの!」


「あっ!今ムカついたよー!」


「だってそうじゃん!逃げろ逃げろー!」


「くそー!待てー!」


逃げなきゃやばい!早く逃げないとね!


「「「…」」」ポカ-ン


「…な、なんか…」


「イナお姉様…怒ってると言うよりか…楽しんでます」


「イナ様…?…これは追いかけた方が…」


「…さすが兄弟、といったところか…?」



「いだい!痛いって!」


「謝ったって許さないからねー!」


「僕何か悪いことした!?」


「したよ!カエデの愛する妻のビャッコさんを置いて行って逃げたでしょ!ほら!観念してうちでお茶してって!」


「…?」


…これ怒ってるの?



「ただいまー」

「ただいま…」


「おかえりなさい。紅茶、飲みますか?」


「うーん…お願い!」


「少々お待ちを…」


「あ、カエデとビャッコさんのも用意してあげて?…、加えてね?」


「…わかりました」


…例のモノ?なにそれ


「イナお姉様…最近来ないですね…」


「前は混雑してたのにね?…多分忙しいってみんなわかってるから来ないんじゃないかな?」


「なるほど!わかりました!」


「カエデ様、ビャッコ様。紅茶です」


「ありがと!でも…例のモノってなに?」


「甘くする隠し味が入っています」


納得…。蜂蜜の匂いするもん。


「ほぇ〜…じゃあありがたくもらおうか!」


「そうだな…いただきます」


2人で同時に飲む。…うーん!美味しい!蜂蜜と紅茶の味が見事に…マッチ…あれっ?なんだか…


「…眠い…」


「ん?どうしたの?眠くなっちゃった?」


「…ん…おやすみ…」


「私も…少し寝かせてもらうぞ…」


「「「ふふふ…」」」


…意識がなくなったよ。



…?



「うーん…」


おはよ…ってここどこだよ


「…むぅ…」


「…いい顔…」


「あっ、おはよー?」


「あっ…イナ…」


「ごめんねー?急に寝かせちゃってー」


「…イナ?」


「…ふふっ、あることをやってもらいたくてねぇ…?」


「…ん?」


「…2人が愛し合ってるところ…見たいんだ…♪」


「…は?」


「2人がキスしてるところ…見たらちょっと発情しちゃってねぇ…?」


「それは…自分でなんとかしてよ…」


「2人が愛し合ってるところ、見たら面白そうだなーって思っただけだよー?ほら、かえでが愛してるビャッコさんがそこでぐっすり寝てるよ?襲っちゃいなよ…?」


「…なんで…」


「…ん?カエデ、どうした?」


「あっ、ビャッコ…」


「ふふっ、起きちゃったね?…まあ私は失礼させてもらうよ…あ、したら出させてあげるから…またねー♪」


「ちょっ!待って!」


…閉められちゃったよ!


「…どういう状況だ…?」


「あのね…僕たちね、閉じ込められた…」


「何!?どういうことだ!?出れるのか!?」


「そのね…僕たちが子作りをすれば…出れるらしいよ?」


「は!?馬鹿か!?」


『そうだよ〜♪ふふっ…』


「イナか!出せ!さもないと…私たち四神が…何をしてもいいと言うことになるが!」


『うーん…でもさー、カエデとビャッコ様、あの時キスした時から発情しちゃったんだよね…?それはどう責任とってくれるの?』


「…それはイナの勝手だろ!?」


『まあまあそうカッカせずに〜。愛し合えば出れるんだし〜?』


「…くそっ…!なんとしてでも出るぞ…!これ以上見られてたまるか…」


「…ビャッコ、力、与えることってできる?」


「…?一応できるが…」


「僕がなんとかしてみせる」


「…わかった!頼むぞ!」


久しぶりの野生解放…がんばるか!


「…ハァッ!」


ガッシャ-ン!


「「うわっ!?」」


…裏で抑えてたのか…でも、無駄になっちゃった…アハッ!


「…さて…出る前に…っと!」


「ひぃ…」


「イナはどこかな…?」


「カエデお兄様…!落ち着いてくだ」


「黙れ。今はイナを探すのに集中してるんだ」


「私は四神だ…私を怒らせたこと、後悔させてやる…」


「そっ、その…イナ様は…」


「カエデ、ここは私が押さえておこう。イナをやってこい!」


「うん!この2人に聞いても無駄だからね!あっ、そうそう、2人に言っておこうかな?…もう、2人は信用しないよ?」


「いや…私たちはイナお姉様に言われただけで…!」


「後のことはイナに聞けばわかる」



「…ここか」


「…全く、なんで逃げちゃうの…」


…状況がマジでよくわからん…


「…覚悟してよ…」


「えっ、ちょっと待っ」


「問答無用!覚悟しろ!」


回し蹴り!これだけで終わりにしてやる!


「キャァァァァ!?」


…気絶したか…まあいい。


「…ふぅ、もう夜…帰らなきゃね…」


「…カエデ!大丈夫か!」


「うん。一発蹴りを入れてやった」


「…さて、帰ろう。もう夜だ。お腹も空いているだろ?」


「うん!…せっかくだし、へいげんでご飯食べて行こうよ!」


「おっ!そうだな!」



「…それよりカエデ、今日の夜、愛し合わないか…?…正直、早い気もするが…本気で…子供を作りたいんだ…///」


「ほんと…?じゃあ子供、作ろっか…」


「本当にいいのか…?今日はその…なんだか変なんだ…朝っぱらからずっと…カエデがカッコよく見えるんだ…カエデをこの目から離したくなかった」


「…ビャッコ、まさかとは思うけど発情期?」


「そう…かもな…///」


そういえばよく見てみるといつもよりかは顔が赤くて、呼吸も荒っぽい。


「…お母さんが言ってたけどね?発情期にしてあげれば…できるらしいね…?」


「本当か!?なら早く帰って…」


もう…慌てすぎ!いくら僕を愛してるって言っても慌てちゃダメだって!


「ダメだよ?夜、子供作るんでしょ?なら体力を夕飯食べてつけないと!」


「…それもそうだな!」


「…カエデ…キス…」


「うん…」


月の光に照らされながら、唇を奪い合う2人。そこは誰もいない。誰にも邪魔をされない。

静かな場所であった。


「…あぁ…カエデぇ…」


「んん…?」


「我慢できない…カエデが欲しい…///」


「本当に我慢して…?我慢したら後から好きなだけあげるから…」


「…腕組んで…///」


口調がおかしくなっているのも気にせず、2人は腕を組む。もう、二度と離れられないように。





へいげんの料理屋…


夜は夜行性のフレンズで繁盛。でも今日はもう遅いから少ないみたい。


「…おっ、カエデとビャッコ!こんな遅くに何しにきたの?」


今日の担当はお父さんとお母さん、そして教授と博士。


「今日のメニューは何?」


「これ!…実はもう閉店しようかと思ってたら2人が来てね?」


「あぁ…すまない」


「いいよいいよ!さ、何が食べたい?」


「うーん…カツ、もらっていい?」


「私もそれで頼む」


「おっけ!カカオー!博士ー!カツ定食2つ!最後の仕事頼むよ!」


「はーい!」

「わかったのですー!」


…楽しみ!



「はい!カツ定食2つ!」


「ありがと!…いただきます!」

「ありがとう。いただきます」


「あ、塩胡椒、ソース、しょうゆ、好きなのかけて?」


「うん!当たり前のように塩胡椒!」


「何がおすすめなんだ?」


「基本はソースだけど…?」


「じゃあソースだな?」


「うん!はい!」


「ありがとう…」


「…ふぅ、美味しいね!」


「あぁ…家でも作りたいな…」


「簡単だよ?今度教えられる時があったら教えてあげるよ!」


「ありがと!」


「ふぅ、こんな遅くにやってくるなんて…何をしてたのですか?」


博士と教授がやってきた…変わらないなぁ…


「いやー、ちょっとね?食べに行こうって計画してたのにお昼寝でぐっすり寝ちゃってね…?」


「いくらなんでも寝すぎじゃない?ねぇ、オレンジ!」


「そうだね?…たまには昼寝もいいね!オオカミ!」


「そうだね?たまにはするとするかい?」


「そうするか!」


お父さんと教授が作るご飯は本当に美味しい。いつか僕も、こんな感じに料理が上手くなりたいな!



「「ごちそうさまでした!」」


「「「「お粗末様!」」」なのです!」


「さて、カエデ?たまたまあったんだし、少し話があるんだけど、いいかな?」


「え?いいよ?」



なんの話なのかな?


「…さて、カエデ?もうわかってるとは思うけど…ビャッコが発情期だってこと、知ってるね?」


「うん」


「今日は…嫌と言うほどやってあげるといいよ?ビャッコ、絶対嬉しいと思う」


「だよね…?」


「子供も作れるよ?ほぼ確実にね?」


「…だろうと思ってた!だから僕は本気でやってあげる!ビャッコに自分の全部をぶつける!」


「よし!その気があればビャッコを落ち着かせてあげられる!がんばれ!」


「ありがと!」


…正直知ってたけど…経験者の声は聞いておいた方がいい!



帰り道…


「カエデ…」


「ビャッコ…」


「「好き…」」


「もう…ずっと愛してる…逃がさないからね…」


「承知の上…今日はカエデも欲を発散させるぞ…私について来れればいいがな…///」


「ずっとついていくよ…」


こんな話が帰るまで、ずっと続く。本当、楽しい。



帰宅…


「ただいまぁ…」


「どうしたんじゃ!?遅かったの!」


…なんでみんないるのさ。


「確かに遅かったな…」


「話があるわ。聞いてほし」


「私たちは…これからに関わるかなり大切なことをするんだ。出ていってもらってもいいか?」


「ほう、それはなんじゃ?」


「子作りに決まってる。このタイミングがベストなんだ。子供を作れるのがビャッコが発情期である今しかないんだ。だから…ごめん」


「子供!?」


「な、なら喜んで出ていくわよ!」


…えぇ?


「…本当に出て行ったよ」


「…でもこれで安心して子供が作れるな///」


「うん…さ、寝室、いこっか…」


この後、2人の神が満足いくまで、子作りに専念したのは言うまでもない。





…だが、その子供はちゃんとできているのか…?

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