第16話 全力狩りごっこ

「…服が…気持ち悪いな…」


ビャッちゃん、何故かお風呂に入らず汗とか僕のがやばいまま服を着てるんです。そりゃあ気持ち悪いわ。


「…」スンスン


「…何服の中の匂い嗅いでるのさ」


「カエデのドロッドロのあれが私にすごいついてるんだぞ…?愛する者が出した子供の素がついてるんだぞ…?」


「だからってさ…」


…怖いよ。正直。


「…まあいい!」


「ねぇ、ひとつ聞いていい?」


「どうした?」


「してるときさ、なんであんなに変わるの?最初はすごい受けてたのに途中からすごい攻めて…」


「わるいか?」


「悪くはないけど…」


「なら、いいだろう?」


うーん…いいのかな?


「そんなことより、だ!…キス…お願いできるか…?///」


「うん…」


あまりにも唐突だねぇ。まあいいけど!


「んっ…」


ちょっと軽く…!


「…カエデ…?」


「どした…?」


「生きてきた中で、こうであってよかったって思ったことってなんだ…?」


「決まってるさ。君が存在してくれて、よかった」


「…嬉しいな…///」


「ビャッコは?」


「そうだな…カエデがいてくれたのも嬉しいが…その前提にオレンジが来てくれたこと。これが一番良かったと思う!」


「なんで?」


「だってオレンジがいなければカエデはいないだろう?」


「確かに…お父さんがいなければ僕なんて産まれてなかったからね…あ、そうそう、明日オオカミ連盟で集まりがあるんだけど…」


「あぁ!わかった!」



こんな話をしながらも、ご飯食べて、楽しく過ごして、寝て…


翌日


「うおぁぁぁ!」


「ん?どうした?」


「急げ急げ!」


別に遅れてるわけではないんだよね?じゃあなんでかって?


「なんで急いでるんだ?」


「レオと一緒に行くつもりなんだよね!」


「そうか!なら私がおにぎりを作るからそれを片手に行ってこい!」


「うん!ありがとう!」



「よし!ハムハム…ひっへぇひはふ!」


「口に入れすぎだ…!いってらっしゃい!」


スケボーを片手に持って、バッグを肩にかけて!おにぎりを食べて!いざ!


「ファイアー!」


火山をスケボーに乗って高速で降りる!かなり危ない!


「Foooo!」


だが楽しい!慣れた!



かなり早くついた!いやー、楽しい!


「レオー!ニホンオオカミさーん!」


「…お、来たね!」


「うん!いやー、久しぶりの集まりだね?」


「そうだね!…ニカー!準備できてるー?」


「もちろーん!あ、カエデくん!久しぶりー!」


「お久しぶりです!まあこの前ぶりだけど!」


「さ、行こう!」



「ねぇ、カエデくん」


「ん?どうしたんですか?」


「ツバキのこの髪色…」


「あ、前からずっと思ってたこと?」


「そうそう!なんでこんな髪色してるのかって思って…」


「濃い緑色ねぇ…」


考えられることなら一つかな?


「多分だけど…2人の髪色を引き継いでるんだと思うよ?」


「「え?」」


「ほら、レオの髪色は僕と同じ、紺色でしょ?そしてニホンオオカミさんの髪色は橙色でしょ?それを混ぜた色が、濃い緑…だった気がするよ?」


「そうなんだ!ありがとう!」


「さ、着くよ!」


おお…結構いるね…


「お久ー!」


「「「「「「「久しぶりー!」」」」」」」


「カエデ?連絡がある」


「ん?どったの?お父さん?」


「つがいになったこと、そして結婚したことをみんなに伝えて欲しい。始まったら連絡があるっていうからその時に出てきて言って?」


「うん!任せて?」


「いやー、緊張するよ?」


そっか。レオとニホンオオカミさんは経験してるのか。


「前に出て話すのは…本当にキツイよ?」


「頑張って?」


「…善処するよ」


「さ!みんな座って座って!始めるよー!」


もうざわざわしてるよ。早いね…


「さ、始める…前に!カエデから報告があるよ!」


「はーい!」


前に出て…!言えばいいんだ…!


「みんな!急な報告でごめんね!もう噂になってるって前に聞いたけどみんなが知ってるかは知らない!でも実は…僕ね、つがいになったんだー!」


「「「「「「「「えー!?」」」」」」」」


あれ?みんなご存知なくて?


「え!?誰と!?」


「この様子だと…連盟の中じゃない…?」


「僕がつがいになって、結婚して、これからを永遠に共にすると決めたフレンズさんは、ビャッコ!つまり、僕はビャッコとつがいになったの!」


「ビャッコって…あの四神の?」


「そう!仕事行ったら急なことでねぇ…正直驚いたよ!でも僕はビャッコと永遠に一緒に暮らすことを決めた!」


「おめでとー!」


「ふふっ、ありがとね?」


「さて、カエデの報告も終わっ」


「待って」


あのことの報告も一応!


「もう一つ、報告がある」


「…いいよ?」


「ありがと!えっとね?さっきの話の中にもちゃっかり言っちゃったんだけどね?僕、不老不死になった!」


「ふろーふし…?」


「カエデ!?嘘でしょ!?」


「嘘じゃないよ!」


「どういうことなんだ?」


「つまりね、死なない!フレンズ化も解けない!」


「…お兄ちゃんにやってもらった?」


「そうだよ!…それとさ、ちょっと待って?」


気配を感じる!独特な神々しい気配が!草の中にいるな!


「…なんで来たの?」


「なぜわかった!?」


うん、ビャッちゃん、気配でわかるよ。


「質問に答えてほしいな?」


「いや、ちょっと心配でな…」


「おっ、ビャッコもいるのかー!ちゃんと話してもらったよ?ささ、どうせいるならさ!来てよ!」


「あ、あぁ…?」


「…さて!まあわかってるとは思うけど、彼女がカエデとつがい、そして結婚した四神!ビャッコだよ!」


「…?何をすればいいんだ?」


「あ、適当に自己紹介すればいいと思うよ?」


あ、自己紹介させるんだね?


「四神のビャッコだ。私の力で皆を守る…ところだが、セルリアンはいない…な?だから、私は皆の幸せを願う。もちろん、一番幸せになってほしいのはカエデだがな!ハハッ!」


「ミソキーマウヌ?」


「誰だそれ」


ほんと、誰?


「そんなことより!今からはフリータイムだけど…僕からも一つ聞きたいんだ!」


「どうしたの?」


「ほら、カエデがビャッコとつがいになったでしょ?だからさ?オオカミ限定とか気にせずにさ!ビャッコも入れてあげようよ!」


「賛成!」


「カエデのつがいなら、な!」


「えっ、ちょっと待て、どんどん話を」


「よし!じゃあ今日からビャッコが仲間入りね!」


「…はぁ」


「ふふっ、まあそう悪く思わないで?…オオカミ連盟へ、ようこそ?」



「さて、なんで今日、みんなに集まってもらったか、わかる?」


「わかると思いますか?」


「確かにね!まあ、最近集まってなかったでしょ?だもんでさ!みんなで久しぶりに遊ぼうかと思う!」


「何をするんだ?」


「ふふ…久しぶりに狩りごっこをしようかと思うよ!」


「狩りごっこってなんだ?知ってるか?カエデ」


「昔随分とやったよ?追いかける側と逃げる側に分かれて、逃げる側は全力で追いかける側から逃げる!追いかける側は全力で逃げる側のフレンズさんを捕まえる!それだけ!ていうかフィルター中でもやってたよね?」


「…そういえばやってたな!」


「だけど今回は修行じゃなくて遊びだからね?」


「さて、鬼を誰にするかだけど…5人くらい必要かな?」


「あ、私やめてもいいですか?」


「あ、そうだね!ツバキ君抱えてるからできないね!」


「じゃあ僕も」


「え!?レオは楽しんできたら?」


「…うん!じゃあ思いっきり楽しんでくるね!」


「私たち鬼やってもいいかなー?」


「お、なんでも屋の3人?」


「そう!ねー!」


「ですねー!イナお姉様ー!」


「ですね。イナ様」


「じゃああと2人、かな?」


ていうかイナの周りにつくフレンズさんって特徴的なの多いよね?


「そうだ!せっかくなりあの2人に!」


…え?


「確かにね!…どう?やりたい?」


「ビャッコ、どうする?」


「カエデがやりたいなら…?」


「え、じゃあやりたいな…?」


「そうか!じゃあやるか!」


「よし!じゃあこの5人に捕まらないようにね!待機時間は5分!頑張ってね!」



「カエデ!最近どうなの?」


「え?最高だけど?」


「そうなんだ!でも…私たちも、ね!」


「ですねー♪」

「ですね」


「そういえばそっちの仕事はどうなの?」


「楽しいよね!」


「イナお姉様がいればなんでもできます」


「もぉー!お節介はやめてよね!」


「あはは!この3人でなんでも屋を始めてから…毎日が楽しくなりましたよ!」


「イタちゃんなんか私をお母さんに見立ててるもんね!」


「あっ!それ言わない約束じゃないですか!」


「…へぇ?随分と楽しそうだね?」


「…まあ!とにかく毎日が忙しくてもそれを楽しみに変えられるの!なんて言ったってこの3人だもんね!」


「まあ拠点で暮らし始めたのは近い話ですがね…?」


「え?別居暮らし?」


「そう!お父さんとお母さんをおいてね!この3人で暮らし始めたの!」


意外…イナがこんなことするんだ…


「そうなんだ…イナはさ、オスのフレンズさんとつがいになる気ってあるの?」


「え?もちろん無いけど?」


「えっ」


嘘でしょ。


「私は…この3人で死ぬまで永遠に一緒に暮らしていけたらいいなって思ってるんだ…」


「…イナお姉様…!」


「…賛成してくれるかな?」


「もちろんです!一生イナお姉様についていきます!むしろ大好きですー!あー!イナお姉様ー!」

「当然です。イナ様とイタリアオオカミ様のために…私は働きますわよ?」


…やっぱイタリアオオカミさんのぶっ壊れ具合はイナにもあるみたい。


…でもまだ2分かぁ。


「…何しよう」


「…そうだ。カエデ様とビャッコ様がつがいになったお祝いとして、ここは一つ、お茶でもどうでしょうか?」


というとどこかから謎にティーポットとティーセットを取り出した。どこから出したんだよ。


「お、じゃあもらおうかな?」


「そこにちょうどいい切り株があります。そこで…」



そこで1分オーバーしていたことはみんなに伝えておかないでおこう。それでもみんなを手早く捕まえられた!よかったよかった!

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