第14話 厳しい
「んー…!暇…!」
「だなぁ…」
ものすごい暇!
「そうこうしているうちにもうお昼だよー?」
「そうだなぁ…って!そうだ!カエデのも作らないとだったな!」
「頼むよ?美味しいご飯を期待してるからね?」
…
「その…できたんだが…」
おっ!どうなったかな?
「ん?」
「その…失敗して…」
「何を作ったの?」
「お好み焼きというやつだが…」
「…焦げてるね」
「もちを入れたから加熱は十分なほうがいいかと思って…」
あ…確かにその気持ちは分からなくもない!
「…よし!今日の午後は料理を教えるよ!夜ご飯もお好み焼きでいいからさ?」
「わかった!…これは?」
「あ、食べるよ!せっかく作ってくれたんだし!」
…うん。悪いけど…ものすごく焦げた味がしてる。もちは十分火が通ってるんだけど…肉とかがこげてる!野菜はゴロゴロしてて硬い!
「…うん。どうやったらこうなるのかな?w」
「私のできることをやったんだが…」
「いいよ?今日は絵を捨てて徹底的に教えてあげるからね…!」
「カエデは料理しないのか?」
この背で?無理無理!
「こんな背で台所に立てると思うかい?」
「…確かに」
「決定ね?さ、台所に立とう!僕は厳しいよー!」
厳しさMAXで行こうか!
…
「…しかし今のカエデを見てるとフィルターの中にいた時を思い出すな…!」
「そうだねぇ…僕にとっては遠い昔のことだからあまり覚えてないけどね?」
「…準備できてるぞ?」
「あっ!ごめん!…ふぅ、ビャッコ、始めるぞ。いいか?」
本気だよ!これしないと気合が入らない!
「!?…あ、あぁ…」
「よし。では、まずはビャッコがさっき作った手順でやってみろ」
「…この粉を水で溶く…そうだな?」
「そこまではあってる。だが溶き方が違う。もっと斜めからやるとやりやすい」
「…こう…か?」
「そうだ。…こんなもんでいい。次は具材を切る作業だ。大きすぎず、小さすぎずだ。お父さんからきかなかったのか聞かなかったのか?」
「…なんか聞いたような」
「だったらなぜそれをやらなかった?他のフレンズだったら物凄い怒ってたところだが手加減しておこう」
「…」
…
「…そしたら、うまくひっくり返しながら焦げ具合を見て、いいと思ったら皿に乗せるが…今回は言おう」
「…カエデ」
「どうした」
「なぜそんなに厳しいんだ?私の料理が下手だからか?」
「…はぁ、なぜそこにも気づかないんだ?確かに美味しい。がだ。はっきり言って見栄えが悪い。見栄えが悪いと外見からもう評価が決まる。つまりまずいように見られやすい。近いうち、僕たちは料理屋でビャッコと一緒に働き始めると思う。フレンズたちの印象を悪くしないように、な?そして、僕たちが頑張って子供を作った後に子供に料理で食べたくないって言われたら…わかるだろ?だからそんな気持ちにさせたくないからこんなに厳しくしてるんだ」
「…そうか…」
「…僕が怖いか?」
「…正直…な」
「戻してほしいか?」
「あぁ…気が狂うな」
「…全く、まだまだ甘いな。気を張れ。ビャッコなら絶対できる。自分で限界を決めてる。『私はこういうのしか作れない』そうじゃない。『こういうのも作れる』そういう考えを持つようにして見せろ!そして自分でレシピを作って僕をあっと驚かせてみろ!」
「…あぁ!やってやる!」
「そうだ!それでいい!」
…
「…できたぞ?」
…さっきよりかは見栄えがいい…見栄えだけで言うなら70点くらいか?
「では…味見をさせてもらおう。いただきます」
…確かに美味しいんだが…何かが足りない。
「…これ、キャベツ入れたか?」
「…!そうだ…!」
「何をやってる!お好み焼きだからってキャベツを入れないのは…」
「作り直し…か?」
「いや、休め」
「ありがとう…」
…厳しくしすぎたか…?何か悩み事とかあるのか…?
「…ビャッコ」
「ん…?」
「何か悩み事とかあるのか?ミスが多いぞ?」
「…そうだな。確かに悩み事はある」
「…ふぅ、言ってみて?僕が聞いてあげる…」
とりあえず戻さないと話しにくいだろうし?
「…『コウリュウ』の存在を知っているか?」
「コウリュウ…知らないけど…?」
「コウリュウは私たち四神のリーダー。方角で言うなら、中央だ」
「…そのコウリュウがどうかしたの?」
「いや、記憶だけに微かにあって鮮明までには覚えていないんだ。だが…確かにいるはずなんだ…」
「…」
「私は…正直コウリュウがいてほしいと思う。だがいない…と思うんだ。いるいないの前にまず存在しないと思うんだ。でも…気がかりなんだ。コウリュウという四神は本当にいるのか…?」
「…僕には答えられないけど…明日あたり、図書館行って考えてみる?」
「明日…確かダンスの練習をするんじゃないのか?」
「しんりんちほー方面に新しく道ができたんだよ!帰り道に行こうか!」
「あぁ!」
コウリュウ…いたとするならどんなフレンズさんなんだろ…
…
「そこ!違う!」
「あぁぁ!」
「…はぁ、ほんと、ビャッコは料理があまりできないな。なんていうんだ…?力がありすぎるのか…?…いや、ビャッコ、手を見せてみろ」
「…!やめてくれ…!」
「いいから…!」
「あっ…」
…やっぱり。
「…はぁ、ビャッコ、なぜ言わなかった?なぜ手を包丁で切ったことを言わなかった?」
「…カエデが…怒るかもしれないから…な」
「そんなことで僕が怒るわけないだろ!むしろ心配するに決まってる!こんなことで怒るならフレンズから並外れてる!ほら!手を洗って!」
「…グスン」
「ほら泣かない!手を出して!絆創膏貼るよ!」
「…カエデ、それがカエデの本性なのか…?」
「…僕が産まれて、言葉が話せるようになったあたり、こういう性格だった。でも、僕はそれを治した」
「私は…どっちのカエデを信じればいいのか…?」
…涙目になっちゃってる…怖くしすぎたかな…
「…ごめんね…ビャッコ…僕、言いすぎた…厳しくしすぎた…」
「いや…いいんだ…私も泣きすぎるんだ…」
「あぁぁぁ…!僕はどうやってビャッコに詫びればいいのか…わからないよ…!助けて…」
「カエデ…いいんだ。それ以上自分を責めないでくれ…私まで…泣きだぐなっでぐるじゃないがぁぁぁ…!」
「…今は…泣かせて…思いっきり…声に出して…」
「あぁ…私もなぐぞぉ…!声出じてなぁ…!」
「「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……………!」」
「ビャッゴぉぉ…許じでぇぇぇ…!」
「ごんな無能なづまでぇ…ずばないぃ…」
「ビャッゴォォォ…!ごんな僕でもぉ…愛゛さ゛せ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛…!夫゛で゛い゛さ゛せ゛て゛く゛れ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛…!」
「当゛た゛り゛前゛だ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!不゛死゛身゛に゛な゛っ゛た゛以゛上゛、別゛れ゛る゛な゛ん゛て゛無゛し゛だ゛ぞ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」
しばらく2人で大声で泣き続けた…。
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今回のお話、これ以上書くの無理☆
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