第12話 不自由な生活
「利き手が怪我してるから絵も描けない…」
はい、超暇です。なんせすることが無いんで。
「一週間カエデと何かをしようと思ってもできることがないな…」
「…そうだ!服を着替えたいんだけどいいかな?」
「どこにあるんだ?」
「僕がよく簡易的な部屋着として着てたんだけどね?あのクローゼットに黒い服があるはずなんだけど…」
「黒い服…これか?」
「そうそう!それ!」
簡単に説明するならばお父さんが「ローブ」って言ってた!プラムさんが具現化してくれた時に「例のあの策士のローブ」と言ってたけど策士って何?
ちなみに見た目はほぼ黒だけど紫のラインが入ってる!
「着れるか?手伝ったほうがいいか?」
「あ、脱いだ服を持っていってほしいな?」
「わかった」
「うーん…中はいらないね!」
「中?」
「うん、中。別にローブだけ着てシャツとかは着なくていいねって話!」
「いいんじゃないか?」
「じゃあ…」
…片手使えないだけでもかなり脱ぎにくい!
「…ふぅ、このローブを着るのも久しぶりだな…!」
「…カエデってそんなに筋肉あったか…?」
「あるよー!僕の体見る機会たくさんあったでしょ!」
「まあ…そうだな?」
ビャッちゃん…ちょっとひどいね!?
「うーん…何しようか?」
「そうだな…私も洗い物、洗濯物を干す仕事も終わったからなぁ…」
「…そうだ!しりとり、やろうか!」
「しりとり?どこかで聞いたことはあるが…」
「しりとりは…言った言葉の最後の言葉を次の言葉の一番最初にしなきゃいけないって言うゲームなんだけど…ルールとして「ん」が最後に来たら負け!」
「なるほど…?」
「あ、罰ゲームありで!」
「は!?」
そうじゃないと面白くないでしょ!
「そうだねぇ…じゃあ罰ゲームは生きてきた中で1番恥ずかしかったことを晒す、でいいね?」
「えっ!?…まあいいが…どっちが先行だ?」
「僕からやるよ!しりとり、でしょ…?リンゴ!」
「ゴ…何かあるか?」
「あ、コでもいいんだよ?」
その辺もしっかり伝えておかなきゃね!
「なるほど!じゃあ子供、だ!」
「子供…も…桃!」
「それってアリなのか!?」
「うん、アリだよ?」
「むぅ…」
「ほら〜、考えないと負けだよ〜?」ニヤニヤ
「…森…か?」
「「り」ね!…リス!」
「す…スイカ…」
「果肉!」
「く…く?栗…」
「またり!?り…リポビタン!」
「リポビタン?」
「うん、お父さんが前飲んでた」
なんだっけ?エナジードリンクだっけ?
「でもカエデ…「ん」だぞ?」
「あっ…」
「…私の勝ち、だな?」
「アァァァァァ!僕がバカすぎたァァァ!」
「罰ゲーム、執行だな♪」
「うー!自分で言い出したのに!」
「さ、なんだ?人生で一番恥ずかしかったことは?」
言うしかないか…!
「…あれはね…確か3年くらい前のことだったかな?イナとレオと一緒に料理作ってたんだけど…その料理を作る方法を間違えてたのに合ってるって意地貼ってたらお父さんが来てね?これであってるよね?って聞いたら一から全部違ってるって言われてイナとレオにすごい笑われてお父さんも丁寧に教えてくれたのはいいんだけど…恥ずかしかった!バカすぎて恥ずかしかった!」
あれは本当に恥ずかしかった!そこからはもう間違えないように頭に突っ込んだね!
「…はは!そんなことか!」
「そんなことって!?」
「私の方がもっと恥ずかしいぞ?」
「へぇ?言ってみてよ」
「そうだな…オレンジがフィルターの中にいる時なんだが…」
あ、ずいぶんとすんなり引っかかってくれた。
「オレンジに一回「戻ったら何を目標にして過ごすか」という質問をされてな?スザクはフレンズを幸せに、セイリュウは自然を大切に、ゲンブは何かあったときにすぐに対応できるように特訓するといってたが…」
「ビャッコはなんで言ったの?」
「その…真っ先にカエデとつがいになりたいっていうことが頭に過ぎてな…?つい言ったんだ…カエデとつがいになりたいってな…///」
「そりゃ嬉しい!でもさ、忘れてるよね?罰ゲームは僕だよ?ビャッコは言わなくてもいいんだよ?」
「あっ…」
「あはは!まんまと騙されてる!いい顔いただきました!」
「カーエーデー!?」
「でもね?そういうことが聞けて本当に嬉しいよ!だってビャッコが本当に僕のことを愛してるかわかったからね!」
「なんだ?もうそのことはカエデは理解してるんじゃないのか?」
「まあ確かにビャッコのことは愛したい!もっと時間をかけて愛したい!でもビャッコ自身も僕のことを本当に愛したいのかビャッコ自身の口から聞きたくてね?この場で聞けてよかったよ!」
これからは安心して暮らせる!ビャッちゃんと一緒に…!
「…さ、すんなり終わっちゃったしりとりだけど…」
「あ、紅茶でも飲むか?」
「紅茶淹れられるの!?」
「あぁ。オレンジとかアルパカに教わったんだ」
意外…!僕は大体コーヒーかジュースか緑茶しか飲まないけどたまにはいいかもね!
「そうなんだね!…じゃあお願いしようかな?」
「となるとお菓子も必要か?」
「夜だけど…夜更かし、したい?僕と語り合いたい?」
「…じゃあ作ってくるぞ!待っていろ!」
…
「…完成したぞー?」
「…」
「…カエデ?」
「あ、あぁ!ごめんね!」
つい見入っちゃったよ…
「何を見ていたんだ?」
「そこの瓶に入っている白いバラと紅葉を見てたんだけど…なんなの?前も大切に持っていたけど…」
「…これのことか…この紅葉は…カエデの名と同じ、カエデの木から出てくる葉っぱ、だろう?そして、白いバラは前にコスモスに私に似た花をつくってほしい、とお願いをしたらこれをくれたんだ。…そして瓶は…空間を意味し、植物は私たちを意味する。つまり、私たちは永遠に一緒、ということだ」
へぇ…ビャッちゃんも上手いこと考えるね!
「…じゃあ割れないようにしないとね?」
「そうだな?そんなことより、お茶の時間だぞ?」
「おっと!そうだね!なんのお菓子を持って来てくれたのかな?」
「前にプラムが具現化したポッキーと煎餅、私が簡単に作ったクッキーだが…いいか?」
「うん!ありがと!じゃあ…さっそくいただこうかな?」
「味…大丈夫か?」
「ズズ-ッ…うん!美味しい!たまには紅茶を飲むのもいいね!」
「え?たまには?いつもは違うものを飲むのか?」
「いつもはコーヒーとか緑茶とかジュースしか飲まないからね!」
「…コーヒーと緑茶ってなんだ?」
「どっちも特徴的な飲み物だよ?」
「今度飲んでもいいか?ていうか緑茶ってご飯の時にいつも飲んでいるあの緑の飲み物か?」
「そうそう!ビャッコは麦茶だけどね?」
「飲んでみてもいいか?」
「うん!でも今は、紅茶だよ?」
「わかってるぞ!…そうだ!プラムにポッキーのいい食べ方を教わったからそれ、試してみてもいいか?」
「うん…いいけど?」
「じゃあ…顔、こっち向けてくれ?」
「?」
…どんな食べ方なのかな?
「これ、咥えて…」
「んー」
「そして私も…」
…あー、大体分かった気がする。これ2人でどんどん食べていって最終的にはキスしちゃうってやつでしょ。それにしてもビャッちゃんの口がωになっててめちゃ可愛い。
「…これで2人でどんどん食べ進めていけばいいらしいぞ?」
「そうなの?じゃあしようか!」
2人でポッキーを食べ進んでいく。ゆっくりとビャッちゃんの顔が近づいていく。
「…近いな…」
「ダメだよ…?しっかり食べ終わるまで、咥えてるんだよー?」
そして目の前にぶつかりそうくらいな距離にビャッちゃんの顔がある。…可愛い。
「…これ…どうやって食べるんだ?」
「…キス、しちゃおっか」
「そうだな…///」
そして今日も唇を重ねた。ビャッちゃんの口にちょっとついたチョコがビャッちゃんの唇をさらに甘くさせる。
「…片手だけでも…逃さないよ?」
「ずっと…捕まえていてくれ…///」
そのあとも僕が軽くビャッちゃんの唇を奪う。その時のビャッちゃんの顔はオスに完全に惚れたメスの顔。可愛すぎる。
「…ビャッコ…」
「ん…」
「ビャッコが例え位が高い神であっても…例え何もできないフレンズであっても…僕はビャッコに惚れて、またビャッコも僕に惚れたんだ…このまま…一生幸せに暮らすよ…」
「あぁ…だが、聞きたい…」
「ん…?」
「死ぬのは…怖いか…?死ぬのは…やだか…?」
え?何急に。
「え…確かに死ぬのはやだだけど…」
「…永遠の命…欲しいと思うか…?」
「…?どうしたの急に…」
「私は…神といういない存在になりたくない…このままフレンズとして、一生カエデと幸せに暮らしたいんだ…だから私はカエデも死にたくないのなら…一緒にフェニックスのところにいって不死身にしてもらう…と考えたんだ…」
ビャッちゃん…そこまでずっと一緒に…
「…ちなみにだが、私たち四神はみんな、永遠の命が欲しい。カエデは…どうだ?」
「…今日の夜は…考えさせて?こういうのは…すぐには決められないからね」
「あぁ…」
…ビャッちゃんがこんなこと言うのかぁ…
「…ねぇ、ビャッコ以外はなんで不死身になりたいか、わかる?」
「パークを見続けたいことと、私たちみたいにつがいになれるかもしれないから、ということらしいぞ?」
あぁ…
「なるほどね…?」
前にサビオが言ってたな…
『生き物はみんな生き切った後には必ず死ぬ。そういうものなのです』
…こういう輪廻が永遠に続けられているものを…僕たちが変えてもいいのか?四神のみんなは神だからまだしも、僕なんかが不死身になっていいのか…?これからの人生にどう関係してくる…?
…
「…さて、そろそろ片付けるが…いいか?」
「うん!ありがとう!」
ビャッちゃんが部屋から出て行く。…いや。僕は…決心した。
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