第436話

「じ、じゃあ……お願いしようかな」

 菜々留と恋姫は目配せで頷きあうと、ボディソープをまずはてのひらへ。それを紺色のスクール水着に満遍なく塗りたくり、泡立てていく。

「んはぁ……こ、今夜は特別ですよ? 勘違いしないでくださいね?」

「そんなこと言ってぇ、恋姫ちゃん、ナナルよりサービスしちゃうんでしょう?」

 ふたりの息遣いが色香を含み始めた。

 『僕』のほうもすでにスイッチは入っている。

「手伝ってあげるよ。ほら」

「ひゃあっ?」

 スクール水着の表面からソープを集めては、デルタの真下へ侵入。手首の抜き差しでフトモモの付け根をお尻のほうまで潤わせる。

 その奇襲に、恋姫も菜々留も敏感そうに身震いした。

「こ、こら! お兄さん、そっちはまだ……」

「お兄たまったら……ムード出すのが、ぁはあ、上手なんだからあ」

 どちらも頬を染め、指を甘く噛む。

 続けざまに『僕』はふたりをソープマットへ押し倒した。

「もっと泡立てないとね。じっとして」

 そして4つの膨らみを、ランダムに掴んでは搾り、搾っては掴む。

「あっ? あぁ……んあああっ!」

「そんなにしちゃ、あふ……んふぅうっ!」

 このあとの十分間は自主規制――。


 ソープマットの中央で座り込む『僕』の、背面を恋姫が。

「ほんっとにもう……あはぁ、すぐ調子に乗るんですから……お兄さんは」

 正面を菜々留が、

「あんなふうにされたら、ナナルぅ……あん、何でもしてあげたくなっちゃうわ」

 泡まみれのスクール水着を巨乳で押しつけ、擦りつけてくる。

 ……はい、自主規制が十分では足りませんでした。

「気持ちいいよ。ふたりとも」

 『僕』のほうからも彼女たちを抱き寄せては、スクール水着越しにお尻を撫でたり、びしょ濡れのフトモモをじかにさすったり。

 胸いっぱいの高揚感が『僕』にさらなる衝動をもたらす。

「な、菜々留ちゃん? そんなキツキツに脚、閉じたら……!」

「うふふ、どうなっちゃうの? お兄たま」

「ちょ、ちょっと! そっちで何やってるんですか!」

 里緒奈のみならず、菜々留も『僕』の快感をコントロールしつつあるのが怖かった。

 背後からもスクール水着の恋姫が抱きついてくるせいで、歯止めが利かない。

「ス、ストップ! ほんとだめ、もう僕……はあ、こんなにされたら!」

「いいのよ? お兄たま、んふっ、ナナルで気持ちよくなって?」

 そして……あれだよ、うん。わかるでしょ?

 湯気のこもった浴室の中で、男女の甲高い嬌声が反響した――その一分後。

 案の定、後ろの恋姫が顔を真っ赤にした。

「ななっな、何出してるんですか! 変態! 変態! ヘンタイ!」

 対し、丸裸で取り乱す『僕』。

「ちょ、今そんなに罵られたら興奮……じゃなくて! 恋姫ちゃんのスクール水着にも何回か出したことあるやつだよ、ええっと……その」

「何回かって、毎回じゃないですか!」

 これって『僕』が悪いの?

 そんな『僕』の困惑など意に介さず、菜々留が右からもたれ掛かってくる。

「うふふっ! 恋姫ちゃんよりナナルのほうがいいでしょ? お兄たま」

 すると対抗して、左から恋姫も。

「か、勝手なこと言わないで。レンキだってふたりきりの時は……ごにょごにょ」

 真中の『僕』は両方をしっかりと抱き寄せ、独り占め。

「恋姫ちゃんがゴシゴシしてくれるのも気持ちよかったよ。でも無理はしないでね?」

「無理だなんて……これくらいのことでしたら、レ、レンキは別に」

「そうね。ヌく係にはナナルがいるものねえ」

「もう少し言葉は選ぼう? アイドルなんだからさ」

 こんな『僕』たちですが、まだ正式に交際しているわけではありません。


   天使「全知全能なる主よ、このクズに天罰を与えたまえ」

   悪魔「悪魔のオレも初めて祈るぜ。こいつに地獄を見せてやってくれ」


 この後ろめたい関係は、いつまで続く……いや続けられるのだろうか。

「あれが……お、お兄さん先輩の真剣交際……」

「うかうかしてられませんわ。エナたちも押さなくては」

 あとニャンニャンタイムを覗き見されるのも、当たり前になってきたなあ……。

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