第241話 妹ドルぱらだいす! #4
世界を征服……ではなく制服する。
それがSHINYの肝入り企画『世界制服』だ。
SHINYのメンバーが全国津々浦々の女子校を巡り、その制服を試着。ついでに体操着やスクール水着、部活のユニフォームなども着て、撮影する。
そんな色モノ企画も徐々に人気を集め、最近では学校のほうから招待されるパターンも増えてきた。
目指すは、ケイウォルス学院で使われている純白のスクール水着か。
はたまた名門L女学院・体操部のレオタードか。
夢は広がる――どこまでも。
そんなわけで、今日も今日とてSHINYは世界制服へ。
今回の女子校はチア部が強豪とのことで、衣装を借り、メンバーは大胆かつ可憐なチアガール(ミニスカ)に変身。
「ファイ・オー! ファイ・オー!」
彼女たちの声援を浴びるうち、プロデューサーの『僕』もテンションが上がってきた。
「いいよ、いいよ! 里緒奈ちゃん、もっと脚上げて!」
ぬいぐるみの身体で跳ねまわり、チアガールたちを鼓舞する。
「菜々留ちゃんもギリギリを狙って……そうそう! 美香留ちゃん、今のもう一回!」
なんといってもチラリズムが素晴らしい。
極端に短いスカートを、白いフトモモが捲りあげるたび、それは起こった。
見えそうで、見えない。
より男性の心境に近づけるなら、こうだろうか。
見えそうで……見えない、だと……ッ?
それは『穿いてない疑惑』にも通じ、男の子に無限の可能性を示唆する。
当然、簡単にできるものではなかった。お色気アニメのように、不自然な光が差し込むわけでもないのだから。
けれども、そこは魔法使いの『僕』だ。
得意の魔法でギリギリ感を演出し、『見えそうで見えない』を実現する。
この動画も公開されれば、ファンは熱く論じてくれることだろう。
『菜々留ちゃん、穿いてないんじゃないか? これ……』
『焦るな、パンツはあとだ。まずは着けてないことが明らかなブラについてだな……』
それを想像するだけで、『僕』の胸も熱くなった。
「さあさあ! 恋姫ちゃんも恥ずかしがってないで、ぱんつ、ぱんつ!」
珍しく晴れた六月の朝、5人のチアガールが横一列でダンスに励む。
「ねえ、Pクン? ちょっとこっち来てくんない?」
「え? どうかしたの、里緒奈ちゃん?」
ぬいぐるみの『僕』がふわふわと近づいた、その瞬間だった。
「お望み通り脚を上げてやるわよ! パンツが見えるまでねっ!」
「んばぶっ?」
里緒奈のハイキックが『僕』をかちあげる。
そして落下してきたところを、恋姫が十八番の延髄蹴り。
「少しは自重してください!」
「げふぅ!」
「おしおきよ? Pくん」
さらに菜々留の膝蹴りが介入し、『僕』はL字の軌道で飛んだ。
とどめはキュートの手品で爆発。
「ア~~~~ッ!」
「お兄ちゃんのバカ! パンツなら誰のでもいいのっ?」
戦隊がポーズ決めたら、背景で爆発するじゃん?
あれって実際、相応の威力があると思うんだ。
「お、おにぃ! 大丈夫?」
ボロクズになった『僕』を、美香留が心配そうに受け止めてくれる。SHINYのメンバーで唯一の天使だ。
つまりSHINYは魔王・魔王・魔王・小悪魔・天使で構成されているわけで。美香留がほかのメンバーの影響を受け、堕天しないことを祈る日々。
「まったくもう……妖精さんのPクン、もう少し何とかならないわけ?」
「夏はまだまだこれからなのに、先が思いやられるわねえ」
「サンドバッグに転職したらどうですか?」
「お兄ちゃん、きゅーと以外の女の子に流されすぎっ」
JKアイドルのプロデュースは今日も大変だ。
その後はお仕置きも兼ね、控え室に閉じ込められる。
チアガールたちは『僕』を囲むと、アイコンタクトで頷きあった。
「Pくん……ううん、お兄たま? 変身を解いてくれるかしら」
「こ、ここで? それは構わないけど……」
先に『僕』は異次元ボックスから服を取り出し、その中で変身を解除する。しかし練習不足のため、人間の姿へ戻ると同時に着ることができたのは、Tシャツだけ。
要するに丸出しの変態である。当然、シャツの裾で隠すけど。
「あ、あのぉ……みなさん?」
もはや進退窮まり、『僕』は声を震わせた。
ところが里緒奈たちは頬を染め――おずおずと、自らチアのスカートを捲しあげる。
「こっちのお兄様には、その、好きなだけ……見せたげるってば」
「ナナルのも見ていいのよ? お・に・い・た・ま」
「レ、レンキだって見せてあげるんですから! だから……こ、これで……」
「おにぃ、ミカルちゃんの! ミカルちゃんのを……一番に見てぇ?」
「きゅーとのぱんつが一番いいでしょ? お兄ちゃん……えへへ」
巨乳アイドルが5人揃って、大胆にもモロパン。
「ま、待って? それで僕にどうしろと……」
「「女の子に恥をかかせないっ!」」
チラリズムは砕け散りました。
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