第185話

 だが、これはチャンスでもあった。『僕』のモモモを狙ってきたところを、逆に捕まえ、とことん悪戯してやるのだ。

(よぉし……まずは花組でも星組でもないクラスに混ざって……)

 魔法でプールの水に干渉し、空組の得点を阻む。

 騎馬戦を迎える頃には、狙い通り空組が僅差で最下位となった。空組の女の子はむしろ喜び、『僕』を歓迎してくれる。

「やった、やった! 王子様と一緒!」

「まだまだ逆転できるよ。みんなで頑張ろう」

 騎馬戦は全クラスが一斉に激突する、水泳大会の一大決戦だった。クラスごとに騎馬を三騎、プールへ送り込む。

 『僕』はお付きの生徒会を馬とし、特別に空組の四番手として加わった。

 同時に破廉恥なルールを付け加える。

「ハチマキを取るんじゃなくって……何かないかな? 桜子ちゃん」

「でしたら、ポロリで勝負を決めてはいかがですか?」

 どよめきが走った。

「ポロリって……あ、あれのこと?」

「今年の水泳大会は過激ね。でも、さすがにそれは……」

 とんでもない提案に誰もが二の足を踏む。

「……受けて立つわ」

 そんな中、ユニゾンカラットが堂々と名乗りをあげた。

ブライトやジュエルも立ちあがる。

「下劣なゲームもここまでだ。ただしお前も条件は同じだぞ、ユニゾンダイヤ」

「私たちが騎手になっても、いいでしょ? みんな」

 チャームはこっそり逃げようとするものの、ブライトの手が逃がさない。

「お前もだ。腹を括れ」

「ちょっ! ほ、本気で言うてんの?」

 騎手にはポロリのリスクがあった。それならスケスケのスクール水着を着ている星装少女に――と皆は判断したのだろう。花組も星組の彼女らに出番を譲る。

 またユニゾンヴァルキリーの宣戦布告が、このスケベルールを全員に認めさせた。

「騎手のかたは肩の紐をどちらか、ずらしておいてくださいねー」

「カメラは止めて、止めて! ポロリはだめでしょ」

 クラスごとに騎馬はプールの角で陣を組む。

(星装少女のおっぱい……! 生で見て、生で揉んじゃうぞ!)

 ついに決戦の火蓋が切って落とされた。

まずは月組にご退場を――と思いきや、ほとんどの騎馬が『僕』のほうへ突っ込んでくる。彼女らは『僕』を見据え、目の色を変えた。

「どいて、どいて! 私が一番に王子様に脱がしてもらうのっ!」

「私よ! 王子様はこれくらいの大きさが好きなんだから」

 主催者である『僕』の思惑から外れ、騎馬戦は大混乱の様相を呈し始める。

「まだダイヤを落とされてはまずい! 急げ、チャーム!」

「こっちも行きましょ、カラット!」

 ユニゾンヴァルキリーの騎馬も突っ込んできた。

 ポロリが狙えなくても騎馬を崩せば、敵はリタイアとなる。相手を露出させまいという配慮もあってか、星装少女たちは勢い任せの体当たりを連発した。

「ごめんね? ええいっ!」

「こーなったら、ウチもやったるで!」

 カラットやチャームも波をかき分け、『僕』に迫る。

 『僕』はプールの真中で孤立し、四人のユニゾンヴァルキリーに囲まれてしまった。

「王子様! ここは潰しあいを待って……」

「ユニゾンヴァルキリーの狙いは僕だよ。ここで迎え撃つ!」

 だが、目の前にはたわわな果実が盛りだくさん。退くわけにはいかない。

「握ったら、一気に扱くんやで!」

「い、言わないでってば!」

 カラットたちの目的は『僕』のモモモを掴むこと。もう興奮しきっているため、直接的な刺激は避けなくてはならなかった。

(まだイクもんかっ!)

 ここでエクスに達しても、満足できないのはわかっている。

 エッチなアニメでもそうだった。『ヌきどころ』を逃がして発射してしまっては、虚しさだけが残るのだ。誰が主人公のケツなんぞを見ながら、果てたいものか。

 まずはユニゾンチャームと真っ向からぶつかる。

「そこだ!」

 チャームのスクール水着がぺろんと捲れ、裸の巨乳が弾んだ。

「あっ? き……きゃあああっ!」

 お調子者の彼女らしくもない、甲高い悲鳴が響き渡る。

 続けざまに『僕』はブライトの騎馬へ肉薄した。

「戦うのがもう少し早かったら、僕が負けてたかもね」

「ばかな……み、見えなかっただと……?」

 ブライトの巨乳も開放的に揺れる。

 華々しく登場したはずのユニゾンブライトも、アニメのほうでは最近、惨敗を喫した。そのイメージがブライト(紫苑)の動きを鈍らせたのだろう。

 ブライトとチャームは巨乳を抱え込んで赤面した。

「おっ、憶えときや? ダイヤっ!」

「こんな屈辱は初めてだ……」

 カラットとジュエルは左右に分かれ、『僕』に挟み撃ちを仕掛ける。

「一対一じゃ敵わないわ! 合わせて、ジュエル!」

「ええ! ……これで、おしまい!」

 しかし『僕』はあえて動かず、パワーを溜め込んだ。

「……見えたぞ! はあッ!」

 ジュエルの奇襲をカラミティ〇ンドで弾き、カラットの突撃はフェニッ〇スウイングで捌く。そうしてふたりの動きが止まったところへ、鉄砲水を放ってやった。

 カイザーフェ〇ックスのように。

「きゃあああーっ!」

 魔法を使ってしまったものの、すでに勝敗は決している。

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