第176話

 大勢のC等部生が目撃してしまったものの、水鉄砲の水で誤魔化せるだろう。

(あとで僕、殺されるんじゃ……?)

 星装少女たちの逆襲を恐れながらも、『僕』は残りの仲間とともに敵チームの本陣へ。

 K等部のチームもリーダーの胡桃を突出させてきた。

「こうなったら総力戦やで! みんなあ!」

「あっちもそんなに残ってないぞ! 一気に押しきろう!」

 再びK等部のグラウンドを舞台にして、最終局面が幕を開ける。

 隠れられる場所などなかった。全員が捨て身の覚悟で突撃し、水鉄砲を撃つ。

(こんなふうに遊ぶのも、久しぶりだなあ……)

 いつしか『僕』はサバイバルゲームに夢中になっていた。

 女の子のスクール水着を濡らすたび、興奮する。お花摘みを我慢する時の仕草や表情にもそそられ、たまらない。

 ただ、ゲームそのものも楽しかった。

 女の子たちも童心に帰って、はしゃいでいる。

「あと少しよ! 先輩、覚悟!」

「狙いをリーダーに絞って! ほかはいいから!」

 その中で『僕』と胡桃は真っ向から激突。

「ここまでやるとは正直、思わへんかったでー。けど、最後に勝つのはウチや!」

「そうは行くもんか。勝つのは僕……いいや、C等部だ!」

 皆の屍(仮)を盾にしながら、ショットの回数と鋭さを競う。

 だが――不意に『僕』の水鉄砲が弾切れになった。

「あ、あれ? まだ……」

「チャンス! 残念やったなあ、王子はん!」

 それを見逃さず、胡桃は意気揚々と距離を詰めてくる。

「まだ……撃てるんだよね、ほんとは」

 しかし『僕』は弾切れのフリをしただけ。

「な、なんやて? ひゃああっ!」

 胡桃はがら空きのスクール水着を撃たれ、ついにリタイアの時を迎えた。

 魔法はもう切ってある。

「あーあ、負けてもうた……割と作戦通りやったんやけどなあ」

 これにてゲームは終了。C等部生は勝利に沸く。

「やった、やった! 水泳大会でスイーツ! L女だもん、絶~っ対に豪華!」

「ユニゾンヴァルキリーが割り込んできた時は、どうしようかと思ったけど。ねえ?」

 K等部生の面々も潔く敗北を認めた。

「どっちが勝ってもおかしくなかったわ。いい勝負だったんじゃない?」

「まっ、今回は譲ってあげよっか」

 生徒全員で大暴れしてしまったが、運動場や中庭が雨に濡れただけのようなもの。健全な勝負で幕を閉じることができたのは、L女学院の品格によるところが大きい。

「勝てる勝負やったんやけどなあ……ブツブツ」

「まだ言ってるの? 運だよ、運」

 作戦自体はK等部生のほうが上だった。あの中庭のトラップにしても、『僕』たちはかなり翻弄されている。しかし『僕』らも粘りに粘って、敵の数を減らした。

「これでダイヤも満足できたんとちゃう?」

「え? あ……うん。そうかも」

 女の子にたっぷりと悪戯ができて、『僕』も嬉しい。

(今夜はさっきのをオカズに……うっ?)

 だが、そんな『僕』の背後を取る殺気があった。暑い夏の午後にもかかわらず、急に寒気がしてならない。

 後ろでは四葉と茉莉花が佇んでいた。それも、真っ黒な笑顔で。

「王子クン? ちょおっと、私たちとお話しない……?」

「あんな悪戯がしたくて、胡桃と共謀したのね」

 スクール水着は着替えてきたらしい。『僕』は顔面蒼白になるまで戦慄した。

「アワワワ……」

 星装少女の逆襲が始まる。


 その後は体育倉庫で内緒のお仕置き。

スクール水着の水抜き穴から飛び出すモモモを、水鉄砲で集中的に撃ちまくられる。

「ほんと待って? 敏感だから……ヒャアッ?」

「キミがお漏らしするまで続けるわよ。ほらほら、こーお?」

「勃起してたら、出ないんだって!」

「それって言い換えれば、興奮してますってことやろ?」

 胡桃は『僕』を助けようともせず、お仕置きの一部始終を眺めていた。

「今日は休み時間に何回ヌいたの? 正直に白状して」

「私も聞きたいわ、それ」

 四葉と茉莉花の水鉄砲が『僕』のマゾを暴く。

「ア~~~ッ!」

「なあなあ、ウチにもやらせてー」

 首輪を嵌められているのは『僕』のほうな気がした。

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