第6話 『カカッ』

『カカッ』っとスマホから通知音が鳴る


【 プログラミングスクール 2周目】


チャットグループ【 KnightsTECH 同期生】


ニート  「スクール辞めます」

ワロ   「えっ?早くない」

しょうたろ「何でですか?」

ニート  「スクールってわたしには合わないと思うんよ。」

ニート  「講師やメンターに聞いたりしても回答が遅いし、自分で調べた方がサラマンダーよりはやーい」

ワロ   「やめて…胸が痛い…」

ニート  「一回目のキャリアカウンセリングで就職支援の希望年収で『私の年収、低すぎ?』って状態だったんですわ」

ワロ   「いくらだったの?」

ニート  「ニートだったから300からとか言われた。」

ワロ   「確かに安いですね」

しょうたろ「400万くらい欲しい」

ニート  「実家を出る予定なので1兆円欲しいです」

ニート  「という事で私は退会の明日手続きします。2週間以内なので全額戻ってくる予定」

ワロ   「ごちです」

しょうたろ「ごちです」

ニート  「奢らないけど、飲みに行きましょ」


【 プログラミングスクール 5周目】

ワロ   「KnightsTECHナイトテックってしつ悪い?」

ニート  「悪いと思ったからわたしは辞めたんやで」

しょうたろ「駆け出しエンジニアなので判断できません ><」

ワロ   「元瀬さんが言ってたようにメンターの回答が遅いし要領を得ない感じ」

ワロ   「ちゃんと答えてくれるメンターの人に質問したけど他の人からもいっぱい質問されてて回答遅い」


【 プログラミングスクール 8周目】

しょうたろ「ポートフォリオも出来たので明日から転職活動に入ります」

ワロ   「僕はまだポートフォリオ少し詰めてから就職活動です。最近動画を使って勉強してて色々とやりたいことが出来ましたのでポートフォリオに詰め込む予定」

ニート  「お二人~、私はもう決まりましたわ」

ワロ   「はやw」

しょうたろ「おめでとうございます。」

ワロ   「なんて会社ですか?」

ニート  「女は秘密を着飾って美しくなるものなの・・・」

しょうたろ「バーローwww」

ワロ   「www」

ニート  「お二人が転職成功したら、また飲みに行きましょう」


【 プログラミングスクール 11周目】

ワロ   「内定貰えた!」

しょうたろ「おめでとうございます。」

ニート  「おめ~」

ワロ   「ありがとうございます。しょうたろうくんはどう?」

しょうたろ「まだですね~」

しょうたろ「面談自体には慣れてきたんですが、まだまだ技術的な質問とかされるとわからないことだらけです。」

ニート  「ガンバ」


ー【 プログラミングスクール 16周目】 ー

しょうたろ「色々と考えたけどエンジニア諦めました。」

ニート  「どして?」

しょうたろ「今日の面接でボコボコにされた…」

しょうたろ「酷い言い方だったけど正しくて自分の考えが甘かったんだと痛感しました。」

ワロ   「残念…翔太郎しょうたろうくん頑張ってたのに…」

しょうたろ「講師の橋さんにはどこからも内定がなければKnightsTECHナイトテックで講師やメンター」

しょうたろ「運営会社の3 PANCAKEって会社で雇うと言われたけどエンジニア自体なることを諦めました。」

ニート  「講師やメンター、SESでもええやん?」

しょうたろ「昨日の話を聞いてそれも甘いと思ったんです」

しょうたろ「詳しい話は今度飲みつつしましょう」


 翔太郎しょうたろうくんはスマホを置いた。彼はいつも勝則かつのりさんと飲んでいた居酒屋わかめに来ていた。カウンターで一人。既にビールを一人でニ杯、一気飲みのようなハイペースで飲んでいる。


 翔太郎しょうたろうくんはこの居酒屋わかめには色々と思い出がある。新人の頃に初めてラインを止めてしまった時や誕生日の時に勝則かつのりさんに励ましてもらったり、祝ってもらった大切な場所だ。


「生2つ」


 ガラッ


 椅子を引きずる音。翔太郎しょうたろうくんの隣に誰か座った。まだ早い時間で席にも余裕があるのにそう親父に告げた男は翔太郎しょうたろうくんの横にわざわざ座った。


「はい、生2つ」


すぐに運ばれて来た生ビールは二人の間に置かれた。


翔太郎しょうたろうくん、飲もう」


そう言って勝則かつのりさんは翔太郎しょうたろうくんにジョッキを差し出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る