第4話 KnightsTECH

 勝則かつのりさんに転職を告げた夜から数ヶ月…


 翔太郎しょうたろうくんは渋谷に来ていた。

 勤めていた工場を辞めて彼は今日からプログラミングスクール「KnightTECHナイトテック」の4期生となる。


 KnightTECH《ナイトテック》は元々「NightTECHナイトテック」という名前で社会人を対象に夜間にやっていたプログラミングスクールであるが卒業には半年間という長い期間が必要だった。

 この度、夜間だけではなく日中のコースも開講してプログラミングスクールKnightTECHナイトテックと名前を変えた。

 今回、翔太郎しょうたろうくんは4期生として、昼間のコースとしては1期生として入学したのである。3ヶ月でエンジニアになれることを謳っておりプログラミングスクールで、就職支援も行われている。


 しょうたろうくんはプログラミングを覚えられること、就職支援を期待して応募したのだ。


 プログラミングスクールの学費は父のひろに出してもらえた。

 ひろ翔太郎しょうたろうくんが高校卒業して進学しても良いように学費を貯めていたのだ。

 ただ翔太郎しょうたろうくんが進学せず働きに出たので使い所がなかったのである。


 ひろは言葉にしなかったが息子が新たな目標を持って勉強をしたいと思ったことに息子の成長を嬉しく感じていた。


 さらに通うにあたって、その学費で最新のパソコンを購入していた。


 渋谷駅から5分ほど歩いた場所にあるオフィスビルに翔太郎しょうたろうくんがこれから通うプログラミングスクールが入っている。


 オフィスビルに着いて指定の階に向かう。


KnightTECHナイトテックの方はこちらです。』


 エレベーターの目の前に看板が出ていた。翔太郎しょうたろうくんは看板の案内に従い、部屋の前に着いた。


 彼はこれから始まる短いながらの数年ぶりに始まる学生のような生活に様々な事を想像しながら扉を開いた。


 誰も居なかった。


「え…ん…えっと…看板出てるし…まだ30分前だから誰も居ないのかな…」


 翔太郎しょうたろうくんは思わず口に出して確認している。教室は20人程が座れる大きな会議室。部屋の奥にはホワイトボードがあり、微妙に消しきれてないいくつかのプログラミング用語のような言葉が書かれていた。


 とりあえず30あるのである。翔太郎しょうたろうくんは背負っていたパソコン入りの重いリュックを置いて座って待つことにした。


 まばらながら人が入って来て予定の開始時刻の11時になった。


「おはようございます。」


 そう言って扉を開けてスーツを来た人物が入ってきた。講師なのだろうか、会議室の奥に行き挨拶を始める。


「おはようございます。このKnightTECHナイトテックの講師とメンターを務めている。はしかけるです。これから…」


 ガチャ


「すいませ~ん、遅れました。」


 講師の挨拶中に一人の女性が入ってきた。遅刻したからなのか、挨拶中に入って来られたなのかは、わからないがはしは少し不機嫌な顔を見せた。


「遅れないように気をつけてください。」


「は~い」


 軽い返事をして彼女は翔太郎しょうたろうくんのちょうど空いていた横に座ったのだ。


「え~、ではこれからKnightTECHナイトテックについて色々と説明させてもらいます。」




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