第3話 冷えたビールと熱い…

「お疲れ様です。勝則かつのりさん、飲みに行きませんか?」


 仕事が終わった翔太郎しょうたろうくんは事務所で仕事をしている勝則かつのりさんを飲みに誘った。


「いいよ〜、まだ少し仕事残ってるから先にに行ってビールとつまみの注文してて。」


 翔太郎しょうたろうくんは勝則かつのりさんといつも行くでビールと焼き鳥を注文してて待っていた。


 冷えたビール、熱い焼き鳥が丁度、席に運ばれた時に頃合いをはかったように勝則かつのりさんが店に入って来た。翔太郎しょうたろうくんは勝則かつのりさんが入って来たのに気づいて手を上げて居場所をしらせた。勝則かつのりさんと笑みを浮かべつつ寄ってきた。


「おつかれ〜」


 そう言って、翔太郎しょうたろうくんの隣の席に座った。

 二人は年の差や上司と部下という関係ではあるが、友人、いや親友と呼んでも差し支えない信頼がある。


 翔太郎しょうたろうくんが工場に入ってからずっと面倒見てくれた上司であるが、それだけではなくお互いプライベートでも親交があり、勝則かつのりさんは翔太郎しょうたろうくんにとって頼れる兄貴分なのである。


「とりあえず乾杯しよ」


 勝則かつのりさんは席に着くなりジョッキを持った。


「ですね!」


 翔太郎しょうたろうくんもジョッキを持つ。


「「カンパーイ」」


二人はお互いの鳴らし、ジョッキに喰らいついた。


「「ぶっはぁ〜」」


二人揃ってそろって息を吐く。仕事終わりで空腹の胃に冷たいアルコールが熱く流れる。


翔太郎しょうたろうくんは彼女出来た〜?」


「出来たら、勝則かつのりさん誘って飲みに来ませんよ」


「えー、酷いなぁ、俺に彼女を紹介してくれるのかと思ったよ」


 そんな他愛ない話をさかなに酒が進む。 2杯、3杯とビールを体に流し込み、酔いが周り始めた頃、勝則かつのりさんは煙草たばこに火を付け誰も座ってない隣の席に向けて煙を大きく吐いた。


「で、翔太郎しょうたろうくん、本題はなんだい?」


 落ち着いた声で勝則かつのりさんは問いかけた。翔太郎しょうたろうくんは驚いた。いつも通りのつもりだったのに勝則かつのりさんに見透かされていた事に。


「わかりますか…」


「普段は詠美えいみちゃんがご飯作ってくれてるだろ?次の日が休みでもないのに誘うのは大体何かあった時だからさ。」


翔太郎しょうたろうくんは胸に込み上げてくるものがあったが頭の中にある考えを吐き出した。


「転職を考えてまして…」


「やっぱり転職か…」


「はい、それで僕、プログラマーになろうと思って、プログラミングスクールに入ろうと思っています…」


さっきまで楽しげに話してた雰囲気が重い空気に変わって行ったのがわかる。


「残念だよ…こうやって一緒に飲みに来にくくなるのかな。君の人生だから僕は何にも言えない。ただ、一つ言えるのは何かあったら頼ってくれよ。応援してるよ。」


 そう言って、勝則かつのりさんは翔太郎しょうたろうくんの肩に優しく手を置いた。

 服越しに伝わった勝則かつのりさんの手はとても熱かった。

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