第36話 蟲1

 気付くと私は学校の教室のような所に居ました。扉を背中にして正面に窓があり、その手前には流し場があります。クラスメイトが流し場に近付いて行くのを見て、私は流し場に大量の蟲がうごめいている事に気付きました。その蟲は小さい芋虫や茶色いコナガの幼虫みたいな姿をしています。私はその蟲について思い出しました、皮膚のすぐ下に潜り込んで寄生するのです。寄生された場所には水疱のようなものが出来て、その中にうっすらと蟲の姿が見えます。コナガの幼虫っぽいほうは小さい上に横になるのでまだましなのですが、芋虫は頭を上にして縦になった状態で寄生するため掻き出さないとなりません。勿論傷も深くなります。


 いつの間にか手を蟲だらけにしたり、蟲にもぐり込まれているクラスメイトが増えていきました。気付けば私もいつの間にか手の甲に蟲が付いていて、既に潜り込まれています。潜られる時に感覚は無く素早く潜り込み、潜られた場所も既に水疱のような状態で傷も有りません。この水疱を爪で潰し、中の蟲を掻き出し続けました。蟲は次から次へと襲ってきます、何故か手首より先だけを狙って。そのうち数も減ってきて、ふと流し場に目をやると共食いでもしたのか30cmほどの巨大な芋虫が目に入りました。クラスメイトを狙っているようで、私は何故か近くに洗面器が有ったので急いでそれに手を伸ばし構えました。予想通り跳んで来たのをなんとか受け止め、流し場に叩きつけると蟲は動かなくなりました。このサイズの蟲に寄生されたらどうなるのか、想像もつきません。


 その巨大芋虫がほぼ最後だったようで蟲は数を減らしていき、収束に向かって行ったのです。その頃には皆手がぼろぼろになっていました。



ーおわりー

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