第34話 ハヤクイカナキャ

 家に帰る途中、バイクが停まっており、その少し前に頭から地面に突っ込んだような死体らしきモノが。誰もその死体らしきモノを気にかけず、見向きもしない。

 そのとき頭に声が響いた。

『ハヤクイカナキャ、ハヤクイカナキャ』

私は倒れたが、なんとか起き上がって、家に向かって歩き出した。更に2回ほど倒れたあと、ワンボックスカーが走ってきた。端に寄って避けたが、そのとき車のほうから『ハヤクイカナキャ、ハヤクイカナキャ』と聞こえてきた。その車は急に加速したが、その先は階段であり、どう見ても事故は確実だった。階段手前で急に右に曲がって、階段横の土手から飛んでいった。あれは死んだかな……そう思いつつ、一応事故報告とかを考え走っていった。例の声は聞こえなくなっていた。


 車はひっくり返って家に突っ込んでいた。手だけ見えていて、動いていたが死んでるような雰囲気だった。とりあえず何とかしようと思ったら、パイ生地のように車の底部分ががれていった。とりあえず、少しどかしたら、運転手が自力で這い出して来た。思ったより軽傷であり、そのまま歩いて帰るとのこと。


 私も家に帰ってその話をしたところ、人間の肉体を部品として作られた人形であり、闘わせるためのモノだと言う。道端のアレは人が倒して、放置していったモノらしい。嫌な世の中になったものである。



ーおわりー

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