第13話 恐るべき相手への応援コメント
イベント『異世界ファンタジー主人公成長・無双系連載作品の批評』より。批評します。
・冒頭の完成度
良い点:主人公が誰であるかが示されている。世界観や設定が示されている。
悪い点:主人公が達成したい目標・夢が明確に示されていない。
・文章の読みやすさ(文章の美しさとは別)
良い点:文法が正しい。漢字とひらがなの割合がちょうどよい。
悪い点:地の文の割合が多すぎる。一文が長い。
・登場人物の深み
良い点:性格がはっきり出ている。過去や背景がある程度わかる。
悪い点:二面性が足りない。登場人物が少なすぎる。敵役がいない。
・総評
文章の読みやすさについて。文法が守られていることが好印象。またひらがなと漢字の割合もちょうどよい。言葉選びにも気を遣っていることが伝わってきた。しかし地の文が多すぎることがもったいない。地の文だけでなく会話表現の割合を増やすことを意識してみよう(会話表現も重要な要素。キャラ同士の掛け合いの練習もするべき)。また一文が長い。もう少し文章を区切って、一文を短くする意識を持つと良い。
冒頭の完成度について。主人公が誰なのか。どういった世界観なのかが示されており、自然に物語へと入ることができた。しかし冒頭の基本的な要素が足りていない。主人公が到達したい目標・夢を示す(物語の目的を読者に伝える)。主人公が目標・夢を達成したい理由を示す(物語の目的を達成する必要がある合理的な理由を示す)。主人公が目標・夢を達成するための問題を示す(主人公が直面する試練・困難・敵をはっきりさせる)。こういったことを最初の一、二話で行う。今後の執筆で意識してみよう。また、物語の目的などを説明しようとすると、どうしても地の文での表現が多くなりがち。説明的な文章は読者離れを引き起こす。会話や実際の行動などを用いて、動きのある冒頭を意識すると良い。
登場人物の深みについて。各キャラ性格がしっかり出ていて良い。王女などは、自分の持つ権力などからくる背景が描かれていて評価できる。しかし登場人物が少ない。第十三話時点で出てきている主要キャラは主人公・王女・魔法使いだけである。主人公の不幸な立場を強調するためにも、明確な敵キャラクターを出すべき(宰相とか王様とか)。そして各キャラクターの出し方が中途半端だ。主人公の心を前向きにするために、王女というキャラクターを使うのはわかる。しかしたった一、二話で、スカートをめくっただけというのはあまりにも中途半端だ。それだけで若干心を動かされる主人公にも違和感を感じる(奴隷という立場はその程度で心を動かされるような苦痛なのか?)。また、そのイベントで主人公の心が動かされきっていない(中途半端に動かされている)というのも気になるところ。執筆前に物語の最後までを記したあらすじを完成させたり、細かくプロットを書くなどする。書いたものを見直して、登場させるキャラクターの過去や背景を決める。過去に基づいた行動原理や性格を決定する。性格に矛盾の出ないよう気をつけながら人物をストーリーに組み込む。などできると小説全体のレベルが上がるだろう。以下軽いあらすじの例(序盤から王女の優しさを見せる。奴隷に優しくしようとする王女を、魔法使いが止めようとする。適役が魔法使いを支持して主人公をいじめる。主人公は、貧しい農村の百姓を助けようとしている王女の一面を知って、王女を好きになる。適役が王女を自分のものにしようとする。それを知った主人公は、王女を守るため魔法の力を手に入れることを誓う。自分のことを嫌っている魔法使いに頼み込んで魔法を教えてもらう。力に目覚めた主人公のことを魔法使いが認める。ピンチになった王女を主人公が救おうとするが適役が邪魔する。適役を倒す。王女と婚約する。終了)。執筆途中でより良いあらすじが思い浮かんだら変更してもいい。ここで重要なのは、執筆者が物語の流れを最後まで理解していること。今後はプロットを書いて計画的な執筆を行うことを意識しよう。
作者からの返信
長い応援コメントありがとうございます。MF文庫J様、HF文庫様、GA文庫様とも違う視点でした。
冒頭で出すべき情報について色々と考えさせられます。
貴殿の「冒頭考察」を拝読しましたが、かなり深い考察で色々と考えさせられました。
でもここで言うのもなんですが、私はワンピースに感情移入できないんですよね。絵が琴線に響かないというのが最も大きいのですが、ルフィがすごい薄っぺらに見えてしまうんです。
なぜだかよくわかりません。周囲では好きという人ばかりなので本音で言うのもはばかられますが、とにかく感情移入できないのです。
物語を生み出すとき、結局は文とキャラクター、世界観を読者に気に入ってもらえるのか。読者と同じものを好きになり、嫌いになれるのか。それが大きいのだと思います。
他、復讐もの、登山系ラブコメ(なろうで書いています)など色々書いております。今は現代を舞台にして剣豪ものを執筆中です。
今度こそ受賞できるよう、頑張ります。
最後にもう一度。応援コメントありがとうございました。
第15話 弁償への応援コメント
昨今の異世界転生モノの要素を押さえた作品ですね。
勇者として召喚されたのに侮蔑され、しかし周囲を見返してカタルシスを得る。
このカタルシスを大きくするには、前半の侮蔑が勇者だけでなく勇者に関わったすべての者が侮蔑・嘲笑の的とされること。後半の見返すのは、自分の為ではなく自分と同じように侮蔑され侮られている弱き人々の為に立ち上がる。そこに勇者の力が目覚めるとか、、、王道ですが自分に対する侮蔑を見返すのではなく、自分以外の寄る辺なき人たちを助けるなど、もっと広げていくと良いのかもしれません。
どのような勇者を目指すのかにもよりますが、もっと演出の起伏があると物語に引き込まれる度合いも増すだろうと思います。
最後に、自主企画に参加して頂きましてありがとうございます!