HEART25. PRELUDE-新しい始まりの前奏曲ー

※ 2020年、小説の新人賞に投稿予定の作品です。



PRELUDEー新しい始まりの前奏曲ー


1 心と空の詩

1992年、春。

春だというのに…。


“空しさに絡まりそうな灰色の空”


 そんな空の下で、ただ僕は一人歩き続けている。空しさに絡まってしまいそうになるのは、この空のせいなのだろうか。それとも、行き場のない僕の心のせいなのだろうか。

僕が心に描く思いは、心の中の迷路をただ彷徨うかのようにうまく抜け出せないでいる。そして、うまく言葉にできなくて…。言葉にしてしまえば大切なものを失ってしまいそうで…。言葉を、心のままにうまく表現できそうにないから、心をごまかしてしまいそうだから、僕はいつも無口でいる。僕は僕の心から何かを切り離さなければならないような気がする。けれど、一体僕は僕の心から何を切り離せばよいのだろうか。僕の心の、ちっぽけな心から、何かひとつでも離してしまうのが怖くて、悲しくて…。人に何も分けることのできない僕がいる。灰色の空の下、空しさに絡まりながら、何も分からなくて、何もかも分からないままの、何も分け合うことのできない僕が一人ここにいる…。


分からない。

今の僕には分からない。

分からないことが多すぎる。

この社会とは一体何なのだろうか。

本当の愛とは何なのだろうか。

本当の真実とは、一体何なのだろうか。

本当の在るべき僕は、どう在るべきなのだろうか。

これから先の将来に一体、僕に何が出来るのだろうか。

何もかもが、むちゃくちゃに見える社会の中で、

僕に一体何ができるのだろうか。

こんなむちゃくちゃに見える社会の中で、

僕は何をすべきなのだろうか。

何も分からなくて、何もかもが分からなくて…。

何もかも分け合うことも出来ない僕がいる。

些細な愛さえも語れず、些細な愛さえも育めない僕がいる。

そして自分が存在する意味すらも分からない僕がいる。

本当の真実とは何なのかすら分からない僕がいる。

そんな愚痴を零しているだけのちっぽけな僕がいる。

これから僕は、何をすればよいのだろうか。

これからの僕に一体何ができるというのだろうか。

僕が求める真実とは何なのだろうか。


(続く)中略

第5章 ラストシーン

1.イギリスにて



僕が、イギリスのテレビ局に進言したものには、次のようなことがあった。


*テレビ局への進言内容*

 ホームレス・失業者・弱者を救うために、イギリス人の皆が助け合いの精神を持つべきである。

 土日は、ほとんどすべての店が閉まるので、土日も営業するようにする。それで、ホームレスや失業者などが働ける場所を創る。

 飲食店の中は全面禁煙として、店の外にテーブルを出して喫煙者はそこで吸えるようにする。

 謝礼であるチップの慣習をなくす。

 1991年、1ポンド250円の通貨レートを、1ポンド100円までもっていき、イギリスの国際交易を活発にする。

 テムズ川のロンドンブリッジのあたりに、発光する観覧車を創り、ロンドンの象徴的なものにする。

 ダイアナ妃の写真とダイアナ妃のメッセージのCMを創り、そのCMの最後にジョンレノンの『WOMAN』を流す。

etc…

*テレビ局への進言内容の終わり*


こんなことをして、僕はできる限り、ダイアナ妃やイギリスやホームレスなどのために、自分にできる何かをしようとしていた。


そして、僕が帰国する少し前に、テレビでダイアナ妃の写真と声のメッセージのCMが流れた。


 そのあとのニュースで、雑誌「BIG ISSUE」が、出版過程に入るとの一報が流れた。


3. 帰国の飛行機の中

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