幸せなら楽しもう(コーヒー、お気に入りのカーディガン、TV、不在通知、クラゲ)
こぽこぽと音を立ててお湯を流し入れる。ゆっくり広がる
やはりコーヒーは
少しズリ落ちたお気に入りのカーディガンを羽織り直して、TVを点ける。日曜の昼下がりに観たい番組は特にない。それでもひと通りザッピングしてしまうのは、相変わらず興味をひく番組が無いことに安心する為か、自分の預かり知らぬところで面白いことが展開していないかチェックする為のどちらか、かねぇ。
――あっひぃ!
ワイドショーを横目にすすったコーヒーに舌を出す。今度はヤケドするまいと念入りに吹けば、2枚のレンズが見事に
充電スタンドに立てていたスマホが光った気がしてチェックする。不在通知は2件。一方が企業のプロモで、他方は着信記録だった。相手の名前を見て心が踊り、「1時間前」との表示に青ざめる。これは非常にヤバイ。
あわててかけ直すと、長いコール音のあとに
何このカワイイ子。彼氏うらやま! ああ、俺だった。
埋め合わせにデートの約束をする。前回はショッピングの荷物持ち要員だったが、今回は水族館のエスコート役をご所望らしい。調べてみたら、来月はクラゲ展をやっているんだとか。
クリスマスも近いことだし、ひと足早いイルミネーション鑑賞だとでも思って楽しもう。プレゼントの探りもいれなくては。
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【 幸せなら楽しもう 】 2019.11.30 作
魚住アリナ*テロテ*さんのお題
「コーヒー、お気に入りのカーディガン、TV、不在通知、クラゲ」より創作
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* 一般的な〝不在通知〟は「荷物のお届けにあがりましたが不在でしたのでお知らせします」のほうだろう。と、思い違いして書いた自分の頬をつねる。不在者投票を不在票と覚えてるくらいだからね…。(2020.04.25)
★ 今作の朗読配信等は、お題を提供してくれた 魚住アリナさんにだけ許可しています。
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