第77話 卒業とミッション発動③
俺達が侵入した先に居た存在は、まさに未知との遭遇と言えるような生命体だった。
でも俺とビアンカの言語理解スキルは、無事機能した。
「ダセェェ、ココカラスグニダスノダァア」
「ってちょっと聞くけどさ、何の目的でどこから来てるの?」
俺は取り敢えずエイリアン(仮)に聞いてみた。
「……なぜ話せる? 俺達の言葉が判るのか?」
「ああ、まぁ理由は別にいいとして、言葉は解るから普通に話してくれ」
「私たちは長い時をこの星を見守って過ごして来た。時には文明の成長に必要な知識を授けたりしながらだ」
「へーそうなんだ。一体何年くらいの期間なの?」
「まだ人類が言葉を覚えるより前の時代からだ。この星の基準で言う公転周期で100万年と言ったところだ」
「その間って、ずっと貴方達本人が居たの?」
「我々も生命体だから体は500年程で耐用年数を終える。しかし我々は体を失う時に、儀式を行い記憶を自分の子孫へと引き継ぐ。だから今の私の場合で言えば、80歳でもあり100万歳でもある」
「それは又凄い話ですね。で、それほどの人が何故この程度の施設に閉じ込められているんですか?」
「ここをこの程度と表現するお前たちは、この世界の存在では無いのか?」
「いえ、立派にこの星の人類のつもりですよ?」
「既にこの星の人類はそのレベルまで存在が向上したのか……では、もう我々のこの星における使命は終わった。解放はして貰えるのか?」
「えっとですね、貴方達を解放したとして安全に旅立ってもらえる保証はあるんですか?何十年もこの施設に幽閉されちゃってたみたいだし、恨んでたり仕返しとか考えたりはして無いですか?」
「ふむ、一応この星ごと破壊できるだけの装備はあるが、使う予定は無い」
「やばいっすよね、破壊できると明言した上で解放とか厳しく無いですか?」
「いや、この星の人類を見て気付かぬか? 既にこの地球上の人類は我らの遺伝子を引き継いだうえで、進化している。いわば我らの子孫のようなものだ。今後の発展を願うだけだ」
「いやいやどこが似ているんですか……どう見ても映画に出てくるエイリアンと同じじゃ無いですか」
「何も無い所からそっくりな存在を想像するのは難しいものだと思うぞ? 記憶の中にある祖先の姿を遺伝子レベルで思い出して描いているのであろう」
「何かそう言われるとそんな気もするけど、どうやって旅立つんですか?」
「この地下に恒星間航行が出来る母船を置いてある。上の施設を撤去してくれれば自力で旅立つ」
「絶対ですか? 嘘ついたら怒りますよ? それとこの星を貴方たち以外の別種族が襲ってくる可能性はあるんですか?」
「お前たちはこの宇宙と呼ばれる中にどれだけの知的生命体が存在していると思っている? そのすべてを把握すること等、我らをもってしても不可能だ」
「あ、前から不思議に思ってたんですけど、映画なんかだと人の体の大きさってあんまり他の星でも変わらないけどやっぱりそうなのかな?」
「変わった事を聞くな、重力に比例すると言って通じるかな? 例えばだ恒星の大きさで言っても、この太陽系の恒星は凄く小さい、この広い宇宙にはこの恒星の三千倍程度の大きさの星はごろごろしている。当然そういう重力圏の中で生み出される生命体は、その強大な重力に耐えうる身体を持って、生み出される」
「て事は、生命体も大きいんですか?」
「そうだな知的生命体でこの星の単位で言うと、身長千八百メートル程度の存在は、そう珍しくない。そんな存在がもしこの星の存在を知ったらどうすると思う」
「なすすべもなく蚤を潰すような感じで、滅ばされるんですか?」
「正解は興味を持たないだ」
「食料も満足に補給できないような世界には、一切興味を持たないな」
「では心配する程の事は無いという事ですか?」
「そうだな、我らの様に星の成長を見守るか、興味を持たないかのどちらかだ。侵略したり恒星間航行を行う程の知能があるならば、態々星を乗っ取るような事をしなくても、いくらでも生命体の無い星の環境を整えて、移住できるからな」
「解りました。貴方の言葉を信じます。では今から三時間後には上の施設をすべて撤去しますので。安全に旅立ってください」
「この地下五十階層にも及ぶ施設を三時間で撤去するだと? 核弾頭も大量に保有している筈だ? 我らですら無傷での脱出が出来ないと、行動に移さなかったのに」
「大丈夫ですお任せください。では三時間後にもう一度ここに現れますので」
なんだか、思ってた展開とは全く違っちゃったけど、戦わなくて済むならそれに越したことは無いや。
俺はすぐに、オズワルト大佐に連絡を取り、エリア51に滞在する全スタッフを基地の外に退避させるように指示を出させた。
退避を確認できたのは四十分後だった。
その後で地上十階層地下五十階層南北八百東西七百五十メートルに渡る広大な基地を俺のアイテムボックスに丸事収納した。
俺のアイテムボックスサイズは一辺千メートルの立方体だからね。
その収納が終ると、再びエイリアン(仮)の元を訪れて準備が整ったことを伝えた。
「本当に出来るのだな。既に我らの能力を上回るというのか人類は……」
「いや偶然ですよ。これまで地球を見守って貰ってありがとうございます。人類を代表してとか
「地球の未来を遠くから見守らせてもらう、危機が訪れたらこの通信機で呼んでくれれば、駆け付けよう」
と、言い俺に小型の発信機のような物を渡して来た。
それから五分後には、超大型の直下型地震の様な揺れが襲って来た。
発生源は地下二千メートル程だ。
そして徐々に姿を現した宇宙船は、何と驚愕の直径二十キロメートル高さ二キロメートルのサイズだった。
あぁさっきの話じゃないけど、このサイズ位ないと巨大恒星系の生命体なんか乗れないって事かな?
と、一人納得しながら見送った。
そして、宇宙船が飛び去った後からは大量の湯気と共に温泉が吹き上がっていた。
「この規模の穴から吹き出しちゃうと、温泉湖が出来ちゃうぞ」
と見る間に空間を埋めていく湯気に見入っていた。
「なぁリンダ、基地どうしたらいいと思う?」
「ちょっとパパに聞いてみるね」
ヤリマンスキーやマー達は余りの展開に言葉が無かったが、きっとエイリアン(仮)達の壮大な時を超えた行いには、感動したんじゃないかな?
カーネル大将に確認すると、基地自体はアトラクションとして再利用したいから、温泉湖を避ける様に再設置できないかという要請があった。
基地内部の核弾頭の扱いをどうするかが気になったが、物が物だけに取り敢えずは、米国内に複数存在する、廃炉になった原発施設内へと持って行く事になり、バーモント州のヤンキー原発跡地に持って行った。
現地には既に盗難防止の警備の為に中隊規模での部隊が展開されていたが『カラーレンジャーズ』として登場した俺達に、妙に気合の入った敬礼を見せてくれた。
カーネル大将が気を聞かせてこの部隊への命令は、ジョージが直接発令した形になったから、やる気マックスなんだろうね。
ジョージが『カラーレンジャーズ』は俺の友達だと説明したんだって。
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