第76話 卒業とミッション発動②

 カーネル大将の家での食事を終え、俺はリンダと二人で『ホープランド』の拠点へと戻った。


「ねぇ翔、本命は今の所誰なのかな?」

「あー今の所は考えないようにしてる。でもなみんな大事な仲間だと思ってるし、守れる限りは守るけどね」


「ふーん、私は結構本気だけどな。ちゃんと振り向いてもらえるように頑張るね」

「俺はちゃんと皆を見てるからな」


「それって……いやらしい目でじゃ無いよね?」

「何故そうなる、だが完全に否定できないのも確かかもな。俺は健全な青少年だから興味はあるさ」


「触ってみる?」

「いやそれは遠慮しとくよ、我慢できなくなるし、ってかさちょっとアルコール入って俺の言動が怪しいから帰るな。明日は朝からみんなでエリア51の作戦練るぞ」


 翔が転移で帰って行った後にリンダは思った。


「ママみたいに堂々と抱きしめるなんて出来ないよぉ……」

 

 ◇◆◇◆ 


『ホープランド』では夜だったが、戻ってきた日本ではもう朝日が昇ってる時間だった。

 三月とはいえ朝はまだ寒い。


 シャワーを浴びて学校に行く準備をした。

 学校に行きながらチャットアプリで今日の放課後の予定を連絡した。

 

 こんな話、校内で出来ないからね!


 アンナと香織と香奈の三人は午後にGBN12のレッスンがあるので遅くなると連絡が入った。

 俺達の活動は基本バレちゃいけないから、用事がある場合は基本そっちを優先させるのも決めてある。


 まぁこの三人と俺以外は、ほぼ用事なんかないけどね!

 綾子先生はたまにあるかも……


 ◇◆◇◆ 


 そして放課後になり『ホープランド』の拠点に集合する。


「と、言う事でエリア51の解放ミッションを優先させたいと思う。まだ敵の分布なんかは解らないから、俺とヤリマンスキー、ビアンカ、マー、リンダの5人で取り組む。ある程度の対策が出来たら全員で取り組みたいが、意見はあるかな?」


「そっかぁ、私としては兵馬俑をやりたいのもあるけど今更、何か月か順番が変わったところで変わらないし、いいよ」と、マーが言ってくれたのでエリア51を早速攻略する事にする。

 

「イルアーダのダンジョンは基本百層超えのダンジョンは無かったから、エリア51も深くても百層だと思って間違いないだろうな?」

「そうなのかな? 私たちが入ったダンジョンで百層越えの所があったよねどこだったっけ?」


「あー魔王城だよ、自分がやられたとこくらい覚えておきなさいよね」


 マーとビアンカが言い合ってたが、俺の時は魔王城は普通の城でダンジョンじゃ無かったな? 何が違ったのか後で香奈に確認してみよう。


 俺は今週末は加山ジムのイベントがあるから平日の放課後に、集中的に行く事になるがその時間帯は、現地のネバダ州では早朝だし逆に都合がいいかもな。


 でもエリア51にまつわる話だと、カーネル大将は噂は概ね本当の事だと言っていたよな、だとしたらUFOや宇宙人に間違われるような存在があるという事なんだろうな。


 UFOに間違われたのはイルアーダにあった、重力制御の魔法術式の刻まれた飛空船という事かな?

 確かにあれなら、軌道はジグザグにも動けるが初動は遅かったよな?


 何か別なものがあるんだろうか?

 エイリアンは見た目的にドラゴニュートがそれに近いな。

 でも彼らは魔物では無く亜人だからな。


 人属にもどちらかと言えば協力的だったし、単純に戦いになる可能性より話し合いの選択肢もあるかもしれないな。


「翔、何を考えてるんだ?」と、ヤリマンスキーに言われて我に戻った。

「ああ、エリア51の存在について考えていた。ヤリマンスキーはさ、ドラゴニュートと付き合いあったか?」


「俺は直接知り合いはいなかったが、母親のエルフ集落とは付き合いが合った筈だ。エルフ集落を守る傭兵は殆どがドラゴニュートだからな」

「そうか、言葉は問題なく通じるで問題無いのか?」


「人化してる時は普通に会話してるけど、通常時は念話だったな、ていうか翔はドラゴニュート達と会話した経験無いのか?」

「あー、俺は基本ボッチだったからな、信用出来る探索者が居ない訳じゃ無いけど、一緒に行動しても逆に守るのが大変で利点が無いから、人との付き合いは街で人属の飲み屋とかに行く程度だった」


「何か今の翔とイメージが違うな」

「まぁ今の俺はそういう経験も反省しての、俺だからな」


 取り敢えず5人で早速、エリア51へと移動した。

『カラーレンジャーズ』のスタイルで、基地周辺へと転移するとオズワルト大佐に連絡を入れる。

 迎えのトラックがやってきて、荷台に隠れる形で内部へと入って行った。


 基地内ではエレベーターで地下五十メートル地点へと案内されると、そこは格納庫の様になっていて、UFOと呼ばれる存在の機体が十機程有った。


「これは、俺達の知ってるイルアーダの飛空船とも違うな。もっと映画とかで見るUFOに近いぞ」

「確かにそうだね、これはかなり慎重に取り組まないとヤバイかもしれないね」


「オズワルト大佐、ちょっと質問してもいいですか?」

「あー構わないよ」


「大佐はこの存在や秘密を知ってしまった以上外に出られない立場になっちゃったんですか?」

「まぁそうだな。君たちが完全に解放してくれるから、それ以降は秘密を公表して晴れて俺も社会復帰できる予定だが?」


「大佐、多分ですがこれ俺達の知っている世界と、関係ない生命体と文明だと思いますよ?」

「何だって? それじゃ君達で対処出来ないって事か? オーマイガッ俺はまだ新婚で娘が産まれたばかりなんだぞ。家にずっと帰れなかったら嫁に逃げられちまうぞ」


「なんて言いますか、対処できるかどうかは相手してみないと解んないですけど、今までこの存在と意思の疎通は出来てないんですか?」

「俺もこっちに来たばかりだから、詳しくはまだ解らないが意思の疎通ができる相手ならこんな地下深くに隔離し続けてないだろう?」


「あー成程ですね、納得しました。じゃぁ大佐はとても危険な状況になる可能性高いですから、今から結界を貼るので中には絶対侵入しないで下さいね。大佐以外の人に情報を漏らす事も今は止めたほうが良いと思います」

「ああ、解った。カーネル大将にもか?」


「カーネル大将には、こちらから直接詳細なデータを提出させて貰います」

「そうか、まぁ任すしか手段はなさそうだし、よろしく頼んだぞ。俺の幸せな新婚生活はお前たちに掛かってるからな」


 俺達はちょっと想像していた展開と、変わって来た事に戸惑いを感じながらも、結界の中にある重厚な扉を開け、内部へと侵入して行った。

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