第72話 今年は色々あったよね【前編】
ホノルルマラソンでの活躍で、俺の周囲はまたしても騒がしい状況になっている。
だって、公立中学校の一クラスの中で担任の先生が女子優勝、その生徒たちが俺が総合優勝、遊真が日本人二位、アンナと香織も女子で七位と八位に入賞とマジで漫画の様な展開になっちゃったから、もう大騒ぎだ。
明石さんからも、改めて会いたいと言われてるけど「それぞれが活動が忙しいので全員そろっては無理があります」
と、問題を先送りしてる。
現状、公務員な綾子先生は公務員のアルバイト禁止を盾に、お金では絶対に動かないから、マスコミ関係も困ってるけど、その分アンナと香織はGBN12での活動の時にやたらとホノルルネタでいじられることが多くなっている。
慌ただしい一週間を過ごして、今週はアンダージュニアの統一チャンピオンを決める試合だ。
俺自身、今の六十キログラム級だと背も伸びてきたし、他の競技との兼ね合いで筋肉量を増やしたい事も有るから、今日の統一選を終えると次の試合では、ウエルター級の六十五キログラム辺りまで上げる事にしている。
来年はその体重でのアマチュア世界チャンピオンを目指す予定だ。
あまりメジャーな大会では無かったこのアマチュアのアンダージュニア統一選と言う試合だったけど、俺の参加で当然の様に全国放送のテレビ中継が入り、試合順的にも俺の階級なんて真ん中あたりの試合のはずだったのに、順番は繰り下げられて最後の試合にさせられた。
テレビ局的なお願いを協会が聞き入れた感じだよね。
対戦相手の人になんか悪いなと思っちゃうよ。
GBN12と加山ジムのプロ連中も応援に来てくれているので、まぁ他の出場者の人達はみんなGBN12や世界チャンプの健人さんと握手やサインをしてもらって喜んでたから、良いのかもしれないけどね!
肝心の試合は一ラウンドK.Oで勝ってしまったから、今後のボクシングの取り組みに対して階級の変更を伝えて、折角東京まで来たので、加山ジムのみんなとGBN12も一緒にバラエティ番組に出て盛り上げたよ。
マラソンネタを振られたけど、実際日本の大会基準だと十八歳以下でフルマラソンに参加できる大会がほぼ存在しないので「俺達に期待してもこれ以上何も無いですよ」と誤魔化した。
でも、その辺のルールは変えて欲しいよね。
◇◆◇◆
そして俺達は『カラーレンジャーズ』として、チェルノブイリをまず攻略する事にした。
水鉄砲作戦が使えるから、低レベルな遊真達でもダメージを与える事が出来るからね。
イルアーダの経験値獲得システムだと与えたダメージ量による経験値配分方式だから、俺が一撃で倒していっちゃうと、みんなが成長できないんだ。
だから向こうの世界では回復職や斥候職の補助的な職業は、中々レベルが上がり難くみんなハイブリッドな育て方をするんだよな。
結果として俺達の様な異世界召喚メンバーで成長促進スキルを獲得できた様な人じゃないと大成する事は無いシステムだ。
まぁ今はマリアンヌも基本一緒に行動するから、聖水とポーションをとにかく頑張って作って貰って、水鉄砲作戦でレベル上げを頑張って貰うしかない。
今日は珍しく『カラーレンジャーズ』のメンバー全員が集まった。
『ホープランド』内の拠点で、改めて遊真を全員に紹介した。
「えええええええええええええええええええええええぇぇええ香奈ちゃん? なのかい」
遊真が自分の彼女の妹が『カラーレンジャーズ』のメンバーで居る事に滅茶苦茶びっくりしてた。
そりゃそうだろうな。
元魔王で、これだけいるメンバーの中でも実質NO2の実力であるとか、精神年齢は一番年上で斗真さんと同じ年齢の人生経験だとか、びっくりしない要素が何もない。
俺から見たら只の『ロリBBA』だけどな。
リンダやアナスタシアは違和感は無いけどね、二人とも軍人として鍛え上げられていて基礎が全然違う。
美緒と綾子先生は俺と居る時間の長さの関係なのか、かなり成長は速いけど、それでも格闘術の技術なんかは他のメンバーには見劣りしてしまう。
魔法の発動も射撃に通ずる物があって、命中率はかなりの個人差がある。
当然射撃の訓練を積んだリンダやアナスタシアはセンスを感じる。
それに対してビアンカは魔法メインだけど使う魔法は全て範囲攻撃だ。
狙いが付けれないのが理由だけど、これは賢者の基礎能力の高さで豊富なMPを持っているビアンカにしか出来ない。
マリアンヌの攻撃手段はスタッフでの撲殺がメインだ、意外にスプラッターな聖女様だ。
マーは拳聖だけど、発勁による気の力を巧みに打ち出す事が出来、元々ヤリマンスキーのパーティでは斥候職としての役割も果たしていたんだって。
俺とヤリマンスキーと香奈は能力的には何でも出来るんだけど、ヤリマンスキーはどのスキルも少し制限があるようだ。
俺は香奈と話してみたけど、ヤリマンスキーは元々イルアーダの出身だからその辺が関係しているんだろうと言う結論になった。
という事で、チェルノブイリの三層目が現在の主戦場だ。
このダンジョンの階層が何層まであるのかもまだ予想が付かないけどレベル五十を超えてきたら、他のダンジョンでも問題なく戦えるようになるから、遊真達がレベル五十を超えるまではこのダンジョンでレベル上げを頑張る。
召喚組は遊真達がレベル五十を超える頃にはレベル百を超える筈だ。
俺は限界突破のスキル入手が当面の目標かな?
確実にあると言う保証は無いんだけど、ゲームのシステムが元なら裏技的に必ず存在してると思う。
イルアーダで次の敵となるのは恐らくと言うか間違いなく、神を名乗る存在、邪神と創造神である事は予想が付く、だとすればシステムの上での限界点レベル999では、きっと超える事の出来ない壁にぶつかる筈だ。
過去の俺のスキル入手方法から考えると、ダンジョンでのスキルオーブの獲得が一番確率的に高いから、とにかく数を狩るしか手段は無い。
遊真がチェルノブイリ三層で水鉄砲を使いながら聞いてきた。
「これって市販品の水鉄砲だよな? 飛距離と命中率に少し不満があるから、俺が改良型の水鉄砲作ってみるよ」と、言ってた。
俺の様にチートがある訳でも無いのに、全国模試十位の頭脳をいかんなく発揮して欲しいな。
そして一週間程を毎日放課後の時間から、ダンジョン討伐に当てた。
◇◆◇◆
十二月も終盤を迎え、今日はクリスマスイブと呼ばれる日だ。
去年はエルサレムで美緒とテロの阻止で忙しかったな。
今年は、環境が違う。
既に冬休みに突入しているので、相変わらずのテレビ出演で昼はGBN12とテレビ出演をしていた。
この後は、俺の会社のフロアでパーティーを予定している。
参加メンバーは、俺、遊真、綾子先生、GBN12、倉田さん、黛さん、今泉さん、美緒も招待した。
今年は、俺の収入が恐ろしく多いのは、みんなが知っている事実なので遠慮なく奢らせてもらう。
一流ホテルからパーティ料理のケータリングをして、シャンメリーで乾杯をした。
一応大人な人用に本物のシャンパンも用意してるけどね。
まぁお店だと高くて中々頼みにくいドンペリニヨンのロゼを用意して置いた。
この間の歌舞伎町で綾子先生も美味しそうに飲んでたしね。
倉田さんが来年の三月に二つのアメリカでのツアートーナメントに参加する予定を立てていると、言ってた。
アメリカのトッププロと出会えるいい機会だ。
楽しみだな。
俺は来年高校生に成ったら、相撲競技をやってみたい! と伝えた。
今泉さんが意外に頑張ってくれて、革新的な考え方を持った相撲の親方とコンタクトを取り、高校生のまま、住み込みも無しで練習生の形からのデビューも許可する部屋を見つけたから、一気に話が前に進んだ。
GBN12の女の子たちに「翔君が
取り敢えずは、少し実績を付けるのに進学先の高校で相撲部に協力して貰って、高校生チャンピオンを目指す。
この賑やかなクリスマスを来年も楽しめればいいな。
そして、少し落ち着いたときにアンナに呼ばれた。
「去年のお正月の約束覚えてる? 」
「もちろん! 今年のカウントダウンはコンサートに行く約束だよね。でもさ俺達って良くも悪くも目立ちすぎるから、ちょっとだけ作戦変更だ」
「どんなふうに? 」
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