第70話 ハワイでマラソン大会だぜ【前編】
先週のプロアマトーナメントの優勝で、俺の周囲は又騒がしくなっている。
俺のマネジメント会社に世界中のスポーツ団体から、新たに始める競技として選んで欲しいという要望も届いている。
今の俺がその競技を始めると間違いなく世界中のトレンドになって流行するだろうからね。
でもクリケットとかポロとかアメフトとか海外ではメジャーな競技でも日本での環境が整って無いような競技は、ちょっと取り組みにくいよね、それに団体競技は普通に無理だし。
性別関係なしでチーム組んでいいなら『COLOR RANGERS』でチーム組んで色んなスポーツに参加しても面白いかもしれないけどね!
格闘技系の団体でウェイト制限を撤廃してくれる団体があるならやってみたいんだけど、軽量級にしか参加できない今の格闘技の体系だと、ボクシングだけでお腹いっぱいです。
逆に相撲とかどうなんだろ? と思って調べてみた。
体重と身長になんか制限があったと思ってたんだけど、三段目最下位格付出以上の条件を認められたら、体格不問と言う項目を見つけちゃった!
これはやらねばと思い、今泉さんに相談してみたら色々閉鎖的な決まり事が多いらしくて「相撲界の事は良く解らないですね、でも私の方でも少し調べてみましょう」と、言われちゃった。
でもアマの横綱を獲得したら、取り敢えず問題無さそうだから、高校に進学したら取り敢えずやってみようかな?
まぁ組織が成熟しすぎちゃって、今泉さんの活躍の場がCM契約位しか無さそうだから、余り乗り気じゃないのかもしれないけどね?
そんな事を考えていると、倉田さんから電話がかかって来た。
「翔君、来年プロ宣言をするまでの間に少し海外のトーナメントに出場して貰っていいかい? うちの会社がこの間の成績を猛アピールしてね、アメリカのツアーでアマOKの大会に主催者枠で出場して貰えたら、成績次第で初年度から四大大会の出場枠が取れる話を貰って来たんだ。厳密にはアメリカの場合だとプロ宣言に年齢枠なんか無いんだけど、日本ルールの中で動いた方が好感度的にいいと思うからね」
「了解しました。その辺の日程的な問題とかは倉田さんにお任せします」
来年は海外旅行が一杯出来そうだな。
◇◆◇◆
ホノルルマラソンも来月だな、今回は遊真とアンナに香織、それと綾子先生も誘ってみたんだよね。
十二月十三日の日曜だから、金曜日学校終わってすぐに向かえば大丈夫だし、先生も既に年度末での退職の意思を伝えてあるし「最後の思い出に参加します」って言って有給休暇を使って参加する事になった。
学校でも最近はその話題で結構盛り上がってる。
アンナと香織が参加する事になると、今度はテレビ的に盛り上がる事となって、GBN12のメンバーも応援でみんな来る事になってたから話がどんどん大きくなった。
でも、問題が無い訳じゃ無かったんだよね。
陸連の明石さんが久しぶりに連絡してきた。
『ホノルルマラソンの事務局から参加希望者の中に『松尾翔』の名前を確認したが、ワールドレコードホルダーでオリンピックチャンピオンの『SYOU MATSUO』の事なのか? と問い合わせが来てるけど、覚えがあるかい?』
そういや陸連とかには全く伝えてなかったな……
テレビ局には言って有ったから勝手に伝わってると思ってたぜ。
『あー、確かに申し込んだのは俺で間違いないです。まだ明石さんと出会う前の話だったからそのままにしてましたね』
『そうなのか、まぁ解ってるとは思うけど、翔君が一般選手と同じ扱いって訳には主催者側として、絶対に出来ないから、大きな大会に参加する時は、事前に教えて欲しいな。それと陸連が出場をお願いする大会にも少しは顔を出して欲しいね、大会の注目度が全然変わるから』
『ホノルルは予定通り参加でいいのかい? 招待ゼッケンとかの問題があるからね、後、翔君だとあまり気にして無いかもしれないけど、招待の場合だと旅費や宿泊に関して陸連からの補助もでるんだけど?』
『あーあのですね、招待ゼッケンとか無しで参加も自費にしたいんですけど駄目ですか?』
『一応先方には伝えておくけど、扱いを悪くしてくれって言う要請はそんなにないと思うから、先方がどう思うかだよね? 後、陸連が翔君に対して何も協力してないとか、メディアが勝手に噂してくれても、非常に私の立場として困るんだよね……』
『なんか色々すいません。でも今回は友達と一緒に楽しむための参加にしたいと言う事で何とかお願いします』
『解ったよ。くれぐれもマスコミ対応だけは頼んでおくよ。陸連が悪者扱いにならないようにね』
『お詫びにと言ってはあれですけど、明石さんが選んだ大会にどの競技でもいいから一回は参加させて頂きますので、決まったら連絡してください。ほかの競技との日程調整とかありますので』
『了解だ。早めに連絡するよ。どうせならまだ世界記録作って無い競技とかで調整してみよう』
◇◆◇◆
そしてホノルルの翌週は、アンダージュニアのボクシング大会もプロボクシング連盟とアマチュアボクシング連盟のチャンピオン同士で、統一選が行われる。
それの調整もかねて、加山ボクシングジムに顔を出して健人さんとスパーをした。
アンダージュニアの大会の調整を現役の世界チャンピオンと出来るとか、恵まれすぎな環境だよね……
でもその健人さんとのスパーも、最近は健人さんのパンチを上体の動きだけで、完璧に避けれる様になってきて「翔とスパーやると俺のメンタルが削れるぜ」と言わせちゃった。
俺がここのジムに来た当時は四回戦だった二人と六回戦だった一人も、来年度中には日本タイトルに挑戦できるまでに成長している。
その勢いで加山ジム所属のプロ選手は倍の十名に増えたし、練習生も凄く増えて加山会長はニコニコ顔だぜ。
その健人さんは来年度はIBFとWBOの二つの団体との統一選の予定が立っていて、日本開催を望んでるけど、相手側はラスベガス開催を望んでるらしいから、まだ場所は解らないかな?
カイザーは、階級を上げたらしいよ。
◇◆◇◆
『Hope Land』も現地の国に発注した工事で段々と街らしく整備されてきた。
現地には、最新工事機械とか不足してたけど、美緒の会社が現地法人に出資して、日本から工事用の重機なんかも、調達させたから『Hope Land』以外の国内開発も進みそうで、政府からも感謝されてる。
そして、俺が美緒に頼んでいた、温泉の調査も結果が出た。
敷地の中でも湖に近い所で、温泉の源泉の存在が確認できた。
これなら、大きなスパリゾートも開発できそうだね。
奇跡の起こるスパリゾート計画を立て、マリアンヌに相談すると、マリアンヌはバチカンで教皇様と話して、話がすごく大きくなってきた。
バチカンから奇跡を体験するツアーを聖女の同行で計画して、一気に広めたいと言う計画らしい。
十万米ドル程度のツアー料金でも、申し込みが殺到しそうだと言ってた。
当初は、ローマから中央アフリカへ向けての飛行機便で対応するんだって。
最終的には、ナイル川に平行した、アフリカ大陸を縦断するリニアの線路を各国政府に働きかける事で、実現させたいと語っていたけど、原案は教皇様が出したんだって。
凄い発想だけど、教皇様が発案なら全く夢物語ではないかもしれないよね。
翔としては『ホープランド』に存在するわけにもいかないから『カラーレンジャー』のレッドとして行動しないといけないので、少し大変だけどね。
◇◆◇◆
十二月十一日を迎えた。
学校が終わると、ホノルル行きのメンバーでみんな集まり成田へと向かう新幹線の中までテレビの密着取材が付いちゃったから、少し落ち着かないけどね。
土曜日は一日フリーで、みんなでハワイ観光を楽しんだぜ、ビーチは十二月なのに人が多くて泳ぐのは諦めたけど、GBN12のメンバーの水着姿はしっかり楽しめたから、まぁよしとしよう。
香織も少しずつ胸の辺りの成長が認められる。
良かったね!
これでツルペタキャラは香奈だけか。
香奈は一生そのままで問題無いから別にいいんだけど、俺は魔王時代の香奈の姿を知ってるからな、こいつも将来的には超絶綺麗になるんだよなぁ。
あの魔王には俺も敵ながら目を奪われたぜ。
そして迎えた当日は、朝五時のスタート時間だ。
公式には、オリンピックチャンピオンの出場はアナウンスされてなかったけど、スタート十分前に当然の様に一番前に案内されて、その時になって俺の出場を知った他の選手たちから歓声が上がった。
でも俺は仲間たちと一緒に走りたかったので、一応歓声に対して手は振ったけど、招待選手たちよりは後ろに控えて、遊真や綾子先生たちと、一緒に走ることを選んだ。
でも実は遊真は綾子先生と共に既に、ダンジョンでレベルを上げているんだよね。
どれくらいのペースで走れるのかな?
香織やアンナは流石にいいタイムは難しいだろうけど、テレビ的に盛り上がるだろうから、完走は目指して欲しいな。
でも既に香織の主演映画はアメリカでも公開が始まり、アンナもパリやミラノのコレクションに呼ばれるクラスのモデルになってるから、二人の周りも大騒ぎになってた。
そしてスタート時刻の朝五時を迎えて、号砲が鳴った。
俺達も先頭選手がスタートして一分後にスタートラインを通過していった。
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